「チームとしても優勝を目指してやっているので、9月、勝負所でチームに貢献できるような存在になっていたいですし、9月にいい順位で勝負していきたいと思います」。
今年3月に取材した時にこのように話していたロッテ・国吉佑樹は、オリックスとのクライマックスで好リリーフを見せるなど、シーズン最終盤からポストシーズンにかけて存在感を見せたが、今季は一軍で3試合の登板にとどまった。
国吉は21年6月14日に有吉優樹とのトレードでロッテに加入すると、東京五輪明けから勝ち試合の7回を担当し、守護神・益田直也が連投の時には抑えを務めるなど、25試合に登板して、2勝0敗17ホールド2セーブ、防御率1.44。2年連続2位入りに大きく貢献したが、昨季はセットアッパーとして期待されながら、わずか6試合の登板に終わった。
巻き返しを図るべく「(シーズン)オフのトレーニングの方法とかもトレーナーをつけて、より細かくしっかり見てもらってきた。自分ではなかなか気づけない細かい部分、また新しい発見があったり、パフォーマンスにつながってきていると思う。すごくいいオフを過ごせたと思います」と納得のいくトレーニングを積んできた。
これまではストレート、カットボールで追い込み、最後はフォークや縦気味に変化するカットボールで空振りを奪うのが投球パターンだった。今年のオープン戦を見ると、早いカウントでカーブを投げたり、追い込んでからカットボールで見逃し三振を仕留めるなど、昨季までとは少しイメージが違う印象だった。
2月28日のソフトバンクとの練習試合では栗原陵矢の初球に114キロのカーブで見逃しストライク、柳田悠岐の初球にもカーブでファウル。さらに3月7日の日本ハムとのオープン戦では、ボールになったが江越大賀に投じた初球は121キロのカーブだった。
江越との対戦では早いカウントでカーブを投げ、1ボール2ストライクから投じた4球目のフォークを見送られるも、最後は3ボール2ストライクからフロントドアのカットボールで見逃し三振を仕留めた。
「今年からカーブは投げようと思っているボールです。江越の時は初球カーブを投げてボール、1ボール2ストライクのカウントを作れてフォークを振ってくれればなと思ったんですけど、それを振らずに次カットボールを投げて2ストライク3ボールになって、カットボール。カーブが1球入ることによって、カットボールとフォークの2種類、もちろんストレートでもいいんですけど、勝負する選択肢が増えるのでバリエーションとしてはカーブというボールは効果的かなと思います」。
オープン戦では4試合・4イニングを投げ、2奪三振、防御率0.00だったが、1回を無失点に抑えた3月15日のヤクルトとのオープン戦を最後にファームで過ごすことになり、開幕も二軍スタートだった。
この時期、どんな思いでファームにいたのだろうかーー。
「開幕(一軍)ってやっていましたけど、一軍に残れなかったのはすごく悔しかったですし、そこからパフォーマンスもあまり良いものではなかった」。
ファームでは3・4月は10試合・10イニングを投げて防御率3.60だったが、5月(防御率10.80)、6月(防御率18.00)、7月(6.75)と苦しい投球が続いた。
「8月、9月はすごい意図して投げたいボールを結果として投げられている。いい状態を維持できているんじゃないかなと思ってファームで投げていました」と、8月以降は制球が安定し、8・9月はファームで9回2/3を投げて与四球はわずかに1つだけ。ストライク先行の安定した投球を披露。
夏場以降、状態が上がってきた要因に「ひとつは登板があれば(ファームの)コーチと話をしてどこが良かった、悪かった、課題はこうだったなど振り返りをやっているので、そこが形になったんじゃないかなと思います」と、投手コーチとの振り返りを挙げた。
9月19日に今季初昇格を果たしてからも、ファームの時と変わらず安定した投球で3試合を無失点。
「ここ3試合は必要最低限はできているんじゃないかなと思いますけど、上がってくるのが遅すぎたので、場面、状況問わず行けるところでしっかりなるべく多く貢献したいなという思いでやっています」。
「もどかしいシーズンを過ごしていましたけど、最後にこうやってチャンスをもらえて少しでも貢献できているので、満足はしていないですけど、やれるだけ最後やろうかなと思います」。
変化球も「カットに関しては理想の変化と球速で変化できているのかなと思うので、それを相手が意識してくれるんだったら違う球で勝負ができると思いますし、武器の一つとしてどんどん使えるボールとして使っていきたいなと思います」と話し、キャンプ、オープン戦で投げていたカーブは、シーズンが始まってから投げなかった時期もあったが、「行けるタイミングがあればサインを出してとキャッチャーには言っているので、使えるところで使っていこうというボールではある。選択肢として無くしたわけではないです」と教えてくれた。
この時期リリーフ陣は開幕から支えてきたペルドモ、西村天裕が登録抹消しており、台所事情が苦しくなった中で、国吉への期待が高まったが、特例2023で9月26日に一軍登録抹消となってしまう。
シーズン中の復帰は叶わなかったものの、「あの(5回、6回)あたりに投げる事はわかっていましたし、しっかり準備だけはして、0対0で回ってくるだろうなと思っていたので、その準備だけしてマウンドに上がりました」と、オリックスとのCSファイナルステージ第3戦、0-0の5回から登板し2イニングを無失点に抑えた。
1イニング目の5回は「緊張感もある中で 先頭にフォアボールをだしてばたつきましたが最後ピッチャーライナーが運よくグローブに入ってくれたので、なんとか無失点でいけたかなと思います」と、二死一、三塁で紅林弘太郎をピッチャーライナーを倒れ込みながら好補した。2イニング目となった6回も一死から若月健矢に安打を許したが、後続を仕留めゼロで終えた。
