ロッテ・澤村拓一は復帰2年目の今季、39試合に登板して、1勝2敗15ホールド1セーブ、防御率3.34という成績だった。
背番号を『54』から『11』に変更した今季、石垣島の春季キャンプ、2月の練習試合期間中は「タイミングを探しながら投げていたので、試行錯誤している時期と、タイミングさえ合えば、力を集めたものを出せる。そこのポイントをキャンプ中に探していましたね」と、二段モーション気味のフォームで投げ、3月8日のソフトバンク戦以降は走者がいない場面でも二段モーション気味のフォームではなくなっていた。
これまでは力強いストレートとスプリットを中心に打者をねじ伏せていたが、今年のオープン戦ではカウント球に「幅を広げたいからです」とカーブを投げたり、スライダーもカウント球だけでなく、追い込んでから縦変化に落ちるスライダーを投げたりしていた。今季に向けて「まずは健康であること」と話し、2024年シーズンが幕を開けた。
今季初登板となった3月30日の日本ハム戦、3-0の8回に登板し、2つの三振を奪うなど危なげなく三者凡退に抑えると、初登板から5試合連続ホールド、4試合連続無失点に抑えた。
4月17日の西武戦では、1-0の8回二死一、三塁の場面で、先発・西野勇士の後を受けて登板。「とにかく集中して、(西野)勇士が頑張っていたので良かったです」と、岸潤一郎を1ボール1ストライクから3球目のスプリットで三ゴロに打ち取り、「ホッとしましたね」と安堵の表情を浮かべた。
同日の試合後、ヒーローインタビューに登場した澤村は「私事なんですが、今朝祖母が亡くなりまして。今皆さんの隣にいてくれる人の存在は当たり前じゃないし、自分にとっての大切な人を大切にして欲しいなと思います。ありがとうございました」と告白し、ZOZOマリンスタジアムに訪れたマリーンズファンに挨拶した。
4月30日のオリックス戦から7月21日の日本ハム戦にかけて15試合連続無失点。5月26日のソフトバンク戦で3者連続四球でアウトを奪えず降板し、翌27日に一軍登録抹消ということもあったが、6月13日に再昇格後は1ヶ月近くスコアボードに0を並べた。7月4日の日本ハム戦では、3-1の9回に登板し、1回を危なげなく3人で片付け、今季初セーブをマーク。
チームが4連敗中だった7月21日の日本ハム戦では、1-4の5回に小川龍成の内野ゴロ、ソトの3ランで5-4と逆転した直後の6回表に登板し、田宮裕涼を中飛、続く奈良間大己を遊ゴロ、浅間大基を空振り三振で、逆転した流れを渡さない素晴らしいピッチングだった。
そのことを澤村本人に伝えると、「結果的に負けているので、チームが負けちゃうと自分の役割とか仕事は関係がなくなりますね。勝っていたらというのは“たられば”なので、負けてしまったというのが結果としてあるので」と返答。同試合は6-4の7回に登板したコルデロがマルティネスに2点適時打、清宮幸太郎に本塁打を浴び、3点を失い逆転負けを喫した。
澤村は8月13日の日本ハム戦から9月6日の楽天戦にかけて7試合連続無失点。8月27日の西武戦、2-0の8回一死走者なしで野村大樹を2ストライクから空振り三振に仕留めた149キロスプリットがストライクゾーンからボールゾーンに良い落ちだった。この時期のスプリットについて、9月7日の試合前練習後の取材で「ストライクでカウントを取る時と勝負をする時と自分が投げる前にどうしたいかという意志を持ちながら投げています」と教えてくれた。
その一方で、オープン戦の時に投げていたスライダー、カーブの割合が少なく、ストレート、スプリットの投球が中心だった。そのことについては「割合的にはそうですけど、一番は自分が後悔しないようなボールを選択することが優先だと思うので、はい」と教えてくれた。
またこの時期、勝利に直結する勝ち試合だけでなく、ビハインドゲームでの登板も多かった。「自分のやるべきことは状況によって変わらないし、いかに自分の心をコントロールして試合に入っていくかというのが大事かだと思うので、他のピッチャーとの兼ね合いもありますから、そこは自分のコントロールできない部分なので、しっかり自分がコントロールできる部分に集中して頑張りたいです」。
今季まで一軍投手コーチを務め、来季からプロスカウトを担当する小野晋吾氏は、澤村について9月7日の試合前練習後の取材で、「いろんなことを加味して自分のやるべきことに集中してくれている。その中で自分の投球をしてくれて、チームを鼓舞してくれている。そこはすごくありがたいですし、本当に流れを呼び込めるピッチャーだと思うので、そこを頼りにしています」と感謝した。
同日の取材で、流れを呼び込む投球ができるからこそ、澤村をビハインドの場面でも登板させているのか小野コーチに質問すると、「そうですね、登板間隔もあったりだとか、その辺は場面、場面の起用になるので。ビハインドではあったんですけど、澤村に行ってほしいと思いを込めて、流れを呼び込んでほしいというので起用となった。みんながみんななその気持ちでいてくれてると思うので、そこを引き出していけたらと思っていますね」と教えてくれた。
今季は勝ちゲーム、ビハインドゲームとさまざまな役割でマリーンズのブルペンを支えた澤村。リーグ優勝、チームの勝利への想いは強い。来年もチームの勝利のために必死に腕を振ってくれるはずだ。
