「自分が出られるというのはチャンスですし、そこでアピールしないと自分が生きる道がありませんから、そこはしっかり結果を残さないとなと思ってやっていました」。
外野手の故障者が続出する中で、ロッテ・岡大海の存在感の高さがわかる1年になった。
春先はスタメン出場がありながらも代走、守備固めでの出場がメインだった。代走で出場した4月26日の西武戦では1-1の7回一死一、三塁で、友杉篤輝のボテボテの一塁へのゴロで、西武内野陣が前進守備を敷いていたが、ヘッドスライディングでホームインする好走塁で勝利に貢献した。
5月以降はスタメン出場する機会が増え、1番、6番、9番など様々な打順を打ち、チャンスメイクしたり、時にポイントゲッターになった。
「何番であってもどんどん積極的にいくのは変えずにやっているつもりでいますし、僕はそんなにバンバンホームランを打てるバッターではないので、塁に出ることを意識しながら、考えながらやっています」。
“ホームランを打てるバッターではない”という言葉に、過去に取材した際、長打力を求めながら、打率を求めていきたいと話していたのを、ふと思い出した。長打に関しては岡がこだわっていた部分でもある。20年2月の取材では、プエルトリコでのウインターリーグを経験して、「長打力がある打者が評価されるというのを改めて思いましたし、もちろん率を残さないといけないのを大前提において、単打より長打が評価されるというのを改めて思って、僕もまた終わってからもオフの間はより強く取り組んだ部分ではあるかなと思います」と長打力に磨きをかけていた。
長打を打つという考えをなくしてしまったのだろうかーー。
「長打を打ちたいというのはありますし、そこは完成形としてずっと求めていきたいというのはあります」。変わらず“長打を打ちたい”という想いは持ち続けている。
7月24日のソフトバンク戦では、0-1の4回二死走者なしから石川柊太のカットボールをセンター前に弾き返し出塁。続く茶谷健太の4球目を投げる前に一塁走者・岡がスタートを切り、それに気づいた石川が二塁へ送球。1度はタッチアウトとなったが、リプレー検証で判定が覆りセーフに。記録は盗塁となり、これが岡にとって今季11個目の盗塁、プロ通算100個目の盗塁となった。
今季はとにかく相手投手の投球モーションを完全に盗んで悠々セーフになることが多かった。5月27日のソフトバンク戦では、1-0の4回二死一塁で池田来翔の1ボールからの2球目のストレートの時に、石川のモーションを完全に盗み二塁盗塁を決めれば、6月5日の阪神戦でも7-6の8回二死一塁で中村奨吾の打席、西純矢が1ボールから投じた2球目・133キロのスライダーの時に完全にモーションを盗み二塁盗塁を成功させた。さらに、6月10日の広島戦でも1-1の3回一死一塁で藤岡裕大の1ストライクからの2球目の135キロカットボールでスタート切り、完璧に森下暢仁の投球モーションを盗み二塁盗塁成功。捕手の會澤翼が二塁へ送球できないほどの抜群のスタートだった。
今季、投球モーションを盗んで盗塁が多かった理由について岡は「タイミングだったりですかね。ちょっとでもチャンスがあればいこうという気持ちではいます」とのこと。準備、ピッチャーとの駆け引きなどを大事にしていたが、そこにプラス何か取り入れた要素などあるのだろうかーー。
「盗塁に関しては、以前と考え方は変わっていないですね」。
岡は開幕から茶色のバットを使って打っていたが、7月15日の楽天戦で茶色のバットと白黒バットを使い分け、「前半戦では練習だけで使っていたんですけど、後半戦はそのバットでやっています」と、7月23日のソフトバンク戦以降は基本的に「トップの方にバランスがあるバットで、振り抜きが出るように、打球を意識してやってはいますね」と前半戦試合前練習で使うことの多かった白黒バットで打った。
オールスター明けは打率.320(150-48)、3本塁打、14打点、15四球、5盗塁と打ちまくった。シーズントータルで見ても、109試合に出場して、規定打席に届かなかったが、打率.282、7本塁打、33打点、90安打、37四球はいずれもシーズン自己最多、盗塁も15個決めた。
