ロッテの横山陸人はプロ4年目の今季、プロ初勝利、プロ初ホールド、プロ初セーブを挙げるなど、シーズン自己最多の38試合に登板し、2勝(3敗)、8ホールド、防御率5.26の成績を残した。
昨季は一軍でわずか1試合の登板に終わり、今季に向けてオフは「変化球は自分の中で課題だと思っていたので変化球の強化、それと1年間投げ抜く体力というのは全然足りなかったので、体力強化を意識して自主トレには取り組んできました」と課題克服に励んだ。
開幕一軍入りへ向け、「自分の結果を意識してとにかく今は自分で手いっぱいなところがある。周りとかは気にせず、自分は自分でという感じで、とにかく試合で投げられるようにしていこうかなと思います」と意気込んだ。2月の練習試合では5試合・5イニングを投げ、3失点、3月のオープン戦は4試合・4イニングを投げて2失点と開幕は二軍スタート。
開幕直後の4月9日に昇格したが、2試合連続で失点し、4月16日に一軍登録抹消された。ファームに降格直後の4月23日の日本ハム二軍戦でのストレートが凄かった。2-3の7回無死満塁で登板すると、阪口樂をオール150キロ超えのストレートで2ボール2ストライクから5球目の152キロストレートで空振り三振、続く宇佐見真吾も2ボール2ストライクから6球目の153キロストレートで空振り三振、最後は郡拓也もストレートで遊直に打ち取った。宇佐見の投球時には最速154キロを計測した。
その後も、力勝負でファームの打者を圧倒。1回を無失点に抑えた5月18日の楽天二軍戦は、5球全てストレート、続く19日のDeNA二軍戦も9球中7球がストレート、さらに24日のヤクルト二軍戦も10球中9球がストレートだった。
「特に意識はしていないんですけど、多分、キャッチャーの方が中継ぎで短いイニングなので、一番良い球をガンガン使っていくという感じだと思います。真っ直ぐが最近走っているので、投球の割合が増えているのかなと思います」と自己分析。
「去年だいぶ(ストレートが)ひどかったので、しっかり修正して投げられているのかなと思います」とこの時期は、自信を持ってストレートを投げられていた。
シーズンオフの自主トレで磨いてきた変化球も、「最近右打者に対してもシンカーを投げていますし、そういうところでは徐々に良くなってきているのかなと思います」。5月10日のヤクルト二軍戦では、3-7の7回一死走者なしで、右打者の三ツ俣大樹をシンカーで空振り三振に仕留めた。右打者へのシンカーは「ファームでしっかり練習して、一軍で通用できるようにという感じですね」と一軍でも投げられるよう磨いていた。
「一軍で投げるためにはもちろん変化球というところが自分の中で課題ですし、そればっかり意識しすぎると、また真っ直ぐが疎かになったりするので、そこは色々自分の体も真っ直ぐの感じを確かめながら、やっていければ大丈夫なのかなと思います」。
「とにかく二軍でも結果を出さなきゃいけないと思っています。結果を残しつつ自分の課題にも取り組めるような心の余裕を持ちながら、これからもやっていきたいと思います」。
4月19日のヤクルト二軍戦から13試合連続無失点で抑えていた横山は、6月4日に満を持して一軍に再昇格を果たす。
同日の阪神戦に0-2の8回に登板。4番・大山悠輔に151キロのストレートをレフト前に弾き返されたが、続く佐藤輝明を137キロのシンカーで空振り三振。「ファームでもそういうところを集中してやってきたので、しっかり試合に出せて良かったと思います」。ファームでは変化球を課題に取り組んできた中、一軍再昇格後、初めてのアウトを変化球で、それも三振で打ち取った。
空振り三振を仕留めたシンカーも素晴らしかったが、佐藤に対して1ストライクから2球目に投じたインコースの150キロストレートで見逃しを取ったのも良かった。本人も「ファームでやっていたストレートをしっかり投げられていたので、そこは良かったと思います」と振り返った。
続く森下翔太を133キロのスライダーで中飛、梅野隆太郎を154キロのストレートで投ゴロ、1回を無失点に抑えた。
「めちゃくちゃ緊張していたんですけど、実際にマウンドに立ったら開き直れたというか、しっかり投げられた。良かったと思います」。
