ニュース 2023.12.02. 11:00

ニッポン放送・胡口アナ、松井秀喜さんのヤンキース移籍決定の日に一緒にいたワケ

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胡口和雄アナウンサー

いつでもみんなのプロ野球!実況アナルーム11・12月のテーマは“ストーブリーグ”


 「松井選手のFAの時ってその年の初めから結構、どうなるんだとキャンプの頃から言われていて、周りの広報からも松井選手はどうなります?って言われていました。わからないけど優勝したら可能性があるかもしれないなという話をしたら、義理を果たして僕の役割はある程度貢献できたというので、FAがあるかなと思いましたね。ただ松井選手となると巨人の松井というイメージが強いから、果たしてFAしてこの機会に(メジャーに)いくのか。年齢的にも28だから、これが最後だから(移籍が)あるかもなと思ったんだけど、一切言わなかったですね」。

 胡口和雄アナウンサーにお話していただいたのは、02年に50本塁打を放ち巨人のリーグ優勝、日本一に貢献した松井秀喜選手が同年オフにFA権を行使して、メジャーリーグのヤンキースに移籍した時のお話だ。

 日本最終年となった02年、振り返ると春季キャンプに移籍の兆候があったと胡口アナはいう。

「後から考えた時に彼はキャンプの時から僕が案内したお店とかシーズン中もよく行っていたお店に広島とか、東京を含めてジャビット人形を持って歩いていた」。

 「何年もお世話になった宮崎のお店だったんだけど、彼が唯一気心しれてカラオケでも歌えたこぢんまりとしたお店。そこに連れて行ったら彼も気に入ってくれて、必ずゴルフに行った後はそこによって帰るというパターンを恒例としていた。そこで俺が気付けばよかったんだよね」。

 「遠征にくっついって行ったときはそういうお店に行って、彼と一緒に食事するのが常だったから、当たり前みたいに僕は思っていたので、後から考えたら日本のお世話になった人へのお別れのご挨拶だったんだなと。後から気がつかなければいけなかった」。

 02年のシーズンが終了し、松井はFA権を行使した。「FAのことは一切、彼は言わなかったよ。多分、なんとなく(松井さんが)匂わせていたのは、今の巨人の村田善則さん。村田さんは人格者でもあるし、松井選手が信頼を置いている一人でもあった。ニュアンス的に彼に言っていたかもしれない。はっきりは村田さんも言われていなかったみたいだけど、『ニュアンスからして僕は行くとは思いました』って後から聞いたら言っていましたよ」。

 FA権を行使し、ヤンキースに移籍が決まった日、松井さんと胡口アナはゴルフ仲間と一緒に過ごしていた。

 「松井くんを高校時代から面倒を見ていた人がいて、その人はいつもゴルフになるとコンペがあって松井を連れて行って呼んでいた。その社長さんが『胡口さん大変だから、松井を隔離しましょう』と。どうせ自分の家にはマスコミが押し寄せて対応できないから、場所もないし、その日は隔離しようと。正式に発表の場を持つだろうから、そういうのではなくて、マスコミが決まった瞬間、絶対に探すからその瞬間は隔離してゴルフに連れて行ってしまえと。その日の朝、昼間かな。ハーフラウンドを終えたぐらいにヤンキースに決まったという情報が入っていたわけ。ああよかったね、これから大変だね、じゃあどうしようかと。知っているのは僕らだけだから、夜も多分大変でみんな探すだろうから、そのまま銀座にお店に行っちゃえと。それこそ僕が紹介した東京のご両親みたいな松井くんをお世話していたお店に連れて行って、そこでずっと誰も来ないから1日隔離したわけです」。

ヤンキース移籍が決まった後も、松井さんは喜んだ姿は一度も見せなかったという。「泰然自若。おそらく陰ではやっているだろうけど、人前で一切見せることはない。決まった瞬間はおそらく嬉しかっただろうけど」。

 その後、03年から活躍の舞台をメジャーにうつした松井さんはヤンキース、エンゼルス、アスレチックス、レイズでプレーし、通算1236試合に出場して打率.282、175本塁打、760打点の成績を残し、12年限りで現役引退した。

▼胡口アナからリスナーに向けてメッセージ
「僕は1年1年が王さんの引退の時のように周りでは、まだ30本以上打てるでしょうと本人は30本しか打てなくなったという感覚で、自分としてはバットを置かなきゃいけないという男の美学がある。僕もそれに刺激されていたから、まだ喋られるじゃないですか、声が出るじゃないですか、と言われても昔のように目から口へと言葉が出る時と比べて、0コンマ何秒遅れる時がある。

自分の感覚としては今までできていたことがだんだんできなくなることも含めて、なるべく時間を0コンマ何秒を極力間をパッと昔のように、目から口へ言葉が出るような。そのためには言葉もさらに勉強していかないといけないし、そういう意味ではだんだん年齢を重ねるに従って中継、放送に対してプレッシャーを以前よりも感じるようになってきました。肉体的、精神的なことも含めて、昔の方が気が楽だった。こちらは一戦一戦が勝負で毎試合中継をやっているので、今年もこうやってきたし、来年もやるようなことがあれば、そういった思いでやっていることを皆さんにわかってもらえればより迫力のある、思いのこもった中継ができるんじゃないかなと思います」

(ニッポン放送ショウアップナイター)

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