首位・ロッテは楽天に6-4で勝利し、今季2度目の5連勝で貯金を今季最多の9に伸ばした。
予告先発となっていた森遼大朗が登板を回避し、18日のオリックス戦のように“ブルペンデー”が想定される中、打線が初回に1番・池田来翔の右安、2番・藤岡裕大の四球で一、二塁とし、3番・中村奨吾が三併に倒れたが、4番・ポランコのセンター前適時打で幸先よく先制。その裏、森に代わって先発となった岩下大輝は、2つの四球を与えるも無失点で切り抜ける。
2回に打線は佐藤都志也の第2号ソロで追加点。その裏から登板した廣畑敦也は3回・51球を投げ1失点に抑え、坂本光士郎に繋ぐ。
投手陣が踏ん張り、なんとか追加点を挙げたい打線は6回先頭の安田尚憲が四球を選ぶと、続く角中勝也がきっちり初球で送り、岡大海が適時二塁打。さらに一死一、二塁から平沢大河の中飛で二塁走者・岡が三塁にタッチアップすると、池田の三塁ゴロを楽天の三塁手・黒川の後逸している間に二者が生還し、この回4点を加え6-1と一方的な試合展開となる。
5回から登板した坂本が6回途中まで投げ無失点、7回に1点を失ったが東妻勇輔は1回2/3を投げ、6-2の8回は澤村拓一が2点を失うも、ベンチ外だった益田直也に代わり9回はペルドモが試合を締めた。
故障者が続出しベストメンバーでない中で、勝利を積み重ねているロッテ。6回終了時点でリードしている試合は今季、ここまで19勝1敗。21日の楽天戦のようにリリーフ陣が失点することもあるが、先発陣がリードした状態で、リリーフ陣にバトンを繋げば、そのリードをしっかりと守り切っている。
今季のブルペンは決まった形の“勝利の方程式”を採用しておらず、場面や状況に応じてリリーフ投手をうまく起用し、現在は複数の勝利の方程式を作ろうとしている最中だ。開幕から無失点投球を続けている西村天裕は5月5日の取材で「どういう場面で投げてもしっかり抑えて、勝ちパターンに入っていけるようにやっていきたい」と話した翌日のソフトバンク戦で、2-1の6回二死走者なしで先発・メルセデスの後、移籍後初めてホールドがつく場面で登板し無失点に抑えると、11日の西武戦では3-0の7回、初めて勝ちパターンの7回を投げた。
イニング途中からの登板、イニング跨ぎ、さらには勝ちパターンでの登板もある坂本光士郎は「そこは変わりなく、常に全力でという気持ちでやっています」と、どのポジションでも変わらず腕を振る。
5日のソフトバンク戦では“勝ちパターン”のペルドモ、澤村、益田がすでに9回までに投げており、0-0の10回に同日昇格したばかりの東妻が登板し2回・無失点、12回は廣畑が無失点で引き分けたという試合もあった。
吉井理人監督が投手コーチ時代と同様に、リリーフ陣は基本的に3連投、1週間に4登板をさせない方針。そのため、連投が続いた時には柔軟に起用し、西村や坂本のようにビハインドだけでなく、勝ち試合でも登板がある。シーズン先を見据えた投手起用が結果的に、リリーフのバリエーションを増やしている。
先発陣も5月はブルペンデーだった18日のオリックス戦と21日の楽天戦、それに森が先発した4日の楽天戦、13日の日本ハム戦以外は全て5イニング以上投げている。ブルペンデーの前日の17日のオリックス戦で小島和哉が8回を投げ、20日の楽天戦で西野勇士は完投勝利を挙げた。先発陣が長いイニングを投げていることで、ブルペンデーも可能になった。ちなみに5月は先発が6イニング以上投げた試合は7勝0敗1分。
小島は「僕が火曜日、水曜日に投げているので、できるだけ長いイニングを投げて僕の試合で中継ぎを使わないことを考えていけば後半とか、心置きなく中継ぎを投入できると思う。週頭で投げる時はいつもよりイニングをしっかりと考えて長い回を投げることを一番に考えてやっていきたいと思います」と頼もしい言葉を残している。
攻撃に関しては基本的に、“1つ先の塁を狙った走塁”、小技を使って走者を進めてチャンスで得点していくなど、基本的には昨季までと似たようなスタイル。今季はその精度が高まっている。
特に5月は22度犠打を試みているが全て成功させ、ファーストストライクで決めた送りバントは17度。5月14日の日本ハム戦、3-2の4回一死三塁で田村龍弘がスクイズを決めたが、あれも初球だった。チーム最多タイの6犠打を決める田村は、今季決めた送りバントは全てファーストストライク。攻撃にリズムを作っている。
