日本ハム・万波(背番号66)と清宮(左端) (C) Kyodo News

◆ 白球つれづれ2023・第33回

 日本ハムの新庄剛志監督が、久しぶりにご満悦だ。

 11日からのソフトバンク3連戦で3カードぶりの勝ち越し。まだまだチームの借金は膨らんだままだが、連勝の内容に新たな手応えを感じている。

「いい打線だね。相手チームも嫌な打線と思ってくれているでしょう」

 指揮官をここまで喜ばせたのは、「ホームラン・カルテット」の誕生がゲームを支配したからだ。

 11日の同カードでは、万波中正選手が17、18号の連弾。加えて清宮幸太郎選手も9号アーチをかけてそろい踏み。翌12日には新戦力のアリエル・マルティネス選手と野村佑希選手の効果的な2発で快勝。

 3番のマルティネスから清宮、万波、野村と続く強力打線で併せて52発(13日現在、以下同じ)だから、ようやく打線の骨格が出来上がってきたと見ていいだろう。

 中でも早稲田実高出身の清宮と横浜高出身の万波は高校時代に甲子園を沸かした人気者コンビ。今では“きよまん砲”のニックネームも定着しつつある。

 今月の上旬、新庄監督らしい用兵が話題を呼んだ。

 1日と2日のロッテ戦で先発オーダーが2日連続で一緒だったからだ。これは昨年誕生した新庄政権では238戦目にして初の出来事。それほど打線編成に苦心してきた。加えて、この指揮官は自軍打者の調子や相手との相性などで「猫の目打線」を好んで採用してきた。

 就任1年目の昨年は、迫力不足の打線もあり、攻撃面では機動力と奇襲を前面に打ち出したが記録的な大敗(59勝81敗3分け)で最下位に沈んだ。

◆ 見えてきた新庄ハムの成長曲線

 今季もここまで借金17と成績は上がらないが、戦い方には大きな違いが出てきている。相手に一方的にやられることが減り、2点差以内のクロスゲームが増えているのだ。

 終盤までどちらに転ぶか、わからない2点差以内の試合は実に62試合に上っている。結果は21勝41敗と惨憺たる有様だが、少なくとも「あと一歩」のところまでこぎつけているのは確か。7月には13連敗を喫して最下位に逆戻りしたが、このうち6戦連続1点差負けという球団史上54年ぶりの珍記録まで残している。そんな苦い教訓を生かして、今月は6勝中5勝が2点差以内の勝利。同条件の負けは1試合だけだ。

 さらに105試合を消化した現時点でチーム本塁打80本はリーグ3位。そのホームランの出た試合は28勝25敗と勝利数ははね上がる。やはり長距離砲の威力は別格である。

 昨年は14本塁打でブレークの兆しをのぞかせた万波が本塁打王も狙える位置につければ、同じく6本塁打だった野村が2ケタに。昨年は中日の代打要員だったマルティネスが14本。ここに清宮が夏場に調子を上げてきた。

 新球場のエスコンフィールドが札幌ドームよりも狭いこともアーチ量産の一因となってはいる。それでも新庄監督が自慢する「いい打線」が組めるようになってきた。

 もし、2年連続最下位に終われば、大なり小なり現場の責任を問う声は上がって来るだろう。中日の立浪和義監督も同様だ。

 しかし、曲がりなりにも新庄ハムの成長曲線は見えてきた。若手主体の「ホームラン・カルテット」には夢がある。ここにあと一人、10勝級の投手を強化出来れば来季は台風の目以上の躍進の予感もする。

 甲子園の熱戦が続いている。かつての怪物君、清宮と万波も歩みを止めるわけにはいかない。

文=荒川和夫(あらかわ・かずお)

【荒川和夫・プロフィール】
1975年スポーツニッポン新聞社入社。野球担当として巨人、西武、ロッテ、横浜大洋(現DeNA)等を歴任。その後運動部長、編集局長、広告局長等を経て現在はスポーツライターとして活動中。

この記事を書いたのは

荒川和夫

1975年スポーツニッポン新聞社入社。野球担当として巨人、西武、ロッテ、横浜大洋(現DeNA)等を歴任。その後運動部長、編集局長、広告局長等を経て現在はスポーツライターとして活動中

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