今年2月に行われたロッテの石垣島春季キャンプでは初日から池田来翔、山本大斗、金田優太、松石信八、藤田和樹など若手野手を中心に“強化組”として、強化ティー、股割り連続ティー、タブレットに一軍投手の球をインプットさせたらその球筋がくるという最新の打撃マシンを使って打ち込んだ。
春季キャンプでの取材で栗原健太コーチは強化組の狙いについて「自主性も大事なんですけど、高卒1年目、2年目、特に若手はまだ体ができていない。そういったところで、まずフィジカルをしっかりやるというところで午前中はウエイトトレーニングをメインでやって、午後からは技術もそうなんですけど、しっかり振る体力をつけていこうというところでやっていこうと思います」と話し、「非常にみんな頑張ってやっていると思いますし、体的にはしんどいことをやらせていますから、しんどいとは思うんですけど、そこを乗り越えていって欲しいなと思います」と期待していた。
あれから約9ヶ月。今季ファームの打撃コーチを担当した栗原コーチは、2月の春季キャンプで鍛えた若手選手たちをシーズン通してどう見ていたのだろうかーー。
栗原コーチは「試合に出ていた選手。松石とかは結構試合に出ていたので、シーズン後半にかけて対応もできるようになってきたのかなと思いますね」と評価した。
高卒育成1年目の松石は、フレッシュオールスター前の打率は.178だったが、春先に“タイミングの取り方”、“トップの作り方”を打撃コーチから指導を受け、継続して練習を積み重ねた結果、成果が徐々に打率を上げていき、フレッシュオールスター明けの打率は.276(98-27)。
栗原コーチは「タイミングと割れのタイミングを春先から意識してやっていたんですけど、それが少しずつ形になってきたのが後半かなという感じですかね」と分析した。
同じ高卒1年目の寺地隆成はファームでイースタン・リーグ2位の打率.290をマーク。寺地は月別のファームの打率を見ると、3.4月が.260、5月が.359、6月が.224、7月が.356、8月が.385、9月が.200だった。シーズン最終盤打率を落としたが、夏場に盛り返したところは評価すべきところ。
寺地はその要因についてシーズン中、「キャッチャーの方でなかなか結果が出ずにいたので、なんとかバッティングで取り返せるように、なんとしてもバッターの方でチームに貢献したい気持ちがあったからこそ打てたのかなという感じはします」と説明した。
栗原コーチは寺地について「開幕してから彼も本当に良いバッティングを見せてくれて、夏場、オールスターまでですかね、良い感じで打っていたんですけど、毎日試合するというのが高校生の時なかったわけですから、夏場暑い、体力的なもので少し9月調子を落としたんですけど、それもいい経験と思っています」と話し、「この1年間シーズン戦ってみてなんとなくわかったでしょうから、本当また来年しっかりこの経験を活かしてさらなるレベルアップ目指してやってほしい」と期待を寄せた。
寺地は9月6日のDeNA二軍戦では左の濵口遥大に対して、「結構刺されるという感じがあったので、タイミングもそうですけど、足を上げるタイミングを小さくして自分の中でピッチャーに対してタイミングを取れるように頑張ったのかなと思います」と足の上げ方が小さめのフォームで打ち、0-2の5回二死二塁の第3打席、2ボール2ストライクから8球目のチェンジアップをうまく合わせてライト前に適時打を放つなど、対応力が非常に高い。
栗原コーチは寺地の対応力について「打席内での修正能力は彼はある方だと思っている。なかなか高卒1年目ではできないことではありますから、すごいなと思って見ていました」と目を細めた。
プロ4年目の山本大斗はファームで本塁打(19本)、打点(66)の二冠に輝いた。確実性が課題だった山本は7月終了時点でファームの打率.240だったが、「率を残すこと、率を上げることを特に頑張ったといいますか、しっかり打率を残す部分を意識していました。そこはできて良かったかなと思います」と、8、9月のファーム打率は.377(114-43)を記録し、最終的には打率.279でシーズンを終えた。
栗原コーチは「彼も7月くらいからですかね、見るタイミングというのを少しサブロー監督、堀コーチと話をして、ちょっとアプローチしてそれが8月くらいから徐々に形になってきた感じですかね。それで結果も出始めたという感じですね」と話した。
ただ、山本は一軍で5試合に出場し、18打数2安打、打率.111、長打は1本あったが本塁打はなし。ストレートに差し込まれ、外角の変化球に空振りする印象を受けた。それは一軍で打席数を経験しないと、乗り越えられない部分なのだろうかーー。
