タイガース・前田健太(写真=GettyImages)

◆ 前田健太の“逆襲”に要注目

 3月に韓国で開幕した2024年メジャーリーグのレギュラーシーズンもいよいよ佳境を迎えている。

 現地時間25日と26日に予定されていたブレーブスとメッツの2試合がハリケーンの影響で中止となり、閉幕日が1日ずれこむことになったが、間髪入れず10月1日から両リーグのポストシーズンが始まる。

 大谷翔平のドジャースやダルビッシュ有のパドレスなど、すでにポストシーズン進出を決めたチームがある一方、最後までもつれそうなのが両リーグのワイルドカード争いだ。

 ア・リーグは、地区優勝を決めた3チームに加えて、ワイルドカードの1枠目オリオールズの4チームがすでに確定。最後の2枠を巡って4チームに可能性が残されているが、ここに来て台風の目として存在感を放っているのが、ア・リーグ中地区に所属するタイガースである。

 タイガースは2017年から昨季まで7年連続で負け越しを喫するなど、長期低迷中のチームの一つだった。ところが、今季は開幕前の補強も実って躍進。前半戦は借金3で折り返したが、オールスターが明けると徐々に本領を発揮し、現在、84勝74敗でワイルドカード圏内をキープしている。

 特にこの1か月は絶好調で、直近の10カードで負け越したのは、1勝2敗で終えた今月上旬のパドレス3連戦のみ。他の9カードはしっかり勝ち越しており、両リーグを通じて最も勢いのあるチームの一つといえるだろう。

 そんなタイガースを引っ張るのは、ア・リーグ・サイヤング賞争いの大本命として名前が挙がるタリク・スカバルである。昨季までの4シーズンで通算23勝の左腕は、開幕から快進撃を見せ、ここまで31試合に登板し、18勝4敗、防御率2.39、奪三振228の好成績。「投手三冠」も目前という無双ぶりを見せている。

 ただ、タイガースにとって先発ローテーションの2番手以降が大誤算だった。トレード期限が迫る7月下旬に7勝を挙げていたジャック・フラーティをドジャースへ放出したことがたたり、スカバルに頼らざるを得ない状況が続いている。

 一方でタイガースの強みの一つとなっているのが救援陣。今季の救援防御率は、ア・リーグ2位の3.57と絶大な安定感を誇っている。地区ライバルでもあるガーディアンズのエマニュエル・クレースのような絶対的な守護神はいないが、総合力では決して負けていない。

 ただ20代中心の救援陣に足りていないものもある。それがポストシーズンでの経験値で、クローザーの重責を担うジェーソン・フォーリーを筆頭に、ポストシーズンでの登板がない投手も少なくない。

 そんなタイガースにとって大きな武器となりそうなのが、36歳・前田健太の右腕だろう。

 前田は昨年オフにタイガースと契約を結び、先発ローテーションで中心を担う一人として大きな期待をかけられていた。

 ところが、開幕から不安定な投球が続くとオールスター直前にブルペンへ配置転換。当初はリリーフでも打ち込まれる場面があったが、徐々に本来の投球を取り戻し、月間防御率は7月の10.06から8月は4.24に、9月は3.38と改善している。

 その前田は、ドジャースとツインズで合計27試合のポストシーズン経験を持つ。日本人投手としては、上原浩治の19試合を大きく上回り歴代最多。通算の防御率も3.24と悪くない。

 10年ぶりのポストシーズン進出が目前に迫ったタイガース。総合力ではガーディアンズやヤンキース、アストロズには及ばないが、勢いではどのチームにも負けていない。この秋は前田健太の“逆襲”にも要注目だ。

文=八木遊(やぎ・ゆう)

【八木遊・プロフィール】
1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。

この記事を書いたのは

八木遊

1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。

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