様々な役割をこなす
「成績に関しては別に納得がいくというのはひとつもないですし、まだまだ向上していかないとと思います」。
ロッテの岡大海は先発出場、代打、代走、守備固めと様々な役割を高いレベルでこなす。特に今季はレギュラー格の荻野貴司、髙部瑛斗が故障で離脱している期間が長いことに加え、開幕からレギュラーで出場していた藤原恭大が故障で離脱する期間があるなど、外野手の故障者が続出する中で、岡の存在の大きさが改めてわかるシーズンとなっている。
与えられた役割の中で結果を残せている要因に岡は「一番は準備じゃないですかね」と自己分析する。「打席だったり、塁に立つ時には、思いきっていけるようにしっかり心も体も準備して、整理した状態でいけるようにはしていますね」。
1番で出場した1日の楽天戦は0-2初回の第1打席、セカンドとライトの前にポトリと落ちる二塁打で出塁するとその後、中村奨吾の犠飛、安田尚憲の2点適時打に繋げた。3-2の4回には二死走者なしから柿沼友哉の安打、和田康士朗の四球で一、二塁とし、岡がレフトへ第4号3ラン。8-2の6回無死走者なしの第4打席はレフト前に安打を放ちチャンスメイクするなど、1本塁打を含む3安打3打点の活躍で勝利に貢献した。
「何番であってもどんどん積極的に」
春先はスタメン出場がありながらも代走、守備固めでの出場がメインだった。代走で出場した4月26日の西武戦では1-1の7回一死一、三塁で、友杉篤輝のボテボテの一塁へのゴロで、西武内野陣が前進守備を敷いていたが、ヘッドスライディングでホームインする好走塁で勝利に貢献した。
5月以降は先発で出場する機会が増え、1番、6番、9番など色々な打順を打っているが、チャンスメイクしたり、時にポイントゲッターになっている。
「何番であってもどんどん積極的にいくのは変えずにやっているつもりでいますし、僕はそんなにバンバンホームランを打てるバッターではないので、塁に出ることを意識しながら、考えながらやっています」。
“ホームランを打てるバッターではない”という言葉に、過去に取材した際、長打力を求めながら、打率を求めていきたいと話していたのを、ふと思い出した。長打に関しては岡がこだわっていた部分でもある。20年2月の取材では、プエルトリコでのウインターリーグを経験して、「長打力がある打者が評価されるというのを改めて思いましたし、もちろん率を残さないといけないのを大前提において、単打より長打が評価されるというのを改めて思って、僕もまた終わってからもオフの間はより強く取り組んだ部分ではあるかなと思います」と長打力に磨きをかけていた。
長打を打つという考えをなくしてしまったのだろうかーー。
「長打を打ちたいというのはありますし、そこは完成形としてずっと求めていきたいというのはあります」。変わらず“長打を打ちたい”という想いは持ち続けているようだ。
7月に入り、いよいよ本格的な夏が到来する。「チームとして若い。その中でしっかり自分がある程度引っ張っていければいいなという部分がありますし、一緒に頑張っていければなと思います。暑くなると、疲れている部分もあると思う。ただ相手ピッチャーが疲れてくることもある。そういう部分ではチャンスが広がってくると思う。しっかりやっていきたいなと思います」。スタメン、代打、代走、守備固め、これを高いレベルでできる選手はなかなかいない。この先も、チームを支える活躍に期待したいところだ。
取材・文=岩下雄太