ニュース 2024.05.20. 10:01

ロッテ・菊地吏玖「決め球で確立していきたい」吉井監督から教わったフォークに手応え

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キャッチボールをするロッテ・菊地吏玖[撮影=岩下雄太]

開幕は二軍スタート


 ロッテの菊地吏玖は開幕二軍スタートも、5月4日に一軍昇格すると、ここまで2試合に登板している。

 2月の練習試合では4試合・4回2/3を投げて、7失点だったが、失点したのは2月21日の中日との練習試合のみで他の3試合は無失点。オープン戦も1試合の登板だったが、3月5日のDeNA戦、2回を投げて被安打0、2奪三振、0与四球、無失点という投球内容だった。

 開幕をファームで迎えたが、一軍の実戦で「しっかり自分のピッチングができれば、歯が立たないとかはないなと思ったので、おそらく歯が立たない感情になっていたら、色々迷っていたかもしれない。そういうわけじゃないので、色々クリアにしてできているかなと思います」と自信を持って投げることができた。

 ファームでは「三振をしっかり取るというところは念頭においてやってきている。しっかり、3球以内で追い込んで、そこからきっちり1球で仕留めるのをやっていますね」と“奪三振”にこだわり過ごした。

 一軍の練習試合、オープン戦での登板を経て、一軍で投げるにあたって必要と感じたからだろうかーー。

 「そうですね、やっぱり僕みたいなピッチャーは三振を取らないと上で抑えていけないと思いますし、三振を取れないと球数もかさんでしまう。そのぶん、シーズン後半になったりとか、長い目で見たときに球数が多くなってしまったら、息も短くなってしまう。そこは1日でも早く仕留め切れるピッチャーになりたいなと思います」。

 石垣島の紅白戦から「自分が課題に思っている部分が、セット以降のところ。そこでテンポよくたくさん投げたほうが修正も聞きやすいですし、その辺を考慮して、今後もワインドアップに戻すことを視野に入れつつ今はセットでやっている感じです」としばらくは走者がいない時もセットポジションでの投球を続けていたが、3月22日のヤクルト二軍戦から「そこもある程度落ち着いてきたので、いいかなというところで、はい」と走者がいないときは振りかぶって投げる形に戻した。

 「今続けている取り組みを継続してやっていきながら、体調も整えながら呼ばれたらいつでも行けるように準備していきたいと思います」。ファームで11試合・10回2/3を投げ、0勝1敗、防御率0.84と結果を残し、5月4日に一軍昇格を果たした。


今季初登板で西武・中村に一発


 5月6日の西武戦で今季初登板を果たす。8-0の9回に登板した菊地は、先頭の中村剛也にオールストレート勝負で挑むも、6球目のストレートをレフトスタンドに運ばれた。

 「カウント不利になってしまうと真っ直ぐに頼るしかなくなってしまってということがあって、結局最後も真っ直ぐ1、2、3で運ばれています。ただ、1ストライクから1球取って、その後2ストライク目で中村さんも真っ直ぐ100%で振ってくる中で真っ直ぐで空振りを取れた。球界で活躍している選手を真っ直ぐ狙いで真っ直ぐで空振りを取れたというのは、自分の真っ直ぐを投げられれば空振りを取れるんだと。自信にはなったので、そこは課題もありつつ、収穫もあったと思います」。

 ファームでは“3球以内で追い込む”ことを心がけて投げていたが、「そこはマリンが風強くて、その辺が影響しつつ、そこに対応しきれなかった。中村さんもそうですし、結構不利なカウントになることが多かった。まだまだ勇気を出して、ゾーンに強く投げることをもっとやっていかないといけないなと思いました」と課題を口にした。

 変化球に関しても「まだゾーンに投げているだけであったりとか、決まって欲しいところで決めきれていないところが多かった。まだまだだと思います」と反省。

 中村に一発を浴びたが、1回を1失点に抑え、試合を締めた。吉井理人監督は試合後、この日の菊地の投球に「出鼻をくじかれたんですけど、最後は抑えてくれてよかった」と振り返った。

 翌7日の試合前練習中には、小野晋吾投手コーチと振り返りを行なっている場面があった。

 「昨日(5月6日)中村さんのところの状況だったり、心理的なところの話とか、その辺で収穫があったところもあるし、課題がどうしようもない課題ではなくて、ちゃんと潰せる次に繋がる課題だった。その辺は経験できてよかったんじゃないかなと思います」。

 今季初登板を経て、一軍で結果を残すために「不利なカウントを作らないというところがしっかりできれば、バッターも迷って、真っ直ぐも通りやすくなると思いますし、変化球も打ち取りやすくなるところが出てくると思うので、しっかりと少ない球数で有利なカウントを作っていくのが大事かなと思いました」と話した。

 「昨日(5月6日)で一軍のマウンドに上がる時の自分はどういうふうになるのかというのも、だいたいわかったので、その辺は次以降よりバッターに向かっていってやるべきことがよりクリアになった状態で行けるんじゃないかなと思います」。

吉井監督から教わったフォーク


 今季2度目の登板となった5月10日の日本ハム戦では3-6の8回に登板し、1回・13球を投げ、0被安打、2奪三振、1与四球、無失点に抑えた。この日は先頭の代打・レイエスに対して、2ストライクから空振り三振を仕留めた129キロフォークがストライクゾーンからボールゾーンに良い落ちを見せた。

 フォークの軌道が変わったように見える。菊地本人も「変わったと思います。前日に吉井さんから教えてもらったフォークです。教えてもらって投げて次の日の練習でキャッチボールで投げて、感触が良くていざブルペンで投げてマウンドで投げても感触が良かった。いい感じかなと思います」と好感触。

 これまでの取材で決め球に関しては「その日にいいものを使っていこう」と話していたが、フォークを決め球にしてもいいのではないかと感じた。菊地本人はどう思っているのだろうかーー。

 「ああいうふうに毎回落ちてくれれば、バッターもおそらく警戒して真っ直ぐ取りやすくなったり、他の球種が取りやすくなるというのはあると思います。あのボールで空振りを誘ってというのもできると思う。あれは決め球で確立していきたいなと思います」。

 5月10日の登板を最後に一軍登板がない。現状では点差のついた場面での登板がメインとなりそうだ。「大量リードしている場面ですとか、そういうところでの登板がまだ主になるので、ズルズルいって結果ゼロではなくて、3人ですっきりと打ち取ってゼロというところを目指していければいいのかなと思います」。与えられたポジションで結果を残して、一軍で居場所を掴みたい。

取材・文=岩下雄太

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