翌5日は7-7の延長12回と、失点したらチームが敗れるというプレッシャーのかかる場面でのマウンドとなったが、圧巻の投球を見せた。前日レフト前に安打を許した4番・大山をスライダーで3球三振に仕留めると、続く佐藤輝を高めの153キロストレートで空振り三振。最後は島田海吏を151キロのストレートで投ゴロに打ち取った。
6月は9試合・9イニングを投げ、無失点。ファームと同じようにこの時期は、力勝負で一軍の打者をねじ伏せた。「実際投げて、真っ直ぐをしっかり捉えられたなというのは少ないので、そこはすごい自分では良かったところだと思います」。
ストレートが強くなった理由について、「特にはこれっていうのはないんですけど、去年の12月にジムに行っている時にストレートの強さを求めるために色々トレーニングをしていて、1月、2月と継続してやってきて、結果が出たのがたまたま4月とか5月くらいだったかなと思います」と明かした。
ストレートだけでなく、シンカーでも空振りを奪った。プロ初ホールドを記録した7月6日の西武戦では、高木渉に対して3球全てシンカーで空振り三振を奪った。
「1回ファームに落ちた時にシンカーの精度が良くないというところで、色々アナリストの方だったり、コーチの方だったりに話を聞いて自分の理想とする変化ではないですけど、そういうのにだいぶ近づいてきているのかなと思います」。
7月9日の日本ハム戦では、3-2の9回に登板。
「初めてセーブシチュエーションで投げさせてもらって、もちろん先発ピッチャーの勝利もかかっていますし、チームの勝利もかかってくるなかで、そういうところで投げるというのはすごい特別というか、抑えたら勝ちで嬉しいですし一発打たれたら、サヨナラ同点ということで、特別な気持ちはありましたね」。
「もちろんそういうシチュエーションで投げるのは緊張しますし、1本出れば同点になってしまう、チームが負けてしまうというところで投げたので、プレッシャーじゃないですけど、すごい感じながらそれがいい感じに開き直れて自分の球を投げられて良かったかなと思います」。
万波中正を1ボール2ストライクから5球目の151キロストレートで右飛、マルティネスを初球の153キロストレートで三ゴロ、最後は石井一成を2ボール2ストライクから5球目の152キロストレートで中飛に打ち取り、プロ初セーブを記録した。
7月23日のソフトバンク戦では3-3の10回に登板し、スコアボードに0を入れると、その裏安田尚憲がライト前にサヨナラ打を放ち、嬉しいプロ初勝利。
「とにかく今、任されたところで試合でゼロに抑えていくのが大事になってくると思うので、チームの勝ちにしっかり貢献できていければいいかなと思います」。
7月28日のソフトバンク戦は8-5の6回に登板し1回を無失点、7月30日のソフトバンク戦は5-5の9回に登板し1回を無失点、8月1日の日本ハム戦は2-1の7回、初めて勝ち試合の7回に登板し1回を無失点、8月4日の楽天戦は5-3の7回に登板し1回無失点と、ホールドがつく場面でも結果を残し信頼を積み上げていく。
8月24日のソフトバンク戦では5-4の8回に登板し、19球中16球がストレートの力勝負で1回を無失点に抑えた。
8月は9試合・9イニングを投げ、イニング数を大きく上回る奪三振10。「もちろんストレートが良いところもありますし、変化球も相手に意識させながら投げられていると思うので、そういうところが空振りとか三振に繋がっているのかなと思います」。
また、8月29日の取材では「(ストレートは)変わらず(強い球を)投げられています」と話しながらも、「最近シュート成分が大きいのでそこは、気にしながらピッチングしています」とシュート回転するストレートに悩んでいた。
9月に入ると5日のソフトバンク戦から16日の西武戦にかけて4試合連続無失点に抑えていたが、20日のオリックス戦で0回2/3を投げ5失点、先発予定だった佐々木朗希の発熱により代わって先発した24日のソフトバンク戦は1回5失点と悔しいマウンドが続いた。
10月6日のオリックス戦を最後に一軍登板がなく、クライマックスシリーズでは1試合も登板することができなかった。それでも、11月16日から19日にかけて行われたカーネクストアジアプロ野球チャンピオンシップ2023の日本代表に選出され、17日の韓国戦で侍ジャパンデビューを果たし、1回を無失点に抑えた。
