「もともと僕は170イニングと防御率2.5という目標を立てていて、それを1個もできていないので、はい。あまりよろしくないシーズンだったと思います」。
ロッテの小島和哉は今季、4年連続規定投球回に到達し、2年連続の2桁勝利でシーズン自己最多の12勝、132奪三振、163回1/3もシーズン自己最高の数字を残したが、決して満足することはなかった。
今季に向けてオフは「体を大きくすることと、出力という部分で、基本的には体力強化することと、和田さんのところに行って体幹、お腹周りの使い方の仕方を教わりました」と、ソフトバンク・和田毅の自主トレに参加し、多くのことを学んだ。
昨年は6・7月の2カ月は7試合・38回2/3を投げ、0勝2敗、防御率6.98と苦しみ、同年の秋季練習では「今年(2023年)の取り組みとして、去年、一昨年も夏場に悪い時にガンとなってしまうので、そこを改善しようと思って色々取り組みを変えたりして臨んだんですけど、それがあまりうまくいかなかった。改善の余地があるというか、また色々試してになると思うんですけど、(秋季練習時点で)その辺を今ちょっとどうしようかなと色々考えています」と話していたが、「ここ2、3年くらいはそこを意識して取り組んだんですけど、あまり良くなくて、そこら辺も和田さんといろいろ相談していて、色々準備、練習の量を聞けたので試してみてやってみようかなと思います」と自主トレ期間中に和田からアドバイスをもらった。
春季キャンプが始まってからは、「1球1球の精度だったり、変化球だったらフォークを練習しています。落ち具合を確認しています」とフォークの精度を強化。昨季もフォークを投げていたが、「握りもちょっと自主トレでソフトバンクの藤井に教えてもらって握りとかも聞きました。スピードを去年よりも出したかったので、それでこうした方がスピードが出やすいという感覚を教えてもらいました」と、和田と行った自主トレ期間中にソフトバンク・藤井皓哉からフォークについて助言をもらったそうだ。
2月24日の韓国・ロッテとの練習試合で今季初実戦マウンドに上がり2回・無失点に抑えると、3月2日の西武とのプレシーズンマッチでは、「チェンジアップは感覚が良いので、投げなくてもいい感じというのと、チェンジアップに頼らないような組み立てを練習ではしていきたいと思います」と、武器であるチェンジアップをほとんど投げずに3回を無失点。
3月8日のソフトバンクとのオープン戦では4回・72球を投げ、6被安打、5奪三振、3失点、3月15日のオリックスとのオープン戦では4回・93球を投げ、8被安打、2奪三振、5失点、オープン戦最後の登板となった3月22日の中日戦は5回・84球を投げ、3被安打、2奪三振、1失点。
練習試合、オープン戦と、シーズン開幕に向けて自分に課してきたこと、やりたいことはできたのだろうかーー。
「う〜ん、できたこともありますけど、ちょっとできなかったことの方が多かったです」。
「でも、何ていうんですかね、勉強と一緒で、できたことが多分、無意識にできると思います。できなかったらできなかったで、そこに焦点を置いて練習、修正するだけ。良くても悪くても明確にわかったことは、自分の中では良かったと思います」。
良い部分、悪い部分をしっかり理解した上で、開幕を迎えることができた。
3月29日、ZOZOマリンスタジアムで行われた日本ハムとの開幕戦の先発マウンドに上がった。「開幕戦を楽しみにしてくれる方もとてもたくさんいると思うので、きて良かったなと思えるような投球ができるように頑張りたいなと思います」と登板2日前の取材で話していたが、5回・89球を投げ、5被安打、3失点で敗戦投手となった。
続く4月5日のオリックス戦では、「日ハム戦の時も良かったんですけど、(オリックス戦も)キャッチボールから感覚も良くて、ブルペンに行った時もだいぶ良かった。3日前くらいからいろいろ(佐藤)都志也と話をしていて、プランを立てていた。ブルペンであれだけ真っ直ぐが良かった。ちょっと今日、真っ直ぐで押していこうという話をしていて、ネフタリ先生の助言を都志也に伝えて、そうしたらハマりました」と、9回・107球、4安打、6奪三振、1与四球の好投で、2021年10月3日の楽天戦以来となる完封勝利で今季初勝利を挙げた。
オリックス戦で気になったことは、小島の投球を支える球種のひとつであるカットボールをあまり投げていなかったこと。ストレートが強かったことも、カットボールの割合が少なかったことに関係しているのだろうかーー。