シーズントータルで見ると悔しいシーズンになったが、最後の最後で存在感を示した。来季は移籍直後のような活躍が見たい。
取材・文=岩下雄太
今年3月に取材した時にこのように話していたロッテ・国吉佑樹は、オリックスとのクライマックスで好リリーフを見せるなど、シーズン最終盤からポストシーズンにかけて存在感を見せたが、今季は一軍で3試合の登板にとどまった。
オープン戦で無失点も…
巻き返しを図るべく「(シーズン)オフのトレーニングの方法とかもトレーナーをつけて、より細かくしっかり見てもらってきた。自分ではなかなか気づけない細かい部分、また新しい発見があったり、パフォーマンスにつながってきていると思う。すごくいいオフを過ごせたと思います」と納得のいくトレーニングを積んできた。
これまではストレート、カットボールで追い込み、最後はフォークや縦気味に変化するカットボールで空振りを奪うのが投球パターンだった。今年のオープン戦を見ると、早いカウントでカーブを投げたり、追い込んでからカットボールで見逃し三振を仕留めるなど、昨季までとは少しイメージが違う印象だった。
2月28日のソフトバンクとの練習試合では栗原陵矢の初球に114キロのカーブで見逃しストライク、柳田悠岐の初球にもカーブでファウル。さらに3月7日の日本ハムとのオープン戦では、ボールになったが江越大賀に投じた初球は121キロのカーブだった。
江越との対戦では早いカウントでカーブを投げ、1ボール2ストライクから投じた4球目のフォークを見送られるも、最後は3ボール2ストライクからフロントドアのカットボールで見逃し三振を仕留めた。
「今年からカーブは投げようと思っているボールです。江越の時は初球カーブを投げてボール、1ボール2ストライクのカウントを作れてフォークを振ってくれればなと思ったんですけど、それを振らずに次カットボールを投げて2ストライク3ボールになって、カットボール。カーブが1球入ることによって、カットボールとフォークの2種類、もちろんストレートでもいいんですけど、勝負する選択肢が増えるのでバリエーションとしてはカーブというボールは効果的かなと思います」。
オープン戦では4試合・4イニングを投げ、2奪三振、防御率0.00だったが、1回を無失点に抑えた3月15日のヤクルトとのオープン戦を最後にファームで過ごすことになり、開幕も二軍スタートだった。
この時期、どんな思いでファームにいたのだろうかーー。
「開幕(一軍)ってやっていましたけど、一軍に残れなかったのはすごく悔しかったですし、そこからパフォーマンスもあまり良いものではなかった」。
ファームでは3・4月は10試合・10イニングを投げて防御率3.60だったが、5月(防御率10.80)、6月(防御率18.00)、7月(6.75)と苦しい投球が続いた。
「8月、9月はすごい意図して投げたいボールを結果として投げられている。いい状態を維持できているんじゃないかなと思ってファームで投げていました」と、8月以降は制球が安定し、8・9月はファームで9回2/3を投げて与四球はわずかに1つだけ。ストライク先行の安定した投球を披露。
夏場以降、状態が上がってきた要因に「ひとつは登板があれば(ファームの)コーチと話をしてどこが良かった、悪かった、課題はこうだったなど振り返りをやっているので、そこが形になったんじゃないかなと思います」と、投手コーチとの振り返りを挙げた。
9月19日に今季初昇格を果たしてからも、ファームの時と変わらず安定した投球で3試合を無失点。
「ここ3試合は必要最低限はできているんじゃないかなと思いますけど、上がってくるのが遅すぎたので、場面、状況問わず行けるところでしっかりなるべく多く貢献したいなという思いでやっています」。
「もどかしいシーズンを過ごしていましたけど、最後にこうやってチャンスをもらえて少しでも貢献できているので、満足はしていないですけど、やれるだけ最後やろうかなと思います」。
変化球も「カットに関しては理想の変化と球速で変化できているのかなと思うので、それを相手が意識してくれるんだったら違う球で勝負ができると思いますし、武器の一つとしてどんどん使えるボールとして使っていきたいなと思います」と話し、キャンプ、オープン戦で投げていたカーブは、シーズンが始まってから投げなかった時期もあったが、「行けるタイミングがあればサインを出してとキャッチャーには言っているので、使えるところで使っていこうというボールではある。選択肢として無くしたわけではないです」と教えてくれた。
この時期リリーフ陣は開幕から支えてきたペルドモ、西村天裕が登録抹消しており、台所事情が苦しくなった中で、国吉への期待が高まったが、特例2023で9月26日に一軍登録抹消となってしまう。
シーズン中の復帰は叶わなかったものの、「あの(5回、6回)あたりに投げる事はわかっていましたし、しっかり準備だけはして、0対0で回ってくるだろうなと思っていたので、その準備だけしてマウンドに上がりました」と、オリックスとのCSファイナルステージ第3戦、0-0の5回から登板し2イニングを無失点に抑えた。
1イニング目の5回は「緊張感もある中で 先頭にフォアボールをだしてばたつきましたが最後ピッチャーライナーが運よくグローブに入ってくれたので、なんとか無失点でいけたかなと思います」と、二死一、三塁で紅林弘太郎をピッチャーライナーを倒れ込みながら好補した。2イニング目となった6回も一死から若月健矢に安打を許したが、後続を仕留めゼロで終えた。
シーズントータルで見ると悔しいシーズンになったが、最後の最後で存在感を示した。来季は移籍直後のような活躍が見たい。
取材・文=岩下雄太