短期間では結果を残せることを証明した。あとはシーズン通して安定して結果を残していけるかどうか。今季の経験を来季に繋げたい。
取材・文=岩下雄太
昨季は一軍でわずか1試合の登板に終わり、今季に向けてオフは「変化球は自分の中で課題だと思っていたので変化球の強化、それと1年間投げ抜く体力というのは全然足りなかったので、体力強化を意識して自主トレには取り組んできました」と課題克服に励んだ。
開幕一軍入りへ向け、「自分の結果を意識してとにかく今は自分で手いっぱいなところがある。周りとかは気にせず、自分は自分でという感じで、とにかく試合で投げられるようにしていこうかなと思います」と意気込んだ。2月の練習試合では5試合・5イニングを投げ、3失点、3月のオープン戦は4試合・4イニングを投げて2失点と開幕は二軍スタート。
開幕直後の4月9日に昇格したが、2試合連続で失点し、4月16日に一軍登録抹消された。ファームに降格直後の4月23日の日本ハム二軍戦でのストレートが凄かった。2-3の7回無死満塁で登板すると、阪口樂をオール150キロ超えのストレートで2ボール2ストライクから5球目の152キロストレートで空振り三振、続く宇佐見真吾も2ボール2ストライクから6球目の153キロストレートで空振り三振、最後は郡拓也もストレートで遊直に打ち取った。宇佐見の投球時には最速154キロを計測した。
その後も、力勝負でファームの打者を圧倒。1回を無失点に抑えた5月18日の楽天二軍戦は、5球全てストレート、続く19日のDeNA二軍戦も9球中7球がストレート、さらに24日のヤクルト二軍戦も10球中9球がストレートだった。
「特に意識はしていないんですけど、多分、キャッチャーの方が中継ぎで短いイニングなので、一番良い球をガンガン使っていくという感じだと思います。真っ直ぐが最近走っているので、投球の割合が増えているのかなと思います」と自己分析。
「去年だいぶ(ストレートが)ひどかったので、しっかり修正して投げられているのかなと思います」とこの時期は、自信を持ってストレートを投げられていた。
シーズンオフの自主トレで磨いてきた変化球も、「最近右打者に対してもシンカーを投げていますし、そういうところでは徐々に良くなってきているのかなと思います」。5月10日のヤクルト二軍戦では、3-7の7回一死走者なしで、右打者の三ツ俣大樹をシンカーで空振り三振に仕留めた。右打者へのシンカーは「ファームでしっかり練習して、一軍で通用できるようにという感じですね」と一軍でも投げられるよう磨いていた。
「一軍で投げるためにはもちろん変化球というところが自分の中で課題ですし、そればっかり意識しすぎると、また真っ直ぐが疎かになったりするので、そこは色々自分の体も真っ直ぐの感じを確かめながら、やっていければ大丈夫なのかなと思います」。
「とにかく二軍でも結果を出さなきゃいけないと思っています。結果を残しつつ自分の課題にも取り組めるような心の余裕を持ちながら、これからもやっていきたいと思います」。
4月19日のヤクルト二軍戦から13試合連続無失点で抑えていた横山は、6月4日に満を持して一軍に再昇格を果たす。
同日の阪神戦に0-2の8回に登板。4番・大山悠輔に151キロのストレートをレフト前に弾き返されたが、続く佐藤輝明を137キロのシンカーで空振り三振。「ファームでもそういうところを集中してやってきたので、しっかり試合に出せて良かったと思います」。ファームでは変化球を課題に取り組んできた中、一軍再昇格後、初めてのアウトを変化球で、それも三振で打ち取った。
空振り三振を仕留めたシンカーも素晴らしかったが、佐藤に対して1ストライクから2球目に投じたインコースの150キロストレートで見逃しを取ったのも良かった。本人も「ファームでやっていたストレートをしっかり投げられていたので、そこは良かったと思います」と振り返った。
続く森下翔太を133キロのスライダーで中飛、梅野隆太郎を154キロのストレートで投ゴロ、1回を無失点に抑えた。
「めちゃくちゃ緊張していたんですけど、実際にマウンドに立ったら開き直れたというか、しっかり投げられた。良かったと思います」。
翌5日は7-7の延長12回と、失点したらチームが敗れるというプレッシャーのかかる場面でのマウンドとなったが、圧巻の投球を見せた。前日レフト前に安打を許した4番・大山をスライダーで3球三振に仕留めると、続く佐藤輝を高めの153キロストレートで空振り三振。最後は島田海吏を151キロのストレートで投ゴロに打ち取った。
