練習の虫
「シーズン、試合が始まってきたら、これだけの量は打てない。振る体力をつけるために今振っています」。
現役ドラフトで今季からロッテに加入した愛斗は、石垣島春季キャンプ第1クールの5日間毎日、全体練習後に室内練習場でマシンを相手に2時間以上打ち込んだ。第1クール最終日となった5日も、選手たちが次々と個人練習を終えて宿舎に帰る中、愛斗は松川とともに最後までマシンを相手に打った。西武時代も「最後のバス組まで打っていました」と話す練習の虫だ。
キャンプ初日から屋外で行っている全体練習中の打撃練習を含めて、構えた時に右手を少しだけ離す時間があったが、この日の個人練習では右手を一瞬離して打つ仕草はなく、普通に両手で打っていた。そのことについて聞いてみると「毎日自分のバッティングのテーマが違うので、そんな単純なことではないですが、今日意識していたことが勝手にそうなったんだと思います」と教えてくれた。
バットを長く持って練習
西武時代の22年9月18日の楽天戦の第2打席、先発・則本昂大に対して追い込まれるまでバットを長く持っていた愛斗は、バットを短く持って打ち本塁打を放った。同日の第3、4打席も追い込まれるまでバットを長く持ち、追い込まれてからバットを短く持っていたが、翌9月19日の楽天戦は第1打席、初球からバットを短く持って打った。同日の第3打席に宋家豪から2試合連続の本塁打を放った。この日を境に、初球からバットを短く持って打っているように見えた。
入団会見の時に質問した際、「バットを短く持った方がいいんじゃないかとアドバイスをもらったので、やってみたら感覚的にも悪くなかった。結果も出たので、そのまま続けたという感じです」と話していたが、このキャンプ中は常にバットを長く持って打っている。
バットを長く持って打っている理由について「シーズンが入ったら短く持つかもしれないですけど」と前置きをしたうえで、「短く持ったままずっと打撃練習しているとスイングが小さくなってしまう。短く持つにしても大きく振りたいので、今はバットを長く持って、大きく打ちたいなと」と説明した。
1月に行われた自主トレでも「バッティングを向上させようとやっていた。浅村さんに聞きながら、年下ですけど細川に聞いたりしながらやっていました」と打撃に重きを置いた。
ロッテの外野事情で言えば、荻野貴司、角中勝也、岡大海、石川慎吾、和田康士朗、髙部瑛斗、藤原恭大、山口航輝とレギュラー候補はかなり多いが、絶対的なレギュラーがいない。外野のレギュラー争いに勝ち抜くために「守備では誰にも負けていない自信があるので、みんなよりちょっと打てれば出られると思っています。レギュラー争いを勝ち抜くためにどうしたいとか考えていなくて、自分がやれることをやりたい」と意気込む。
第2クールからはライブBP、紅白戦と実戦形式の練習が始まる。シーズンオフの自主トレ、そして春季キャンプで徹底的に振り込んできた成果を存分に魅せていきたい。
取材・文=岩下雄太