「そうですね、あんまり小細工しなくてもいいというか、それくらい真っ直ぐが良かった。ピッチャーあるあるだと思うんですけど、小野コーチに“ブルペンがめちゃめちゃいいと試合はあまり良くない時があって、それになるのがめちゃくちゃ怖かった”と試合終わってから言われましたね。なんとかうまくできたのでよかったです」。
4月12日の楽天戦、4月20日の日本ハム戦は敗戦投手になったが、4月28日の楽天戦は7回・108球、5安打、4奪三振、1失点で2勝目を手にした。
5-0の4回先頭の浅村栄斗を3ボール2ストライクから首を振って6球目のアウトコース147キロストレートで見逃し三振は素晴らしかった。試合後、本人にそのことを伝えると、「そうですね、うん、良かったかなと思います。長打打たれないようにというのだけ気をつけて、シングルOKだと思って投げていたので、そこは良かったと思います」と振り返った。
では、ストレートが良い要因はどこにあるのだろうかーー。
「なんですかね」と少し考えた後、「オープン戦の時と比べたら肩甲骨周りが緩かったのですが、トレーニングでうまく締められている感じが、力が入る感じになっています」と説明し、「この自主トレでも真っ直ぐにこだわって意識して取り組んできた。ヒットは打たれていますけど、平均的には良い球が投げられているかなと思います」と続けた。
4月20日の日本ハム戦でも初回からストレートで押していくパワーピッチング。7回2/3・122球を投げたが、そのうち79球がストレート。特にレイエスに対しては3打席で16球を投げたが、そのうち変化球はわずかに2球だけだった。
「真っ直ぐあっての変化球だと思いますし、真っ直ぐ投げての対応を見て、まだいける、まだいけるという感じで投げていたので、はい。苦手な球というか、相手が嫌にしている球を続けるのはいい攻めだと思うので、そんな感じですかね」。
2週連続の対戦となった5月5日の楽天戦、9回・105球を投げ、今季2度目の完投勝利で3勝目を手にした。小島は4回まで59球を投げていたが、5回以降は5回(9球)、7回(8球)、8回(6球)は10球以内に抑える省エネ投球で一人で投げぬいた。
小島は「三振取れるピッチャーじゃないので、球数少なく長い回を投げられたのは良かったと思います」と振り返り、今季まで一軍投手コーチを務め来季からプロスカウトを担当する小野晋吾氏は「安定した投球ができているので、よくなった点と言えば、四球を与えずにストライク先行でバッターと勝負できているなと思います」と評価した。
小野氏が話すように、小島は3試合連続で四死球が0。小島は「ストライクからボールでのゾーンで抑えようとかカウントよってはありますけど、基本的にはゾーンで勝負できているので、そこが一番の要因なのかなと思います」と与四球が減少している要因について説明した。
5月12日の日本ハム戦は7回1/3を投げ、5被安打、6奪三振、1与四球、1失点、5月19日の日本ハム戦は「前回、その前の日本ハム戦でもイニング途中でマウンドを降りてしまっていて、今日は最初3点取ってもらいましたが、今回もイニング途中での交代になってしまったので悔しいです。毎回難しい場面で澤村さんにマウンドを託すことになっているので、申し訳ないです」と7回1/3を投げ、7被安打、3失点だった。
5月28日のヤクルト戦、中8日を空けて交流戦初戦の先発を託された。5回・95球を投げ、7被安打、3失点も5回降雨コールドで今季3度目の完投勝利で4勝目。
「基本的に自分のできることは能力的に決まっているので、こういうのはできて、できないというのをできるだけ早くマウンドで。自分で自分を早く察知できるようにというか、今日の調子だったらこれができるな、これができないなとか、これができないからできることをやろうとか、そういうふうに振り切るのが大事かなと」と勝負の6月に向けこのように話していた小島。昨季苦戦した6月に突入した。
結果から言うと今季も6月は苦しんだ。4日の巨人戦、3回途中12被安打、11失点でノックアウト。試合前まで2.74だった防御率も、一気に4.20まで上がった。11日のDeNA戦は7回を投げたが、4失点で5敗目。リーグ戦再開後初戦となった北九州でのソフトバンク戦も4回、12被安打、7失点で6敗目とらしくない登板が続いた。
6月最後の登板となった29日のオリックス戦。試合前から激しく雨が降った関係で、41分遅れての試合開始。「できるだけ体を固まらないようにピッチングやっている最中に試合開始が遅れると聞いたので、軽くの球でもキャッチボールは続けてやっていました」と、しっかりと対応し、7回・116球を投げ、4被安打、8奪三振、3失点で今季5勝目。3回までに3点を失ったが、4回以降は4イニング連続で三者凡退に打ち取った。