また、四球が増えた要因について訊くと、「特には狙っていないですけど」と話しながらも、「打ちにいった中で四球を取れたらいいなという気持ちでいます。追い込まれてからなかなか打つのは難しいというのはありますし、なんとか粘ってカウントを整えて四球が取れたらいいなというのはあります」と明かした。
得点圏打率も.314と勝負強かった。10月1日の西武戦では、1-2の7回二死満塁で友杉の代打で登場し、隅田知一郎が投じた初球のストレートをレフト前に弾き返し二者が生還する逆転打を放った。ここぞの場面で勝負強さを発揮する理由について岡は「しっかり結果を出そうというだけで、それがたまたまいいところで打てているだけ。そういうところで回してくれた仲間のおかげだなと思います」。チャンスメイクするチームメイトに感謝した。
与えられた役割の中で結果を残せている要因にシーズン中、岡は「一番は準備じゃないですかね」と自己分析し、「打席だったり、塁に立つ時には、思いきっていけるようにしっかり心も体も準備して、整理した状態でいけるようにはしていますね」と話していた。
シーズン通して“心技体”の準備はできていたのだろうかーー。
「う〜ん、そうですね、準備はできたと思いますけど、離脱を何回かしてしまったので、それに関しては今後の課題だなと思います」。
今季はあらゆる数字でシーズン自己最多となったが、今季の成績に満足しているのだろうかーー。
「満足する数字ではないですし、まだまだ向上していかないと思っています」とキッパリ。
シーズン終了後にZOZOマリンスタジアムで行われた秋季練習では、「走攻守共にレベルアップしていきたいと思いますし、その中でも特に打撃を力を入れてやっていきたいなと思います」と打撃練習に力を入れた。
移籍後はどちらかというと、代打、代走、守備固め、スタメンと1人で何役もこなしていたが、今季はバットで結果を残したことで先発の機会を大きく増やした。どこの役割でも高いレベルでこなす。改めて、岡の存在が際立つシーズンだった。
取材・文=岩下雄太
外野手の故障者が続出する中で、ロッテ・岡大海の存在感の高さがわかる1年になった。
春先は代走・守備固めメイン
5月以降はスタメン出場する機会が増え、1番、6番、9番など様々な打順を打ち、チャンスメイクしたり、時にポイントゲッターになった。
「何番であってもどんどん積極的にいくのは変えずにやっているつもりでいますし、僕はそんなにバンバンホームランを打てるバッターではないので、塁に出ることを意識しながら、考えながらやっています」。
“ホームランを打てるバッターではない”という言葉に、過去に取材した際、長打力を求めながら、打率を求めていきたいと話していたのを、ふと思い出した。長打に関しては岡がこだわっていた部分でもある。20年2月の取材では、プエルトリコでのウインターリーグを経験して、「長打力がある打者が評価されるというのを改めて思いましたし、もちろん率を残さないといけないのを大前提において、単打より長打が評価されるというのを改めて思って、僕もまた終わってからもオフの間はより強く取り組んだ部分ではあるかなと思います」と長打力に磨きをかけていた。
長打を打つという考えをなくしてしまったのだろうかーー。
「長打を打ちたいというのはありますし、そこは完成形としてずっと求めていきたいというのはあります」。変わらず“長打を打ちたい”という想いは持ち続けている。
プロ通算100盗塁達成
7月24日のソフトバンク戦では、0-1の4回二死走者なしから石川柊太のカットボールをセンター前に弾き返し出塁。続く茶谷健太の4球目を投げる前に一塁走者・岡がスタートを切り、それに気づいた石川が二塁へ送球。1度はタッチアウトとなったが、リプレー検証で判定が覆りセーフに。記録は盗塁となり、これが岡にとって今季11個目の盗塁、プロ通算100個目の盗塁となった。