取材・文=岩下雄太
背番号を『54』から『11』に変更した今季、石垣島の春季キャンプ、2月の練習試合期間中は「タイミングを探しながら投げていたので、試行錯誤している時期と、タイミングさえ合えば、力を集めたものを出せる。そこのポイントをキャンプ中に探していましたね」と、二段モーション気味のフォームで投げ、3月8日のソフトバンク戦以降は走者がいない場面でも二段モーション気味のフォームではなくなっていた。
これまでは力強いストレートとスプリットを中心に打者をねじ伏せていたが、今年のオープン戦ではカウント球に「幅を広げたいからです」とカーブを投げたり、スライダーもカウント球だけでなく、追い込んでから縦変化に落ちるスライダーを投げたりしていた。今季に向けて「まずは健康であること」と話し、2024年シーズンが幕を開けた。
今季初登板となった3月30日の日本ハム戦、3-0の8回に登板し、2つの三振を奪うなど危なげなく三者凡退に抑えると、初登板から5試合連続ホールド、4試合連続無失点に抑えた。
4月17日の西武戦では、1-0の8回二死一、三塁の場面で、先発・西野勇士の後を受けて登板。「とにかく集中して、(西野)勇士が頑張っていたので良かったです」と、岸潤一郎を1ボール1ストライクから3球目のスプリットで三ゴロに打ち取り、「ホッとしましたね」と安堵の表情を浮かべた。
同日の試合後、ヒーローインタビューに登場した澤村は「私事なんですが、今朝祖母が亡くなりまして。今皆さんの隣にいてくれる人の存在は当たり前じゃないし、自分にとっての大切な人を大切にして欲しいなと思います。ありがとうございました」と告白し、ZOZOマリンスタジアムに訪れたマリーンズファンに挨拶した。
4月30日のオリックス戦から7月21日の日本ハム戦にかけて15試合連続無失点。5月26日のソフトバンク戦で3者連続四球でアウトを奪えず降板し、翌27日に一軍登録抹消ということもあったが、6月13日に再昇格後は1ヶ月近くスコアボードに0を並べた。7月4日の日本ハム戦では、3-1の9回に登板し、1回を危なげなく3人で片付け、今季初セーブをマーク。
チームが4連敗中だった7月21日の日本ハム戦では、1-4の5回に小川龍成の内野ゴロ、ソトの3ランで5-4と逆転した直後の6回表に登板し、田宮裕涼を中飛、続く奈良間大己を遊ゴロ、浅間大基を空振り三振で、逆転した流れを渡さない素晴らしいピッチングだった。
そのことを澤村本人に伝えると、「結果的に負けているので、チームが負けちゃうと自分の役割とか仕事は関係がなくなりますね。勝っていたらというのは“たられば”なので、負けてしまったというのが結果としてあるので」と返答。同試合は6-4の7回に登板したコルデロがマルティネスに2点適時打、清宮幸太郎に本塁打を浴び、3点を失い逆転負けを喫した。
澤村は8月13日の日本ハム戦から9月6日の楽天戦にかけて7試合連続無失点。8月27日の西武戦、2-0の8回一死走者なしで野村大樹を2ストライクから空振り三振に仕留めた149キロスプリットがストライクゾーンからボールゾーンに良い落ちだった。この時期のスプリットについて、9月7日の試合前練習後の取材で「ストライクでカウントを取る時と勝負をする時と自分が投げる前にどうしたいかという意志を持ちながら投げています」と教えてくれた。
その一方で、オープン戦の時に投げていたスライダー、カーブの割合が少なく、ストレート、スプリットの投球が中心だった。そのことについては「割合的にはそうですけど、一番は自分が後悔しないようなボールを選択することが優先だと思うので、はい」と教えてくれた。
またこの時期、勝利に直結する勝ち試合だけでなく、ビハインドゲームでの登板も多かった。「自分のやるべきことは状況によって変わらないし、いかに自分の心をコントロールして試合に入っていくかというのが大事かだと思うので、他のピッチャーとの兼ね合いもありますから、そこは自分のコントロールできない部分なので、しっかり自分がコントロールできる部分に集中して頑張りたいです」。
今季まで一軍投手コーチを務め、来季からプロスカウトを担当する小野晋吾氏は、澤村について9月7日の試合前練習後の取材で、「いろんなことを加味して自分のやるべきことに集中してくれている。その中で自分の投球をしてくれて、チームを鼓舞してくれている。そこはすごくありがたいですし、本当に流れを呼び込めるピッチャーだと思うので、そこを頼りにしています」と感謝した。
同日の取材で、流れを呼び込む投球ができるからこそ、澤村をビハインドの場面でも登板させているのか小野コーチに質問すると、「そうですね、登板間隔もあったりだとか、その辺は場面、場面の起用になるので。ビハインドではあったんですけど、澤村に行ってほしいと思いを込めて、流れを呼び込んでほしいというので起用となった。みんながみんななその気持ちでいてくれてると思うので、そこを引き出していけたらと思っていますね」と教えてくれた。
今季は勝ちゲーム、ビハインドゲームとさまざまな役割でマリーンズのブルペンを支えた澤村。リーグ優勝、チームの勝利への想いは強い。来年もチームの勝利のために必死に腕を振ってくれるはずだ。
取材・文=岩下雄太