0-1の1回二死二、三塁で紅林に1ボール2ストライクから空振り三振に仕留めた131キロのチェンジアップはいつもと軌道が違うように見えた。雨が降っていたから軌道が変わっているように見えたのだろうかーー。
「28日のオリックス戦に関しては腕の末端がだいぶいい感じでムチでしなってというか先端がうまく走っていたので、いい軌道、ポワンと浮かないような軌道になっているかなと動画を見て思いましたね」。
4-3の6回二死走者なしでセデーニョに1ボール1ストライクから3球目に低め134キロ速いチェンジアップで空振り、最後は4球目も135キロ速いチェンジアップで空振り三振に仕留めた。
昨年取材した時に「チェンジアップは感覚が良くない時はちょっと速くなりやすい」と話していた。
「その辺はなんていうんですかね、今年に限っては四球が改善できているんですけど、結局裏を返したらカウントが深くなった時に甘いところで、ストライクゾーンで前に飛ばしてくれという投球がたまたま前半うまくいってた」。
「それが逆に今の流れを含めて前に飛ばすというのが、予期せぬところに飛んでいっているイメージだったので、それをちょっと気をつけようという話をアナリスト、投手コーチとの話を含めて、そういうアドバイスをもらった。今の自分だったら厳しいところ、厳しいところに狙っても四球が増えないんじゃないかなと自信になったところもあった。オリックス戦は粘り強くそこに投げるというのは、甘く入らず行けたのが良かったのかなと思います」。
縦に落ちるスライダーも追い込んでからの勝負球だけでなく、カウント球でも投げていた。
「ちょっと縦気味に曲げにいくイメージで思って投げるのと、森さんをセカンドゴロに打ち取ったのとかは逆に横に曲げようと思って横振りを入れたりとか、1球サイドスローで投げてみようかなと試してみて、それくらいの気持ちの余裕はあった。間違いだけはしないようにと思いましたけど、そういうちょっと面白いこともできるような余裕はありましたね」。
7月に入り開幕直後の小島の安定感が戻った。7月12日のオリックス戦、0-0の初回二死一塁で森友哉を二飛に打ち取った146キロのインコースストレートが良かった。「そうですね、2週前にもオリックスと対戦しているので、その時に外の球をうまく打たれていたので、“インコースにいこう!”と(佐藤)都志也と言っていて、1打席目にあの打ち取り方ができたのが、2打席目、3打席目にかなり繋がったのかなと思います」
森にだけでなく、全体的にストレートは力強かった。小島本人も「ブルペンからスピードがだいぶ出ていたので、試合入ってから投げている感じも悪くはなかったです」と振り返った。
変化球では、0-0の2回二死満塁で福田周平に1ボール1ストライクから134キロ空振りを奪った縦に落ちるスライダー、0-0の4回一死一塁で杉本裕太郎に1ストライクから投じた2球目の空振りを奪った133キロ縦スライダーも良かった。
「バッターによって縦目にするか横目に行くかというのをちょっと狙って投げている。森さんの時は横に曲げたくて、その前にチェンジアップを使っていたので、その軌道でというイメージして投げていた。まあまあ良かったと思います」。
小島が話したように、横に大きく曲がるスライダー、縦に落ちるスライダーを投げ分けた。7月5日の西武戦、0-0の初回一死走者なしで滝澤夏央から空振り三振を奪った外角130キロスライダー、0-0の2回二死走者なしで西川愛也から空振り三振を奪った外角132キロスライダーはいずれも横に大きく曲がるスライダーだった。
「(昨季ペルドモ(現オリックス)、種市篤暉に)教わってから自分でオリジナリティもできている。そのバッターのスイングの軌道、その1球前に投げたイメージとかも含めて、使い分けています」。
この時期、チェンジアップもフォークと見分けがつきにくかった。0-0の2回一死満塁で若月健矢を2ボール2ストライクから136キロの縦変化の変化球で空振り三振を奪ったが、本人にフォークか確認すると、「チェンジアップですね。最近チェンジアップがフォークみたいに落ちるので、大体チェンジを投げています、今は」と教えてくれた。
そのチェンジアップに関しては「(7月12日の)オリックス戦は良かったです。甘く入らないようにというので、ボールからボールになるようなチェンジアップも多かったんですけど、そこを甘く行くか行かないかというのはとても大事。今は意識をしっかり持って、“このチェンジアップでどうしたいのか”というのをはっきりさせて投げています」と自信を持って投げられている。
