「無事に1年レギュラーシーズンを終えたので、一つ良かったかなと思いますけど、投げ抜いたからどうだというのはないですね。怪我なく投げられたのは良かったと思います」。
ロッテの国吉佑樹は移籍4年目の今季、球団新記録となる24試合連続無失点を記録するなど、移籍後最多の41試合に登板し、3勝1敗10ホールド1セーブ、防御率1.51と抜群の安定感を誇った。
復活の理由の一つとして“投球スタイルチェンジ”が挙げられる。シーズン中の取材で「強引に三振を取りに行くというよりは、どんどん打たせてアウトを1個ずつとっていく方向で今はやっています」と話していたように、これまでの国吉といえば、奪三振が多い投手だったが、今季はストライク先行の打たせて取る投球で、アウトを積み重ねた。数字を見ても、今季は41回2/3を投げ、奪三振は21、奪三振率は4.54だったが、DeNA時代の19年には奪三振率10.51、ロッテ移籍前の21年は奪三振率11.22を記録していたように、投球スタイルが変わったことがわかる。
その理由について国吉は「球数をかさむんだったら、そんなに四隅をついて投げるタイプではないですし、欲を言えば3球で3アウトをとって交代するのが一番良いと思っています」と説明し、「どんどんバッターにも打ってきてもらえたらいいかなと思って投げています」と続けた。
打たせて取る投球スタイルに行き着いたきっかけはあるのだろうかーー。
「もともとコントロールが良いピッチャーではないので、打たれたくない気持ちがある中、コース、コースを狙ってそれがボール、ボールとなっていくと、自分自身が不利になるだけ。多少甘いゾーンでもバッターに振ってきてもらったほうがヒットになるケースもありますけど、それで打っても3割なので、打たせて取りたいゾーンに投げるほうが良い方向に繋がっている。それでもいいんじゃないかなとなりました」。
これまでの自身の経験を踏まえても、現在の形の方がいいなという答えになったのだろうかーー。
「そうですね。このケースは長打を打たれてはいけないとか、色々ありますけど、そうじゃないケースの時は思い切って大胆に。どんどんストライクでというつもりで投げています」。
今までは三振を取るスタイルだった。三振を取りたいなという気持ちはないのだろうかーー。
「三振を取るために2ストライクに追い込まないといけない。2ストライクに追い込むまでの2球で打ち取れるんだったら2球で終わりますし、三振を取れるなら取りたいですけど、それ以前で終わるならいいかなと思っています。2ストライク取ったら、ちょっと狙ってみようかなという気持ちが出るくらいです」。
それは少ない球数で抑える方が、たくさん登板できることも関係しているのだろうかーー。
「そうですね、そこが一番なので。どうしても三振を取りたいケースが場面によってはあります。もちろん三振を初球から狙っていく時も当然ありますけど、そうじゃない時は三振で3球かかるんだったら、1球、2球で打ち取っていけたほうがいいので、はい」。
打たせて取ることによるメリットも多かった。
「連戦が続くのでより少ない球数で終えられるんだったら、それはそれで良いことだと思っています。球数が多いと次の日の登板に影響したり、そもそも投げさせてもらえなかったりする。球数少なければ多く投げられるチャンスが増えるというか、メリットでしかない。より少なく終われるのであれば、それはそれでいいのかなと思います」。
今季の国吉の投球を見ると、140キロ台、130キロ台のカットボールを投げていた。2023年の3月の取材でカットボールの球速帯について「ストライクを取りに行く時と振らせに行く時とで多少、強弱をつけたりしている。その差」と話していたが、今季も同じような認識で良いのだろうかーー。
改めて国吉に確認してみると、「同じ変化球でも球速が違ったりとか曲がり幅が違ったりとか、色々場面、状況を見ながら、最後の1つですけど自分の中で強弱をつけて投げている」と明かした。
フォークもこれまでは140キロ前後で空振りを奪っていたが、今季は、「低めに強く投げに行く時とストライクゾーンに打ってこないだろうという時に軽く投げる時とで、使い分けているわけではないですけど、強弱はつけて投げています」と、ストライクゾーンに130キロ台前半のフォークを投げ込むこともあった。
カットボール、フォークは強弱をつけていたが、映像をチェックする中でこの打者は強いボールを投げた方がいいなど、イメージしてマウンドに上がっていたのだろうかーー。
「ストライクゾーンにある程度投げに行く時と、低めにボール球にしなければいけないケースと色々あると思うんですけど、その中でボールの強さも自分で強弱をつけてやっていますね」。
国吉はビハインドゲームを中心に時には勝ち試合の場面でも登板するなど、さまざまな局面でマウンドに上がった。勝ち試合の投手と違いいつマウンドに上がるかわからない状況の中でも、スコアボードに0を並べ続けたことに価値がある。
今季まで投手コーチを務め、来季からプロスカウトを担当する小野晋吾氏は、シーズン中の取材で「とにかく自分の仕事をどんな場面でやってくれている。非常に助かっています」と感謝した。
国吉は「そういう役割とか準備の仕方は慣れています。慣れたから今日はいいやとやるんじゃなくて、1日1日同じ準備をして、どこで投げるか分からないですけど、そこに備えるというのは徹底して貫こうと思います」と、準備の積み重ねた結果が24試合連続無失点、シーズン通して安定した投球につながった。
国吉は今季、大ブレイクした鈴木昭汰とともに開幕から1度もファームに落ちることなく、一軍で戦い抜いた。1年を通しての課題と収穫について訊くと、「ストライクをどんどんとっていくということをテーマに今年1年やりましたけど、結果的にそれでアウトを取れることの方が多かった。良い部分としてどんどん続けていきたいなというところがあります」と明かした。