今季はとにかく相手投手の投球モーションを完全に盗んで悠々セーフになることが多かった。5月27日のソフトバンク戦では、1-0の4回二死一塁で池田来翔の1ボールからの2球目のストレートの時に、石川のモーションを完全に盗み二塁盗塁を決めれば、6月5日の阪神戦でも7-6の8回二死一塁で中村奨吾の打席、西純矢が1ボールから投じた2球目・133キロのスライダーの時に完全にモーションを盗み二塁盗塁を成功させた。さらに、6月10日の広島戦でも1-1の3回一死一塁で藤岡裕大の1ストライクからの2球目の135キロカットボールでスタート切り、完璧に森下暢仁の投球モーションを盗み二塁盗塁成功。捕手の會澤翼が二塁へ送球できないほどの抜群のスタートだった。
今季、投球モーションを盗んで盗塁が多かった理由について岡は「タイミングだったりですかね。ちょっとでもチャンスがあればいこうという気持ちではいます」とのこと。準備、ピッチャーとの駆け引きなどを大事にしていたが、そこにプラス何か取り入れた要素などあるのだろうかーー。
「盗塁に関しては、以前と考え方は変わっていないですね」。
オールスター明けは打率.320
岡は開幕から茶色のバットを使って打っていたが、7月15日の楽天戦で茶色のバットと白黒バットを使い分け、「前半戦では練習だけで使っていたんですけど、後半戦はそのバットでやっています」と、7月23日のソフトバンク戦以降は基本的に「トップの方にバランスがあるバットで、振り抜きが出るように、打球を意識してやってはいますね」と前半戦試合前練習で使うことの多かった白黒バットで打った。
オールスター明けは打率.320(150-48)、3本塁打、14打点、15四球、5盗塁と打ちまくった。シーズントータルで見ても、109試合に出場して、規定打席に届かなかったが、打率.282、7本塁打、33打点、90安打、37四球はいずれもシーズン自己最多、盗塁も15個決めた。
また、四球が増えた要因について訊くと、「特には狙っていないですけど」と話しながらも、「打ちにいった中で四球を取れたらいいなという気持ちでいます。追い込まれてからなかなか打つのは難しいというのはありますし、なんとか粘ってカウントを整えて四球が取れたらいいなというのはあります」と明かした。
得点圏打率も.314と勝負強かった。10月1日の西武戦では、1-2の7回二死満塁で友杉の代打で登場し、隅田知一郎が投じた初球のストレートをレフト前に弾き返し二者が生還する逆転打を放った。ここぞの場面で勝負強さを発揮する理由について岡は「しっかり結果を出そうというだけで、それがたまたまいいところで打てているだけ。そういうところで回してくれた仲間のおかげだなと思います」。チャンスメイクするチームメイトに感謝した。
心技体
与えられた役割の中で結果を残せている要因にシーズン中、岡は「一番は準備じゃないですかね」と自己分析し、「打席だったり、塁に立つ時には、思いきっていけるようにしっかり心も体も準備して、整理した状態でいけるようにはしていますね」と話していた。
シーズン通して“心技体”の準備はできていたのだろうかーー。
「う〜ん、そうですね、準備はできたと思いますけど、離脱を何回かしてしまったので、それに関しては今後の課題だなと思います」。
今季はあらゆる数字でシーズン自己最多となったが、今季の成績に満足しているのだろうかーー。
「満足する数字ではないですし、まだまだ向上していかないと思っています」とキッパリ。
シーズン終了後にZOZOマリンスタジアムで行われた秋季練習では、「走攻守共にレベルアップしていきたいと思いますし、その中でも特に打撃を力を入れてやっていきたいなと思います」と打撃練習に力を入れた。
移籍後はどちらかというと、代打、代走、守備固め、スタメンと1人で何役もこなしていたが、今季はバットで結果を残したことで先発の機会を大きく増やした。どこの役割でも高いレベルでこなす。改めて、岡の存在が際立つシーズンだった。
取材・文=岩下雄太