7月19日の日本ハム戦は敗戦投手になったが、7回までノーヒットピッチングするなど、9回2失点。7月最後の登板となった西武戦は、7回4失点も自責点は2。6月は4試合・20回を投げ、1勝3敗、防御率10.80だったが、7月は4試合・29回2/3を投げ、2勝1敗、防御率2.12と調子を取り戻し、大事な8月の戦いへと入っていた。
8月は失点する登板と無失点に抑える登板が交互に来る投球だった。8月最初の登板となった6日のソフトバンク戦、5回1/3を投げ6失点で8敗目、13日の日本ハム戦は8回無失点で8勝目、20日の日本ハム戦は5回5失点で9敗目、8月最後の登板となった27日の西武戦は7回無失点で9勝目。
8月終了時点で137回1/3を投げ、25与四球と非常に少なかった。ただ小島本人は「最近は四球を出した時の試合の方が抑えているので、結局四隅に我慢して投げられている時の方が結果として出やすくて、四球を嫌がってゾーンで(ストライクを)取りに行った時に痛打されているイメージ。最近は四球を出してもいいと思って投げています」と話すように、直近3試合を見ると、8回無失点で8勝目を挙げた8月13日の日本ハム戦は3与四球、7回無失点で9勝目をマークした8月27日の西武戦では3与四球。一方で敗戦投手となった8月20日の日本ハム戦は0与四球も5回5失点だった。
その考えの裏には“カイケル効果”があった。「四球率は良い時は少なかったけど、四球を出すのは嫌と思っていない。結局、悪いカウントでも厳しいところで振ってくれたら儲けもん。振らなくても、しゃあないね感じらしいので、メンタルというか、常日頃から低めの意識が強い。思えば、思うほど球は低くなると言っていたので、そういうのは大事だなと思っています」。
9月は7日の楽天戦に先発した後、14日の西武戦(ベルーナドーム)、21日の西武戦(ZOZOマリン)、レギュラーシーズン最後の登板となったのも29日の西武戦(ベルーナドーム)と、3試合連続で西武戦に先発した。
9月14日が7回・122球を投げ、5被安打、10奪三振、無失点で10勝目、9月21日が7回・112球、6被安打、7奪三振、1失点で11勝目、9月29日が7回・101球、4被安打、5奪三振、無失点で12勝目と、3試合全て7イニング以上を投げ、白星を手にした。
9月14日、21日の登板では追い込んでからフォーク、チェンジアップで空振りを奪った。「フォークは色々改良していて、最近は西武の武内くんのツーシーム見たいなフォークが良いなと思って、ああいう球を投げるのが理想だったので映像を見て勉強して、ちょっとずつらしくなってきているかなと思います」。
9月21日の西武戦、5-0の3回一死走者なしで佐藤龍世を1ボール2ストライクから空振り三振に仕留めた5球目の127キロチェンジアップがフォークのような握りだった。
「チェンジアップ自体は前までと変えていないんです。フォークの握りはここ最近は安定していますけど、ちょっと前までは握りが変わっていた。その日その日でしっくりくる感じというのを探しています」。
落ち球で言えば、フォーク、チェンジアップに加えて、縦に落ちるスライダーも投げている。
「スライダーに関しては21日の西武戦とかもそうですけど、ムラがあるのでしっかりとした高さで投げられていたらいいんですけど、そこの精度がちょっとだけアバウトになってしまっているので、そこは意識して練習しないとなと思っています」。
落ち球の球種が増えたことで、投球の幅だったり、投球にメリットがあるのだろうかーー。
「一番は左バッターに真っ直ぐとスライダーだけになってしまわないようにという意味合いもありますけど、それを上手く引っ張らせたら、体を開かすことができる。そうしたら余計にスライダーが行きますし、体を開かないようにしてツーシーム系を打つのはすごく難しいと思うので、投げた1球の反応を見てその次の球をチョイスしやすい。その辺に関しては幅が広くなっているのかなと思います」。
9月29日では、追い込んでからカットボールを多投するなど、いつもよりも気持ちフォーク、チェンジアップを決め球にするケースが少なかったように見えた。「終わったので全然いいんですけど、3週連続(で西武戦)だったので、自分の中で3回とも同じ攻めというのはさすがに。これも難しいんですけど、1戦目、2戦目抑えているので、攻め方を変えないというのも大事なんですけど、それを張られたりとかも考えて、1点もやれない試合ではあった。ちょっと違うアクセントを入れながら大体いつもと同じ攻めで。自分の気持ちの持ちようが変わったので、そのカットボールを入れるタイミングで。そんな感じですかね」と明かした。