ストライク先行の投球で生まれ変わった国吉。来季も今季と同じように安定した投球でマリーンズのブルペンを支えていきたいところだ。
取材・文=岩下雄太
ロッテの国吉佑樹は移籍4年目の今季、球団新記録となる24試合連続無失点を記録するなど、移籍後最多の41試合に登板し、3勝1敗10ホールド1セーブ、防御率1.51と抜群の安定感を誇った。
スタイルチェンジ
その理由について国吉は「球数をかさむんだったら、そんなに四隅をついて投げるタイプではないですし、欲を言えば3球で3アウトをとって交代するのが一番良いと思っています」と説明し、「どんどんバッターにも打ってきてもらえたらいいかなと思って投げています」と続けた。
打たせて取る投球スタイルに行き着いたきっかけはあるのだろうかーー。
「もともとコントロールが良いピッチャーではないので、打たれたくない気持ちがある中、コース、コースを狙ってそれがボール、ボールとなっていくと、自分自身が不利になるだけ。多少甘いゾーンでもバッターに振ってきてもらったほうがヒットになるケースもありますけど、それで打っても3割なので、打たせて取りたいゾーンに投げるほうが良い方向に繋がっている。それでもいいんじゃないかなとなりました」。
これまでの自身の経験を踏まえても、現在の形の方がいいなという答えになったのだろうかーー。
「そうですね。このケースは長打を打たれてはいけないとか、色々ありますけど、そうじゃないケースの時は思い切って大胆に。どんどんストライクでというつもりで投げています」。
今までは三振を取るスタイルだった。三振を取りたいなという気持ちはないのだろうかーー。
「三振を取るために2ストライクに追い込まないといけない。2ストライクに追い込むまでの2球で打ち取れるんだったら2球で終わりますし、三振を取れるなら取りたいですけど、それ以前で終わるならいいかなと思っています。2ストライク取ったら、ちょっと狙ってみようかなという気持ちが出るくらいです」。
それは少ない球数で抑える方が、たくさん登板できることも関係しているのだろうかーー。
「そうですね、そこが一番なので。どうしても三振を取りたいケースが場面によってはあります。もちろん三振を初球から狙っていく時も当然ありますけど、そうじゃない時は三振で3球かかるんだったら、1球、2球で打ち取っていけたほうがいいので、はい」。
打たせて取ることによるメリットも多かった。
「連戦が続くのでより少ない球数で終えられるんだったら、それはそれで良いことだと思っています。球数が多いと次の日の登板に影響したり、そもそも投げさせてもらえなかったりする。球数少なければ多く投げられるチャンスが増えるというか、メリットでしかない。より少なく終われるのであれば、それはそれでいいのかなと思います」。
カットボール、フォークも強弱をつける。
今季の国吉の投球を見ると、140キロ台、130キロ台のカットボールを投げていた。2023年の3月の取材でカットボールの球速帯について「ストライクを取りに行く時と振らせに行く時とで多少、強弱をつけたりしている。その差」と話していたが、今季も同じような認識で良いのだろうかーー。
改めて国吉に確認してみると、「同じ変化球でも球速が違ったりとか曲がり幅が違ったりとか、色々場面、状況を見ながら、最後の1つですけど自分の中で強弱をつけて投げている」と明かした。
フォークもこれまでは140キロ前後で空振りを奪っていたが、今季は、「低めに強く投げに行く時とストライクゾーンに打ってこないだろうという時に軽く投げる時とで、使い分けているわけではないですけど、強弱はつけて投げています」と、ストライクゾーンに130キロ台前半のフォークを投げ込むこともあった。
カットボール、フォークは強弱をつけていたが、映像をチェックする中でこの打者は強いボールを投げた方がいいなど、イメージしてマウンドに上がっていたのだろうかーー。
「ストライクゾーンにある程度投げに行く時と、低めにボール球にしなければいけないケースと色々あると思うんですけど、その中でボールの強さも自分で強弱をつけてやっていますね」。
様々な場面で腕を振る
国吉はビハインドゲームを中心に時には勝ち試合の場面でも登板するなど、さまざまな局面でマウンドに上がった。勝ち試合の投手と違いいつマウンドに上がるかわからない状況の中でも、スコアボードに0を並べ続けたことに価値がある。
今季まで投手コーチを務め、来季からプロスカウトを担当する小野晋吾氏は、シーズン中の取材で「とにかく自分の仕事をどんな場面でやってくれている。非常に助かっています」と感謝した。
国吉は「そういう役割とか準備の仕方は慣れています。慣れたから今日はいいやとやるんじゃなくて、1日1日同じ準備をして、どこで投げるか分からないですけど、そこに備えるというのは徹底して貫こうと思います」と、準備の積み重ねた結果が24試合連続無失点、シーズン通して安定した投球につながった。
国吉は今季、大ブレイクした鈴木昭汰とともに開幕から1度もファームに落ちることなく、一軍で戦い抜いた。1年を通しての課題と収穫について訊くと、「ストライクをどんどんとっていくということをテーマに今年1年やりましたけど、結果的にそれでアウトを取れることの方が多かった。良い部分としてどんどん続けていきたいなというところがあります」と明かした。
ストライク先行の投球で生まれ変わった国吉。来季も今季と同じように安定した投球でマリーンズのブルペンを支えていきたいところだ。
取材・文=岩下雄太