下剋上の裏側に迫るドキュメンタリー
DeNAベイスターズは1998年以来26年ぶりの日本一達成を記念して、シーズン終盤の戦いにフォーカスしたドキュメンタリー作品『勝ち切る覚悟〜日本一までの79日〜』を作成。劇場公開に先立ち、報道関係向けに試写会を実施した。
冒頭はシーズン終盤、まだ激しい優勝争いの最中に新キャプテン・牧秀悟が掲げた『勝ち切る覚悟』のスローガンの元に戦っていく場面からスタートする。
ブルペン陣は森唯斗と山﨑康晃の提案で出番前はベンチで野手とともに戦い、森原康平はフィジカルで若い投手陣を引っ張るなど団結力の高め合う様子を描写。しかし9月15日には主戦捕手の山本祐大が離脱し、29日には優勝の目が断たれるなど重苦しい展開となる。
なんとか出場にこぎつけたCS。甲子園で連勝しながらも、エース東克樹の怪我、主軸の宮﨑敏郎のコンディション悪化と再び逆境が訪れる。それでもファイナルステージでは牧が理想のキャプテン像とする「背中で引っ張る」を有言実行し、遂に日本シリーズの舞台へ。
だが地元の横浜スタジアムで連敗を喫し、ファイナルステージとは違う雰囲気を感じる桑原将志と戸柱恭孝。そして試合後「何を言われてもやってみよう」とミーティングを企画する牧。続けて敵地でも7年前の日本シリーズ経験者の筒香嘉智、戸柱恭孝、桑原将志、宮﨑敏郎らが中心となってナインに喝を入れる。万全ではないエース東とタイラー・オースティンの必死の復帰も相まって息を吹き返し、一体感を増したベイスターズ。そして「ベイスターズで優勝」をモチベーションに帰ってきた筒香の一発も飛び出し、遂に宙を舞う指揮官。
エンディングは「報われた」と相好を崩したが、すぐさま「ただ…」と続けた三浦監督の鋭い眼光にクローズアップ。来季の完全優勝に向け、並々ならぬ決意を顕にする。
日本一までの怒涛の79日。光の裏にある闇にも触れる作品に、担当広報も「試合中のベンチ裏や試合後のミーティング風景、各選手の思いと言葉。普段は見ることのできないシーンの連続です。新キャプテンとして葛藤を抱えながらも成長していく牧秀悟選手や徐々に団結を強めていくチームの姿を、野球好きの方だけでなく、老若男女全ての方に見ていただきたいです」と力説。続けて「エンドロールには全社員・チームスタッフの名前が記載されています。試合に出場している選手のみならず、横浜DeNAベイスターズに関わる全てのメンバーの想いがこもった作品となっております」とコメントを残した。
フィクションでは決して伝えることの出来ないリアル。セ・リーグ初の下剋上の真実はここにある。
取材・文:萩原孝弘