リリーフ陣の運用はどうなる?
ロッテが1974年以来となる勝率1位でのリーグ優勝を達成するためには、もちろん打線の奮起が必要になってくるが、ここ数年のマリーンズの野球を見ると、投手陣を中心とした守り勝っていく試合を1試合でも増やしていきたいところ。その中でも、勝利の鍵を握ってくる大事な要素のひとつがリリーフ陣の運用だ。
昨季は3連投、1週間に3登板以上がないことに加え、開幕から決まった形の“勝利の方程式”を採用せず、場面や状況に応じてリリーフ投手をうまく起用し、勝利を積み重ねてきた。例えば4月4日の日本ハム戦は、7回・ペルドモ、8回・澤村拓一、9回・益田直也だったが、翌日は0-0の7回に中森俊介、2-1の8回にペルドモ、9回・益田で逃げ切り。ペルドモ、益田が連投となった6日は2-0の7回に小野郁、3-1の8回は坂本光士郎とカスティーヨ、6-1となった9回は西村天裕が試合を締めた。4月14日のオリックス戦は2-0の8回、初めて勝ち試合の8回に益田が登板し、9回・澤村で逃げ切れば、19日の日本ハム戦はペルドモ、益田が連投中ではなかったが、4-2の7回に唐川侑己、8回・小野、9回・澤村で勝ち切るパターンも。
では今季はどうだろうかーー。今季初勝利を飾った3月30日の日本ハム戦では7回・西村、8回・澤村、9回・益田で逃げ切り、3月31日の日本ハム戦も2-1の6回・澤田圭佑、7回・西村、8回・澤村、9回に登板した益田が2点を失い敗れたが、2日連続で7回以降は同じ投手を2日連続で起用した。
小野晋吾投手コーチに昨季と勝ちパターンの起用法について違いがあるのか質問すると、「また多分これから変わってくる部分があると思うので、はい。僕は今ベンチにいるので、監督といろいろ戦術を考えながらリリーフ陣を誰が、どこにというのを話しながらやっているので、今年も最初から決めてという感じではないと思います」と明かし、「適材適所というか、その辺を見極めながら、監督と話し合いながらやってます」と続けた。
3月31日の日本ハム戦から2試合連続で失点した守護神・益田が4月4日に一軍登録を抹消されたが、小野コーチは「益田が抹消中なので、誰がどうなるのかというのは、決めずにやっていくと思います」と4月6日の取材で話したように、翌7日のオリックス戦、5-2の9回に横山陸人がリリーフ登板し1回を無失点に抑え、ZOZOマリンスタジアムで初セーブを挙げた。
同日の試合後、記者団から今後も勝ち試合の9回に横山が登板するのか問われた吉井理人監督も、「決めていないです。去年も言いましたけど、イニングは決めていないので、次は誰が出てくるか楽しみに」と語っており、今後も対戦相手を見ながら流動的に起用されそうだ。
ロッテブルペン陣の強み
複数の勝ちパターンを作れる要因のひとつに、ブルペン陣の準備力の高さが挙げられる。
小野コーチは昨季ブルペン担当だった当時、「色々登板するポジションが変わったりとか、難しい場面での登板もシーズン中だったらある中で、そういうのを自分で予想しながらであったり、あとはベテラン組が声がけしてくれて早め早めに準備してくれているところがうまくいっているのかなと思います」と、“準備力”の高さを評価していた。
今季も9試合を終えた段階とはいえ、小野コーチはリリーフ陣について「みんなすごくいい準備をしてくれている。出番がありそうだなというのを自分たちで判断しながら準備、動いたり、投げる間際まで体を作ってくれている。その辺はみんなスムーズにゲームに入っていけていると思います」と労った。
投手陣に話を聞いても、今季勝ち試合の7回で登板することの多い西村は「しっかり投げているところで3人で抑えるとか、0で次のピッチャーに繋げるとか、そこで自分のピッチングをするしか考えていない」と話せば、ビハインドゲームやロングリリーフなどを務める国吉佑樹は「役割、場面、いろいろあるので行けと言われたところで、しっかり投げられるように。場面、ポジションを問わず、どこでも投げられる準備はしています」と、どのポジションでも対応できるようにしている。
守護神・益田
そして、気になるのは守護神・益田がどのタイミング、どういう状態になったら一軍に戻ってくるのかーー。
益田は昨季はリーグ2位の36セーブを挙げ、セーブ失敗はわずかに1度しかなかった。長年マリーンズのブルペンを支え、現在は一軍登録抹消中だが、リーグ優勝する上で絶対に必要な存在であり、1日も早い復調が待たれる。
小野コーチは益田について「練習で状態が上がってくるように。まだ抹消してそんなに日が立っていないので、体をしっかり戻してからピッチングしていい状態に戻っていけるようにやっている最中です」と、4月6日のオリックス戦の試合前練習後時点の取材で、このように話してくれた。
今季もリリーフ陣の登板を管理し、今の結果ももちろん大事だが、シーズンが終わった時に、どの位置にいるかが一番重要。リーグ優勝するために、先を見据えてシーズントータルでリリーフ陣を運用していく。
取材・文=岩下雄太