6月は9試合・9イニングを投げ、無失点。ファームと同じようにこの時期は、力勝負で一軍の打者をねじ伏せた。「実際投げて、真っ直ぐをしっかり捉えられたなというのは少ないので、そこはすごい自分では良かったところだと思います」。
ストレートが強くなった理由について、「特にはこれっていうのはないんですけど、去年の12月にジムに行っている時にストレートの強さを求めるために色々トレーニングをしていて、1月、2月と継続してやってきて、結果が出たのがたまたま4月とか5月くらいだったかなと思います」と明かした。
ストレートだけでなく、シンカーでも空振りを奪った。プロ初ホールドを記録した7月6日の西武戦では、高木渉に対して3球全てシンカーで空振り三振を奪った。
「1回ファームに落ちた時にシンカーの精度が良くないというところで、色々アナリストの方だったり、コーチの方だったりに話を聞いて自分の理想とする変化ではないですけど、そういうのにだいぶ近づいてきているのかなと思います」。
7月9日の日本ハム戦では、3-2の9回に登板。
「初めてセーブシチュエーションで投げさせてもらって、もちろん先発ピッチャーの勝利もかかっていますし、チームの勝利もかかってくるなかで、そういうところで投げるというのはすごい特別というか、抑えたら勝ちで嬉しいですし一発打たれたら、サヨナラ同点ということで、特別な気持ちはありましたね」。
「もちろんそういうシチュエーションで投げるのは緊張しますし、1本出れば同点になってしまう、チームが負けてしまうというところで投げたので、プレッシャーじゃないですけど、すごい感じながらそれがいい感じに開き直れて自分の球を投げられて良かったかなと思います」。
万波中正を1ボール2ストライクから5球目の151キロストレートで右飛、マルティネスを初球の153キロストレートで三ゴロ、最後は石井一成を2ボール2ストライクから5球目の152キロストレートで中飛に打ち取り、プロ初セーブを記録した。
7月23日のソフトバンク戦では3-3の10回に登板し、スコアボードに0を入れると、その裏安田尚憲がライト前にサヨナラ打を放ち、嬉しいプロ初勝利。
「とにかく今、任されたところで試合でゼロに抑えていくのが大事になってくると思うので、チームの勝ちにしっかり貢献できていければいいかなと思います」。
7月28日のソフトバンク戦は8-5の6回に登板し1回を無失点、7月30日のソフトバンク戦は5-5の9回に登板し1回を無失点、8月1日の日本ハム戦は2-1の7回、初めて勝ち試合の7回に登板し1回を無失点、8月4日の楽天戦は5-3の7回に登板し1回無失点と、ホールドがつく場面でも結果を残し信頼を積み上げていく。
8月24日のソフトバンク戦では5-4の8回に登板し、19球中16球がストレートの力勝負で1回を無失点に抑えた。
8月は9試合・9イニングを投げ、イニング数を大きく上回る奪三振10。「もちろんストレートが良いところもありますし、変化球も相手に意識させながら投げられていると思うので、そういうところが空振りとか三振に繋がっているのかなと思います」。
また、8月29日の取材では「(ストレートは)変わらず(強い球を)投げられています」と話しながらも、「最近シュート成分が大きいのでそこは、気にしながらピッチングしています」とシュート回転するストレートに悩んでいた。
9月に入ると5日のソフトバンク戦から16日の西武戦にかけて4試合連続無失点に抑えていたが、20日のオリックス戦で0回2/3を投げ5失点、先発予定だった佐々木朗希の発熱により代わって先発した24日のソフトバンク戦は1回5失点と悔しいマウンドが続いた。
10月6日のオリックス戦を最後に一軍登板がなく、クライマックスシリーズでは1試合も登板することができなかった。それでも、11月16日から19日にかけて行われたカーネクストアジアプロ野球チャンピオンシップ2023の日本代表に選出され、17日の韓国戦で侍ジャパンデビューを果たし、1回を無失点に抑えた。
短期間では結果を残せることを証明した。あとはシーズン通して安定して結果を残していけるかどうか。今季の経験を来季に繋げたい。
取材・文=岩下雄太