ZOZOマリンスタジアムで行われる試合前練習では、一塁ベンチ前に設置してあるバントマシン相手に、選手たちが試合を想定して犠打練習を行う姿がある。チームトップタイの6犠打を決める平沢は「ランナー一、二塁」、「ランナー一塁」と場面を想定して、試合の準備を進めている。
昨季までと違う点で言えば、スタメンを固定していないこと。例えば、2試合連続4番でスタメン出場し、5月の月間打率.412と好調の茶谷健太がスタメンを外れた中、代わって『1番・一塁』でスタメン出場した20日の楽天戦で池田来翔が4安打。スタメンで起用された若手選手たちが、しっかりと結果を残す。茶谷は「どこで出ても出られるようにと準備はしています」と試合前練習では、ファースト、セカンドの守備練習を行う日もあれば、ショート、サードを守備練習したりしている。
また、ショートの藤岡裕大と友杉篤輝を併用したり、うまく選手を使い分けて起用し、これが今はハマっている。藤岡が「怪我で去年は出られなかったので、そこのケアを今年は心がけています。なるべく万全な状態で1日1日迎えられるように意識しています」と話せば、友杉は「任された試合1試合1試合、必死にやっています。目標というか1試合1試合一生懸命やりたいと思います」と意気込む。
外野手も故障者が続出する中で、角中、岡といったベテランがスタメン、途中から出場してもいい味を出し、和田康士朗、平沢もチャンスをモノにしようと必死だ。
競争意識が昨季以上に高くなったことで、これまでチームとして取り組んできたプレーが結果に結びつくことが多くなった。
投打共に主力選手が故障や不振で一軍を不在にしている選手が多い中、首位を走り1974年以来となる勝率1位でのリーグ優勝への期待が高まっているが、まだ5月であることを忘れてはならない。これまで何百回も述べているがロッテは好不調の波が大きく大型連勝したかと思ったら、突然連敗したり、その逆もある。この先の戦いが全く読めないチームだ。ただ、勝負の夏場に向けて、現有戦力の見極めと底上げ、先を見据えた選手起用を投打ともにしていることはわかる。今は、勝負の時期に向けて1つでも多く白星を挙げたい。
取材・文=岩下雄太
予告先発となっていた森遼大朗が登板を回避し、18日のオリックス戦のように“ブルペンデー”が想定される中、打線が初回に1番・池田来翔の右安、2番・藤岡裕大の四球で一、二塁とし、3番・中村奨吾が三併に倒れたが、4番・ポランコのセンター前適時打で幸先よく先制。その裏、森に代わって先発となった岩下大輝は、2つの四球を与えるも無失点で切り抜ける。
2回に打線は佐藤都志也の第2号ソロで追加点。その裏から登板した廣畑敦也は3回・51球を投げ1失点に抑え、坂本光士郎に繋ぐ。
投手陣が踏ん張り、なんとか追加点を挙げたい打線は6回先頭の安田尚憲が四球を選ぶと、続く角中勝也がきっちり初球で送り、岡大海が適時二塁打。さらに一死一、二塁から平沢大河の中飛で二塁走者・岡が三塁にタッチアップすると、池田の三塁ゴロを楽天の三塁手・黒川の後逸している間に二者が生還し、この回4点を加え6-1と一方的な試合展開となる。
5回から登板した坂本が6回途中まで投げ無失点、7回に1点を失ったが東妻勇輔は1回2/3を投げ、6-2の8回は澤村拓一が2点を失うも、ベンチ外だった益田直也に代わり9回はペルドモが試合を締めた。
6回終了時点でリードしてれば19勝1敗
故障者が続出しベストメンバーでない中で、勝利を積み重ねているロッテ。6回終了時点でリードしている試合は今季、ここまで19勝1敗。21日の楽天戦のようにリリーフ陣が失点することもあるが、先発陣がリードした状態で、リリーフ陣にバトンを繋げば、そのリードをしっかりと守り切っている。
今季のブルペンは決まった形の“勝利の方程式”を採用しておらず、場面や状況に応じてリリーフ投手をうまく起用し、現在は複数の勝利の方程式を作ろうとしている最中だ。開幕から無失点投球を続けている西村天裕は5月5日の取材で「どういう場面で投げてもしっかり抑えて、勝ちパターンに入っていけるようにやっていきたい」と話した翌日のソフトバンク戦で、2-1の6回二死走者なしで先発・メルセデスの後、移籍後初めてホールドがつく場面で登板し無失点に抑えると、11日の西武戦では3-0の7回、初めて勝ちパターンの7回を投げた。