手をかえ品をかえ、西武打線を翻弄した。今季は25試合・163回1/3を投げ、12勝10敗、防御率3.58という成績だった。
「巨人戦と北九州の爆発試合をなくせられたら一番良かったですし、それが野球の面白さでもあると思うので、たらればを言っても仕方がないので、はい。今年はそういう年だった」。
今季まで一軍投手コーチだった小野氏は「苦しみながらもまだまだ最低限と言えば最低限なのかなと。彼の能力というか、力からしたらまだまだもっと上を目指してやれる数字を残せるんじゃないかなと思います。苦しんだ時期をしっかり乗り越えて、後半頑張ってくれたと思うので、評価できるところじゃないかなと思います」と振り返った。
NPBで4年連続規定投球回に到達しているのは小島を含めてわずかに5人しかおらず、現在5年連続で規定投球回に到達している投手はNPBで誰もいない(MLBの日本人選手は含まない)。大きな故障することなくローテーションを守り続けていることは非常に価値がある。苦手、得意球団は新シーズンがくればメンバーも変わりリセットされるのでそこまで気にする必要はないが、近年苦しみがちな6月をなんとか克服し、もう1段階ステップを上げたい。
取材・文=岩下雄太
ロッテの小島和哉は今季、4年連続規定投球回に到達し、2年連続の2桁勝利でシーズン自己最多の12勝、132奪三振、163回1/3もシーズン自己最高の数字を残したが、決して満足することはなかった。
24年に向けて
昨年は6・7月の2カ月は7試合・38回2/3を投げ、0勝2敗、防御率6.98と苦しみ、同年の秋季練習では「今年(2023年)の取り組みとして、去年、一昨年も夏場に悪い時にガンとなってしまうので、そこを改善しようと思って色々取り組みを変えたりして臨んだんですけど、それがあまりうまくいかなかった。改善の余地があるというか、また色々試してになると思うんですけど、(秋季練習時点で)その辺を今ちょっとどうしようかなと色々考えています」と話していたが、「ここ2、3年くらいはそこを意識して取り組んだんですけど、あまり良くなくて、そこら辺も和田さんといろいろ相談していて、色々準備、練習の量を聞けたので試してみてやってみようかなと思います」と自主トレ期間中に和田からアドバイスをもらった。
春季キャンプが始まってからは、「1球1球の精度だったり、変化球だったらフォークを練習しています。落ち具合を確認しています」とフォークの精度を強化。昨季もフォークを投げていたが、「握りもちょっと自主トレでソフトバンクの藤井に教えてもらって握りとかも聞きました。スピードを去年よりも出したかったので、それでこうした方がスピードが出やすいという感覚を教えてもらいました」と、和田と行った自主トレ期間中にソフトバンク・藤井皓哉からフォークについて助言をもらったそうだ。
2月24日の韓国・ロッテとの練習試合で今季初実戦マウンドに上がり2回・無失点に抑えると、3月2日の西武とのプレシーズンマッチでは、「チェンジアップは感覚が良いので、投げなくてもいい感じというのと、チェンジアップに頼らないような組み立てを練習ではしていきたいと思います」と、武器であるチェンジアップをほとんど投げずに3回を無失点。
3月8日のソフトバンクとのオープン戦では4回・72球を投げ、6被安打、5奪三振、3失点、3月15日のオリックスとのオープン戦では4回・93球を投げ、8被安打、2奪三振、5失点、オープン戦最後の登板となった3月22日の中日戦は5回・84球を投げ、3被安打、2奪三振、1失点。
練習試合、オープン戦と、シーズン開幕に向けて自分に課してきたこと、やりたいことはできたのだろうかーー。
「う〜ん、できたこともありますけど、ちょっとできなかったことの方が多かったです」。
「でも、何ていうんですかね、勉強と一緒で、できたことが多分、無意識にできると思います。できなかったらできなかったで、そこに焦点を置いて練習、修正するだけ。良くても悪くても明確にわかったことは、自分の中では良かったと思います」。
良い部分、悪い部分をしっかり理解した上で、開幕を迎えることができた。
開幕直後
3月29日、ZOZOマリンスタジアムで行われた日本ハムとの開幕戦の先発マウンドに上がった。「開幕戦を楽しみにしてくれる方もとてもたくさんいると思うので、きて良かったなと思えるような投球ができるように頑張りたいなと思います」と登板2日前の取材で話していたが、5回・89球を投げ、5被安打、3失点で敗戦投手となった。
