ニュース 2023.06.26. 06:40

ロッテ・福田秀平「怪我する前の時を求めてやっていた3年間」モデルチェンジを決断し「とにかくコンタクトすることを意識」

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栗原健太コーチとティー打撃をする福田秀平【撮影日=2023年5月19日】(写真=岩下雄太)

今季初出場で好結果


 「本当に年齢的に数多く打席をもらえる立場ではないので、1打席、1打席、その打席でなんとかコンタクトをできるようにやっています」。

 23日に特例2023で一軍登録を抹消した藤岡裕大の代替指名選手として今季初昇格を果たしたロッテ・福田秀平が、『2番・指名打者』で今季初出場した25日の日本ハム戦でマルチ安打と結果を残した。

 0-0の初回一死走者なしで迎えた第1打席、日本ハム先発・鈴木健矢が3ボール2ストライクから投じた6球目のシンカーをセンター前に弾き返し、今季初打席で初安打を記録。一塁ベース上では両手を叩き喜んだ。6月はファームでスタメン出場した試合の第1打席、打率.667(6-4)と一軍でも変わらず、第1打席での強さを発揮。

 続く3-1の3回一死走者なしの第2打席も2ボール2ストライクから鈴木が投じた5球目の112キロスライダーをセンター前に運んだ。


モデルチェンジ


 この3年間、福田秀平の打撃映像を見ていると、外野へフライの安打を打っているとき、打ち取られたとしても外野にフライを打っている時は、調子を上げていく、調子が良いように見えた。

 「肩甲骨を骨折してから、すごく苦しんではいるんですけど、その中で自分のバッティングというのを怪我する前の時を結構求めてやっていた3年間。なかなかそれだと力が入らないし、可動域も出ない中で、同じスタイルでやっても厳しいというのはわかっている。今年は二軍のコーチとこの肩にあったバッティングというのを模索してきました。今は外野に飛ばす、遠くに飛ばす、強く振る意識はしていないですね」。

 20年6月の練習試合で死球を受け右肩甲骨を骨折してから、自分がやりたい角度をつけた遠くへ飛ばす打撃ができないもどかしさ、悔しさがあった中で、自身が求めてきた打撃スタイルを捨てて、モデルチェンジを図った。

 「モデルチェンジを自分の中で、この肩でできるバッティングというのをずっと模索してきた中で強く振る、遠くへ飛ばすというのを捨てて、とにかくコンタクトすることを意識しています」。

 今季はノーステップ気味に打ったり、すり足気味に打ったりしている。そういった部分も含めて「全てはこの肩でできるバッティングをという感じです」と教えてくれた。

執念のプレー


 右肩の肩甲骨を骨折してから思うようなプレーができない中でも、チームの勝利のために戦う姿を見せてきた。昨年8月24日の西武戦では、2-2の7回無死一塁で森友哉(現オリックス)がライトフェンス際に放ったあたりをフェンスに激突しキャッチ。すぐに立ち上がれず、センターを守っていた髙部瑛斗にボールを投げ、ボールを受けた髙部が中継の二塁・中村奨吾に送球。二塁を狙った一塁走者を刺そうと中村はセカンドベースに入ったショート・小川龍成に送球しダブルプレーが完成したということもあった。このプレーで福田は「左肩関節前方脱臼」し離脱したが、怪我を怖れずひとつのアウトを奪う執念。当時3連敗中だったチームに喝を入れ、同試合からチームは3連勝した。

 この時マウンドで投げていた唐川侑己は昨年9月に取材した際、「もしあれが抜けていたりとか、1つしかアウトを取れていなかったら、全然結果も変わっていたと思います。気持ちを持ってプレーしてくれたので、そういう気持ちというのは選手みんなに伝わっているとは思います」と感謝した。

 ロッテにFA移籍してから4年。ここまでは苦しい時間の方が長くなっているが、チームの勝利に貢献しようと必死にプレーする姿は、マリーンズファンの心に届いているはずだ。

 「今のこの体でできる、この肩でできるバッティングを一軍でも結果として出していきたいと思います」。ここから福田秀平の巻き返しが始まる。

取材・文=岩下雄太

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