イニング途中からの登板、イニング跨ぎ、さらには勝ちパターンでの登板もある坂本光士郎は「そこは変わりなく、常に全力でという気持ちでやっています」と、どのポジションでも変わらず腕を振る。
5日のソフトバンク戦では“勝ちパターン”のペルドモ、澤村、益田がすでに9回までに投げており、0-0の10回に同日昇格したばかりの東妻が登板し2回・無失点、12回は廣畑が無失点で引き分けたという試合もあった。
吉井理人監督が投手コーチ時代と同様に、リリーフ陣は基本的に3連投、1週間に4登板をさせない方針。そのため、連投が続いた時には柔軟に起用し、西村や坂本のようにビハインドだけでなく、勝ち試合でも登板がある。シーズン先を見据えた投手起用が結果的に、リリーフのバリエーションを増やしている。
先発陣も5月はブルペンデーだった18日のオリックス戦と21日の楽天戦、それに森が先発した4日の楽天戦、13日の日本ハム戦以外は全て5イニング以上投げている。ブルペンデーの前日の17日のオリックス戦で小島和哉が8回を投げ、20日の楽天戦で西野勇士は完投勝利を挙げた。先発陣が長いイニングを投げていることで、ブルペンデーも可能になった。ちなみに5月は先発が6イニング以上投げた試合は7勝0敗1分。
小島は「僕が火曜日、水曜日に投げているので、できるだけ長いイニングを投げて僕の試合で中継ぎを使わないことを考えていけば後半とか、心置きなく中継ぎを投入できると思う。週頭で投げる時はいつもよりイニングをしっかりと考えて長い回を投げることを一番に考えてやっていきたいと思います」と頼もしい言葉を残している。
5月は犠打成功率100%
攻撃に関しては基本的に、“1つ先の塁を狙った走塁”、小技を使って走者を進めてチャンスで得点していくなど、基本的には昨季までと似たようなスタイル。今季はその精度が高まっている。
特に5月は22度犠打を試みているが全て成功させ、ファーストストライクで決めた送りバントは17度。5月14日の日本ハム戦、3-2の4回一死三塁で田村龍弘がスクイズを決めたが、あれも初球だった。チーム最多タイの6犠打を決める田村は、今季決めた送りバントは全てファーストストライク。攻撃にリズムを作っている。
ZOZOマリンスタジアムで行われる試合前練習では、一塁ベンチ前に設置してあるバントマシン相手に、選手たちが試合を想定して犠打練習を行う姿がある。チームトップタイの6犠打を決める平沢は「ランナー一、二塁」、「ランナー一塁」と場面を想定して、試合の準備を進めている。
昨季までと違う点で言えば、スタメンを固定していないこと。例えば、2試合連続4番でスタメン出場し、5月の月間打率.412と好調の茶谷健太がスタメンを外れた中、代わって『1番・一塁』でスタメン出場した20日の楽天戦で池田来翔が4安打。スタメンで起用された若手選手たちが、しっかりと結果を残す。茶谷は「どこで出ても出られるようにと準備はしています」と試合前練習では、ファースト、セカンドの守備練習を行う日もあれば、ショート、サードを守備練習したりしている。
また、ショートの藤岡裕大と友杉篤輝を併用したり、うまく選手を使い分けて起用し、これが今はハマっている。藤岡が「怪我で去年は出られなかったので、そこのケアを今年は心がけています。なるべく万全な状態で1日1日迎えられるように意識しています」と話せば、友杉は「任された試合1試合1試合、必死にやっています。目標というか1試合1試合一生懸命やりたいと思います」と意気込む。
外野手も故障者が続出する中で、角中、岡といったベテランがスタメン、途中から出場してもいい味を出し、和田康士朗、平沢もチャンスをモノにしようと必死だ。
競争意識が昨季以上に高くなったことで、これまでチームとして取り組んできたプレーが結果に結びつくことが多くなった。
投打共に主力選手が故障や不振で一軍を不在にしている選手が多い中、首位を走り1974年以来となる勝率1位でのリーグ優勝への期待が高まっているが、まだ5月であることを忘れてはならない。これまで何百回も述べているがロッテは好不調の波が大きく大型連勝したかと思ったら、突然連敗したり、その逆もある。この先の戦いが全く読めないチームだ。ただ、勝負の夏場に向けて、現有戦力の見極めと底上げ、先を見据えた選手起用を投打ともにしていることはわかる。今は、勝負の時期に向けて1つでも多く白星を挙げたい。
取材・文=岩下雄太