栗原コーチは「僕もそうでしたけど、二軍から一軍にあがって結果を出したい気持ちがある中で、二軍のように立てればいいんでしょうけど、結果を出したいという気持ちが勝ってしまって焦り二軍の時のようにいかないでしょうから、その辺は彼の場合は我慢して使えば、いいものがどんどん出てくると思うんですけど、はい」と自身の経験を踏まえ説明してくれた。
マリーンズの色々な若手選手を取材していると、“タイミングの取り方”、“逆方向”、“下半身を使って打つこと”を口にすることが多い。一軍で打つためにはそういった技術が必要になってくるのだろうかーー。
栗原コーチは「体が開いたりバットが出てこないですから、そこは全選手ですけどね。意識する部分でしょうし、逆方向に強く打てたらアベレージも残ってきますから。非常に大事な技術の一つだと思います」と明かした。
12日に秋季練習が終了し、13日からは来季に向けて若手選手も課題を持って個人で、来年2月の春季キャンプが始まるまでトレーニングを積む必要がある。他の選手との差をつけることができる期間。若手選手に対してスムーズに自主トレ期間に移行できるように栗原コーチから秋季練習中に声がけなどはしたのだろうかーー。
「そうですね。声がけは特に新人の子ですよね。初めてのオフですから、自分で考えてやらないと。なんとなく過ごしていたら、どんどん差が出てきてしまいますから、その辺は今までやってきたことを自分でできるように。こっちからもしっかり促して話していきたいなと思いますけど」と11月11日の練習後の取材で話していた。
15日に発表された2025年度コーチングスタッフで栗原コーチは一軍打撃コーチとなったが、取材した11月11日当時の肩書きは二軍打撃コーチ。来年の春も強化組で若手選手たちを振り込ませる予定があるのか質問すると、栗原コーチは「基本的にそうなると思います。サブロー監督とも話をしながらになると思うんですけど、やはりどんどん振る体力、下半身強化を含めて。若い時しかできないと思うのでね。しっかりやっていきたいと思いますけどね」とのことだった。
打線は荻野貴司、角中勝也といったベテランに、ソト、ポランコという助っ人に長打力、得点力を期待しなければならないのが現状。一人でも若手の突き上げなくして、黄金時代が見えてこない。来季は1人でも多くの若手選手が一軍で躍動して欲しいところだ。
取材・文=岩下雄太
春季キャンプでの取材で栗原健太コーチは強化組の狙いについて「自主性も大事なんですけど、高卒1年目、2年目、特に若手はまだ体ができていない。そういったところで、まずフィジカルをしっかりやるというところで午前中はウエイトトレーニングをメインでやって、午後からは技術もそうなんですけど、しっかり振る体力をつけていこうというところでやっていこうと思います」と話し、「非常にみんな頑張ってやっていると思いますし、体的にはしんどいことをやらせていますから、しんどいとは思うんですけど、そこを乗り越えていって欲しいなと思います」と期待していた。
あれから約9ヶ月。今季ファームの打撃コーチを担当した栗原コーチは、2月の春季キャンプで鍛えた若手選手たちをシーズン通してどう見ていたのだろうかーー。
栗原コーチは「試合に出ていた選手。松石とかは結構試合に出ていたので、シーズン後半にかけて対応もできるようになってきたのかなと思いますね」と評価した。
高卒育成1年目の松石は、フレッシュオールスター前の打率は.178だったが、春先に“タイミングの取り方”、“トップの作り方”を打撃コーチから指導を受け、継続して練習を積み重ねた結果、成果が徐々に打率を上げていき、フレッシュオールスター明けの打率は.276(98-27)。
栗原コーチは「タイミングと割れのタイミングを春先から意識してやっていたんですけど、それが少しずつ形になってきたのが後半かなという感じですかね」と分析した。
寺地はファームで打率.290
同じ高卒1年目の寺地隆成はファームでイースタン・リーグ2位の打率.290をマーク。寺地は月別のファームの打率を見ると、3.4月が.260、5月が.359、6月が.224、7月が.356、8月が.385、9月が.200だった。シーズン最終盤打率を落としたが、夏場に盛り返したところは評価すべきところ。
寺地はその要因についてシーズン中、「キャッチャーの方でなかなか結果が出ずにいたので、なんとかバッティングで取り返せるように、なんとしてもバッターの方でチームに貢献したい気持ちがあったからこそ打てたのかなという感じはします」と説明した。
