一軍再昇格後の打率は.400
「本当にCSに向けてワンチャンスが大事だと思うので、しっかり求められていることをしっかり全うできればなと思います」。
ロッテの松川虎生は、9月28日に特例2023の代替指名選手で4月13日に一軍登録抹消されて以来の一軍昇格を果たすと、同日の日本ハム戦で守備から途中出場し、9回に回ってきた最初の打席で守護神・田中正義が1ボール2ストライクから投じた4球目の136キロフォークをレフト前に弾き返した。
「1打席大事になってくると思うので、しっかり初球から振りにいけていますし、それをしっかり捉えられる、もう1個タイミングが遅いと思うので、タイミングを自分のポイントで打てるように引き続きやっていきたいと思います」。
4月11日の西武戦以来となるスタメンマスクを被った10月2日の西武戦でも、2-1の2回一死走者なしの第1打席、エンスが投じた初球のカットボールをセンター前に運び、2試合連続安打をマーク。3-2の4回一死三塁の第2打席では、初球できっちりとスクイズを決めた。
2試合連続先発マスクとなった3日の西武戦は2打数0安打だったが、0-2の2回二死一塁の第1打席は、松本航が投げた初球のストレートを捉える痛烈な三塁ゴロだった。再昇格後の打撃を見ても、打球の強さや打席内でどっしり感が少し出てきたようにも見える。
9月のファーム月間打率は.400
プロ1年目の昨季は、高卒新人捕手としてはNPB史上3人目となる開幕スタメンマスクを被ると、チームトップの70試合で先発マスクを被るなど、シーズン通して1度もファームに降格することなく、1年間一軍で戦い抜いた。
今季も開幕一軍を掴み、美馬学、佐々木朗希が先発登板の時に先発出場していたが、佐々木朗には4月6日の日本ハム戦で6回無失点の好リードも、美馬は2試合・8回1/3を投げ7失点、4月12日に一軍登録抹消となり、打撃面で課題を抱えていた松川も4月13日にプロ入り後初めて一軍登録抹消となった。
昨年は佐藤都志也との併用で試合に出場しない日もあったが、ファームでは捕手として出場しない日には指名打者で出場したりと、ほぼ休みなく出場し、試合後もウエイトトレーニングなどでパワーアップを図った。
「あんまり結果が出てない時も使っていただけましたし、そういうところで1打席1球というところを大切にしていかないといけないなと思ってやってきました。キャッチャー以外でも指名打者でも使ってもらっているので、しっかり自分のモノにできればなと思ってやっていました」。
ファームでの打率は.233(326-76)だったが、9月の月間打率は.400(35-14)、5打点、9月12日の巨人二軍戦から9月19日のヤクルト二軍戦にかけて4試合連続安打、そのうち3試合が複数安打。9月15日の西武二軍戦、伊藤翔が投じた初球の126キロのスライダーを振り抜き、レフトオーバーの適時二塁打、続く打席では三浦大輝が2ボール1ストライクから投じた4球目の143キロストレートを右中間に破る二塁打と、共に素晴らしい打撃だった。9月27日の楽天二軍戦では瀧中瞭太の低めボール気味のカーブを左手1本で技ありのセンター前安打を放った。
「ファームでやってきてコツというか、いい感じで栗原さんにバッティングのところで教えてもらったので、それをしっかり継続できるように。それが試合でちょっとずつできていると思うので、もっともっと1球で捉えられるように、タイミングの取り方、間を大事にやっていきたいと思います」。
7月にファームで取材した時に”自分のポイントで打てるように”と話していたが、それを継続しているのだろうかーー。
「自分のポイントで打つこともそうですけど、タイミングが一番大事だと思うので、しっかりファームでやってきたことをしっかり出せればなと思います」。
バットも8月30日の楽天二軍戦から現在使用している形に変更した。それも好調の要因に繋がっているのだろうかーー。「そこは特にないですけど、いい感じでバットが出てきているので、引き続きどんどん向上目指してやっていきたいと思います」。
ファームでは99試合に出場。「去年と違って試合に出させていただいて、考えることもたくさんありますし、体も疲労感がどういうものなのかというところもわかってきたので、もっともっとやっていければなと思います」と、体力面でも自信がついた。
一軍での出場は減ったが、ファームで試合に出て1年間試合に出続ける体力をつけてきた。まだシーズンは残っているが、来季は一軍で1試合でも多く先発マスクを被ることを期待したい。
取材・文=岩下雄太