OP戦から左打者を完璧に抑え込む
ロッテは近年、左のリリーフに苦労しているが、移籍2年目の坂本光士郎が貴重な左の中継ぎとして日に日に存在感を高めている。
「左なので左バッターを抑えるのが僕たちのいちばんの仕事だと思っている。左バッターを抑えることを意識していきたい」。オープン戦では5回・4回1/3を投げて被安打0に抑え、言葉通り左打者に対しても8打数0安打と完璧に封じ込み、開幕一軍を掴んだ。
「緊張しましたけど、開幕戦に投げられたのは良かったと思います」。3月31日のソフトバンクとの開幕戦、0-4の8回に登板すると、中村晃に3ボール2ストライクから見逃し三振に仕留めた外角のストレートは、佐藤都志也の構えたミットに吸い込まれた。「キャッチャーが構えたところに2ストライクから決められたというのは、良かったのと思います」。4月2日のソフトバンク戦でも、0-4の5回二死走者なしで牧原大成に1ボール2ストライクから見逃し三振に仕留めた148キロの外角ストレートも素晴らしかった。
ペルドモ、益田直也といった勝ちパターンのリリーフが連投中だった4月6日の日本ハム戦では3-2の8回に登板。右打者の谷内亮太にライト前に運ばれたが、左打者の上川畑大悟を二ゴロ、石井一成を148キロのストレートで見逃し三振に斬って取った。
シーズンが始まってからも「そこはちゃんと仕事できているかなと思います」と、左打者に対して8打数1安打と役割をしっかりと果たしている。
安定した投球を続ける要因は?
オープン戦から許した被安打は7回を投げて、右打者を含めてもわずかに2本。被安打が少ないのは、自主トレから上半身と下半身の連動を意識して取り組んできたことが関係しているのだろうかーー
「そうですね、しっかりストレートも走っているので、それもすごく自信として投げられているのかなと思います」。
シーズンが開幕してからも、上半身と下半身の連動の意識は継続していく考えだ。
2月の練習試合から好投を続けている要因は、技術面以外にもある。
「去年とかだとストライク先行しないといけないというのが頭の中にあって、それで体が硬くなっていたりしていました。今は何も考えずじゃないですけど、いい考えで投げられているのかなと思います」。考え方の部分でも、今年はポジティブな思考でマウンドに上がるようになった。
ただ、シーズンはまだ始まったばかり。坂本が今季目標に掲げる“50試合登板”、チームとしても手薄な左のリリーフ事情を克服するには、シーズン通しての活躍が求められる。「左バッターを抑えるのが自分の仕事だと思うので、そこ以外でも与えられた場所でしっかり結果を出していきたいと思います」。左打者を抑え続けることで、新しい世界が見えてくるはずだ。
取材・文=岩下雄太