栗原コーチは寺地について「開幕してから彼も本当に良いバッティングを見せてくれて、夏場、オールスターまでですかね、良い感じで打っていたんですけど、毎日試合するというのが高校生の時なかったわけですから、夏場暑い、体力的なもので少し9月調子を落としたんですけど、それもいい経験と思っています」と話し、「この1年間シーズン戦ってみてなんとなくわかったでしょうから、本当また来年しっかりこの経験を活かしてさらなるレベルアップ目指してやってほしい」と期待を寄せた。
寺地は9月6日のDeNA二軍戦では左の濵口遥大に対して、「結構刺されるという感じがあったので、タイミングもそうですけど、足を上げるタイミングを小さくして自分の中でピッチャーに対してタイミングを取れるように頑張ったのかなと思います」と足の上げ方が小さめのフォームで打ち、0-2の5回二死二塁の第3打席、2ボール2ストライクから8球目のチェンジアップをうまく合わせてライト前に適時打を放つなど、対応力が非常に高い。
栗原コーチは寺地の対応力について「打席内での修正能力は彼はある方だと思っている。なかなか高卒1年目ではできないことではありますから、すごいなと思って見ていました」と目を細めた。
山本大はファームで本塁打、打点の二冠
プロ4年目の山本大斗はファームで本塁打(19本)、打点(66)の二冠に輝いた。確実性が課題だった山本は7月終了時点でファームの打率.240だったが、「率を残すこと、率を上げることを特に頑張ったといいますか、しっかり打率を残す部分を意識していました。そこはできて良かったかなと思います」と、8、9月のファーム打率は.377(114-43)を記録し、最終的には打率.279でシーズンを終えた。
栗原コーチは「彼も7月くらいからですかね、見るタイミングというのを少しサブロー監督、堀コーチと話をして、ちょっとアプローチしてそれが8月くらいから徐々に形になってきた感じですかね。それで結果も出始めたという感じですね」と話した。
ただ、山本は一軍で5試合に出場し、18打数2安打、打率.111、長打は1本あったが本塁打はなし。ストレートに差し込まれ、外角の変化球に空振りする印象を受けた。それは一軍で打席数を経験しないと、乗り越えられない部分なのだろうかーー。
栗原コーチは「僕もそうでしたけど、二軍から一軍にあがって結果を出したい気持ちがある中で、二軍のように立てればいいんでしょうけど、結果を出したいという気持ちが勝ってしまって焦り二軍の時のようにいかないでしょうから、その辺は彼の場合は我慢して使えば、いいものがどんどん出てくると思うんですけど、はい」と自身の経験を踏まえ説明してくれた。
オフの過ごし方が大事
マリーンズの色々な若手選手を取材していると、“タイミングの取り方”、“逆方向”、“下半身を使って打つこと”を口にすることが多い。一軍で打つためにはそういった技術が必要になってくるのだろうかーー。
栗原コーチは「体が開いたりバットが出てこないですから、そこは全選手ですけどね。意識する部分でしょうし、逆方向に強く打てたらアベレージも残ってきますから。非常に大事な技術の一つだと思います」と明かした。
12日に秋季練習が終了し、13日からは来季に向けて若手選手も課題を持って個人で、来年2月の春季キャンプが始まるまでトレーニングを積む必要がある。他の選手との差をつけることができる期間。若手選手に対してスムーズに自主トレ期間に移行できるように栗原コーチから秋季練習中に声がけなどはしたのだろうかーー。
「そうですね。声がけは特に新人の子ですよね。初めてのオフですから、自分で考えてやらないと。なんとなく過ごしていたら、どんどん差が出てきてしまいますから、その辺は今までやってきたことを自分でできるように。こっちからもしっかり促して話していきたいなと思いますけど」と11月11日の練習後の取材で話していた。
15日に発表された2025年度コーチングスタッフで栗原コーチは一軍打撃コーチとなったが、取材した11月11日当時の肩書きは二軍打撃コーチ。来年の春も強化組で若手選手たちを振り込ませる予定があるのか質問すると、栗原コーチは「基本的にそうなると思います。サブロー監督とも話をしながらになると思うんですけど、やはりどんどん振る体力、下半身強化を含めて。若い時しかできないと思うのでね。しっかりやっていきたいと思いますけどね」とのことだった。
打線は荻野貴司、角中勝也といったベテランに、ソト、ポランコという助っ人に長打力、得点力を期待しなければならないのが現状。一人でも若手の突き上げなくして、黄金時代が見えてこない。来季は1人でも多くの若手選手が一軍で躍動して欲しいところだ。
取材・文=岩下雄太