2021年からローテ定着、リーグ3連覇に貢献
オリックスの山﨑福也投手(31)が今季取得した国内フリーエージェント(FA)権行の使を表明。今季年俸6000万円(推定)は人的、金銭の補償が生じない“Cランク”とみられ、複数球団の争奪戦が予想される。
日大三高、明治大を経て、2014年のドラフト1位でオリックス入り。4年目の2018年は未勝利に終わるなどポテンシャルが開花するまでに時間を要したが、2021年から先発ローテーションに定着。ここから3年連続で100イニングを消化し、今季はプロ入り初の2ケタ勝利となる11勝(5敗)を挙げるなど、自己最多の130回1/3を投げ防御率3.25をマーク。チームのリーグ3連覇に貢献した。
1イニングあたり何人の走者を出したかを表し「先発なら1.20未満で優秀」と言われるWHIPという数値は、2021年から1.16→1.21→1.16と安定した推移。投手王国と言われるオリックスで試合を作れる先発左腕の地位を確立した。
高校時代に最多安打記録を樹立、打撃センスは健在!
山﨑福也という投手を語る上で外せないのが非凡な打撃センスだろう。日大三高時代の2010年センバツ甲子園大会で、エースとして準優勝へ導く一方、打者として大会通算13安打を放ち1大会の個人最多安打記録を樹立(タイ記録)。プロ入り後も指名打者制のパ・リーグ所属でありながら、数少ない交流戦の打席で快音を響かせプロ通算打率は.273(22打数6安打)をマーク。2022年の交流戦では代打起用され話題となった。
ヤクルトと対戦した2022年の日本シリーズでは、登板した2試合とも指名打者制ではない神宮球場での第2戦と第6戦に「9番・投手」で出場。第2戦で先制適時打を放つなど計3打数1安打1打点、1犠打を記録。投げても計9イニングを無失点に抑える好投でチームの日本一に貢献し、投打に渡る活躍を称えられ優秀選手賞を受賞した。
阪神と対戦した今年の日本シリーズも甲子園での第4戦に「9番・投手」で出場し、5回途中3失点(自責点2)で降板。打席では2打数無安打に終わったが、右飛に倒れた第1打席は阪神先発・才木の追い込まれたあとの低めフォークに上手くバットを合わせ、改めて打撃センスの高さを垣間見せた。
着実に積み上げてきた投手としての実績だけではなく、野手顔負けの打撃センスも魅力。近年は球界全体が投高打低の傾向にあり、仮にセ・リーグ球団への移籍となれば得点力アップへの期待も抱かせてくれる稀有な投手だ。新たな「二刀流スター」になれる可能性を秘める左腕はどのような選択を下すのか――。15日にFA宣言選手として公示され、16日から他球団との交渉が可能となる。