続く4月5日のオリックス戦では、「日ハム戦の時も良かったんですけど、(オリックス戦も)キャッチボールから感覚も良くて、ブルペンに行った時もだいぶ良かった。3日前くらいからいろいろ(佐藤)都志也と話をしていて、プランを立てていた。ブルペンであれだけ真っ直ぐが良かった。ちょっと今日、真っ直ぐで押していこうという話をしていて、ネフタリ先生の助言を都志也に伝えて、そうしたらハマりました」と、9回・107球、4安打、6奪三振、1与四球の好投で、2021年10月3日の楽天戦以来となる完封勝利で今季初勝利を挙げた。
オリックス戦で気になったことは、小島の投球を支える球種のひとつであるカットボールをあまり投げていなかったこと。ストレートが強かったことも、カットボールの割合が少なかったことに関係しているのだろうかーー。
「そうですね、あんまり小細工しなくてもいいというか、それくらい真っ直ぐが良かった。ピッチャーあるあるだと思うんですけど、小野コーチに“ブルペンがめちゃめちゃいいと試合はあまり良くない時があって、それになるのがめちゃくちゃ怖かった”と試合終わってから言われましたね。なんとかうまくできたのでよかったです」。
4月12日の楽天戦、4月20日の日本ハム戦は敗戦投手になったが、4月28日の楽天戦は7回・108球、5安打、4奪三振、1失点で2勝目を手にした。
5-0の4回先頭の浅村栄斗を3ボール2ストライクから首を振って6球目のアウトコース147キロストレートで見逃し三振は素晴らしかった。試合後、本人にそのことを伝えると、「そうですね、うん、良かったかなと思います。長打打たれないようにというのだけ気をつけて、シングルOKだと思って投げていたので、そこは良かったと思います」と振り返った。
では、ストレートが良い要因はどこにあるのだろうかーー。
「なんですかね」と少し考えた後、「オープン戦の時と比べたら肩甲骨周りが緩かったのですが、トレーニングでうまく締められている感じが、力が入る感じになっています」と説明し、「この自主トレでも真っ直ぐにこだわって意識して取り組んできた。ヒットは打たれていますけど、平均的には良い球が投げられているかなと思います」と続けた。
4月20日の日本ハム戦でも初回からストレートで押していくパワーピッチング。7回2/3・122球を投げたが、そのうち79球がストレート。特にレイエスに対しては3打席で16球を投げたが、そのうち変化球はわずかに2球だけだった。
「真っ直ぐあっての変化球だと思いますし、真っ直ぐ投げての対応を見て、まだいける、まだいけるという感じで投げていたので、はい。苦手な球というか、相手が嫌にしている球を続けるのはいい攻めだと思うので、そんな感じですかね」。
完投勝利
2週連続の対戦となった5月5日の楽天戦、9回・105球を投げ、今季2度目の完投勝利で3勝目を手にした。小島は4回まで59球を投げていたが、5回以降は5回(9球)、7回(8球)、8回(6球)は10球以内に抑える省エネ投球で一人で投げぬいた。
小島は「三振取れるピッチャーじゃないので、球数少なく長い回を投げられたのは良かったと思います」と振り返り、今季まで一軍投手コーチを務め来季からプロスカウトを担当する小野晋吾氏は「安定した投球ができているので、よくなった点と言えば、四球を与えずにストライク先行でバッターと勝負できているなと思います」と評価した。
小野氏が話すように、小島は3試合連続で四死球が0。小島は「ストライクからボールでのゾーンで抑えようとかカウントよってはありますけど、基本的にはゾーンで勝負できているので、そこが一番の要因なのかなと思います」と与四球が減少している要因について説明した。
5月12日の日本ハム戦は7回1/3を投げ、5被安打、6奪三振、1与四球、1失点、5月19日の日本ハム戦は「前回、その前の日本ハム戦でもイニング途中でマウンドを降りてしまっていて、今日は最初3点取ってもらいましたが、今回もイニング途中での交代になってしまったので悔しいです。毎回難しい場面で澤村さんにマウンドを託すことになっているので、申し訳ないです」と7回1/3を投げ、7被安打、3失点だった。
5月28日のヤクルト戦、中8日を空けて交流戦初戦の先発を託された。5回・95球を投げ、7被安打、3失点も5回降雨コールドで今季3度目の完投勝利で4勝目。
「基本的に自分のできることは能力的に決まっているので、こういうのはできて、できないというのをできるだけ早くマウンドで。自分で自分を早く察知できるようにというか、今日の調子だったらこれができるな、これができないなとか、これができないからできることをやろうとか、そういうふうに振り切るのが大事かなと」と勝負の6月に向けこのように話していた小島。昨季苦戦した6月に突入した。
鬼門の交流戦後の投球
結果から言うと今季も6月は苦しんだ。4日の巨人戦、3回途中12被安打、11失点でノックアウト。試合前まで2.74だった防御率も、一気に4.20まで上がった。11日のDeNA戦は7回を投げたが、4失点で5敗目。リーグ戦再開後初戦となった北九州でのソフトバンク戦も4回、12被安打、7失点で6敗目とらしくない登板が続いた。
6月最後の登板となった29日のオリックス戦。試合前から激しく雨が降った関係で、41分遅れての試合開始。「できるだけ体を固まらないようにピッチングやっている最中に試合開始が遅れると聞いたので、軽くの球でもキャッチボールは続けてやっていました」と、しっかりと対応し、7回・116球を投げ、4被安打、8奪三振、3失点で今季5勝目。3回までに3点を失ったが、4回以降は4イニング連続で三者凡退に打ち取った。
0-1の1回二死二、三塁で紅林に1ボール2ストライクから空振り三振に仕留めた131キロのチェンジアップはいつもと軌道が違うように見えた。雨が降っていたから軌道が変わっているように見えたのだろうかーー。
「28日のオリックス戦に関しては腕の末端がだいぶいい感じでムチでしなってというか先端がうまく走っていたので、いい軌道、ポワンと浮かないような軌道になっているかなと動画を見て思いましたね」。
4-3の6回二死走者なしでセデーニョに1ボール1ストライクから3球目に低め134キロ速いチェンジアップで空振り、最後は4球目も135キロ速いチェンジアップで空振り三振に仕留めた。
昨年取材した時に「チェンジアップは感覚が良くない時はちょっと速くなりやすい」と話していた。
「その辺はなんていうんですかね、今年に限っては四球が改善できているんですけど、結局裏を返したらカウントが深くなった時に甘いところで、ストライクゾーンで前に飛ばしてくれという投球がたまたま前半うまくいってた」。
「それが逆に今の流れを含めて前に飛ばすというのが、予期せぬところに飛んでいっているイメージだったので、それをちょっと気をつけようという話をアナリスト、投手コーチとの話を含めて、そういうアドバイスをもらった。今の自分だったら厳しいところ、厳しいところに狙っても四球が増えないんじゃないかなと自信になったところもあった。オリックス戦は粘り強くそこに投げるというのは、甘く入らず行けたのが良かったのかなと思います」。
縦に落ちるスライダーも追い込んでからの勝負球だけでなく、カウント球でも投げていた。
「ちょっと縦気味に曲げにいくイメージで思って投げるのと、森さんをセカンドゴロに打ち取ったのとかは逆に横に曲げようと思って横振りを入れたりとか、1球サイドスローで投げてみようかなと試してみて、それくらいの気持ちの余裕はあった。間違いだけはしないようにと思いましたけど、そういうちょっと面白いこともできるような余裕はありましたね」。
安定感戻る
7月に入り開幕直後の小島の安定感が戻った。7月12日のオリックス戦、0-0の初回二死一塁で森友哉を二飛に打ち取った146キロのインコースストレートが良かった。「そうですね、2週前にもオリックスと対戦しているので、その時に外の球をうまく打たれていたので、“インコースにいこう!”と(佐藤)都志也と言っていて、1打席目にあの打ち取り方ができたのが、2打席目、3打席目にかなり繋がったのかなと思います」
森にだけでなく、全体的にストレートは力強かった。小島本人も「ブルペンからスピードがだいぶ出ていたので、試合入ってから投げている感じも悪くはなかったです」と振り返った。
変化球では、0-0の2回二死満塁で福田周平に1ボール1ストライクから134キロ空振りを奪った縦に落ちるスライダー、0-0の4回一死一塁で杉本裕太郎に1ストライクから投じた2球目の空振りを奪った133キロ縦スライダーも良かった。
「バッターによって縦目にするか横目に行くかというのをちょっと狙って投げている。森さんの時は横に曲げたくて、その前にチェンジアップを使っていたので、その軌道でというイメージして投げていた。まあまあ良かったと思います」。
小島が話したように、横に大きく曲がるスライダー、縦に落ちるスライダーを投げ分けた。7月5日の西武戦、0-0の初回一死走者なしで滝澤夏央から空振り三振を奪った外角130キロスライダー、0-0の2回二死走者なしで西川愛也から空振り三振を奪った外角132キロスライダーはいずれも横に大きく曲がるスライダーだった。
「(昨季ペルドモ(現オリックス)、種市篤暉に)教わってから自分でオリジナリティもできている。そのバッターのスイングの軌道、その1球前に投げたイメージとかも含めて、使い分けています」。
この時期、チェンジアップもフォークと見分けがつきにくかった。0-0の2回一死満塁で若月健矢を2ボール2ストライクから136キロの縦変化の変化球で空振り三振を奪ったが、本人にフォークか確認すると、「チェンジアップですね。最近チェンジアップがフォークみたいに落ちるので、大体チェンジを投げています、今は」と教えてくれた。
そのチェンジアップに関しては「(7月12日の)オリックス戦は良かったです。甘く入らないようにというので、ボールからボールになるようなチェンジアップも多かったんですけど、そこを甘く行くか行かないかというのはとても大事。今は意識をしっかり持って、“このチェンジアップでどうしたいのか”というのをはっきりさせて投げています」と自信を持って投げられている。
7月19日の日本ハム戦は敗戦投手になったが、7回までノーヒットピッチングするなど、9回2失点。7月最後の登板となった西武戦は、7回4失点も自責点は2。6月は4試合・20回を投げ、1勝3敗、防御率10.80だったが、7月は4試合・29回2/3を投げ、2勝1敗、防御率2.12と調子を取り戻し、大事な8月の戦いへと入っていた。
勝負の8月
8月は失点する登板と無失点に抑える登板が交互に来る投球だった。8月最初の登板となった6日のソフトバンク戦、5回1/3を投げ6失点で8敗目、13日の日本ハム戦は8回無失点で8勝目、20日の日本ハム戦は5回5失点で9敗目、8月最後の登板となった27日の西武戦は7回無失点で9勝目。
8月終了時点で137回1/3を投げ、25与四球と非常に少なかった。ただ小島本人は「最近は四球を出した時の試合の方が抑えているので、結局四隅に我慢して投げられている時の方が結果として出やすくて、四球を嫌がってゾーンで(ストライクを)取りに行った時に痛打されているイメージ。最近は四球を出してもいいと思って投げています」と話すように、直近3試合を見ると、8回無失点で8勝目を挙げた8月13日の日本ハム戦は3与四球、7回無失点で9勝目をマークした8月27日の西武戦では3与四球。一方で敗戦投手となった8月20日の日本ハム戦は0与四球も5回5失点だった。
その考えの裏には“カイケル効果”があった。「四球率は良い時は少なかったけど、四球を出すのは嫌と思っていない。結局、悪いカウントでも厳しいところで振ってくれたら儲けもん。振らなくても、しゃあないね感じらしいので、メンタルというか、常日頃から低めの意識が強い。思えば、思うほど球は低くなると言っていたので、そういうのは大事だなと思っています」。
3週連続で西武戦登板
9月は7日の楽天戦に先発した後、14日の西武戦(ベルーナドーム)、21日の西武戦(ZOZOマリン)、レギュラーシーズン最後の登板となったのも29日の西武戦(ベルーナドーム)と、3試合連続で西武戦に先発した。
9月14日が7回・122球を投げ、5被安打、10奪三振、無失点で10勝目、9月21日が7回・112球、6被安打、7奪三振、1失点で11勝目、9月29日が7回・101球、4被安打、5奪三振、無失点で12勝目と、3試合全て7イニング以上を投げ、白星を手にした。
9月14日、21日の登板では追い込んでからフォーク、チェンジアップで空振りを奪った。「フォークは色々改良していて、最近は西武の武内くんのツーシーム見たいなフォークが良いなと思って、ああいう球を投げるのが理想だったので映像を見て勉強して、ちょっとずつらしくなってきているかなと思います」。
9月21日の西武戦、5-0の3回一死走者なしで佐藤龍世を1ボール2ストライクから空振り三振に仕留めた5球目の127キロチェンジアップがフォークのような握りだった。
「チェンジアップ自体は前までと変えていないんです。フォークの握りはここ最近は安定していますけど、ちょっと前までは握りが変わっていた。その日その日でしっくりくる感じというのを探しています」。
落ち球で言えば、フォーク、チェンジアップに加えて、縦に落ちるスライダーも投げている。
「スライダーに関しては21日の西武戦とかもそうですけど、ムラがあるのでしっかりとした高さで投げられていたらいいんですけど、そこの精度がちょっとだけアバウトになってしまっているので、そこは意識して練習しないとなと思っています」。
落ち球の球種が増えたことで、投球の幅だったり、投球にメリットがあるのだろうかーー。
「一番は左バッターに真っ直ぐとスライダーだけになってしまわないようにという意味合いもありますけど、それを上手く引っ張らせたら、体を開かすことができる。そうしたら余計にスライダーが行きますし、体を開かないようにしてツーシーム系を打つのはすごく難しいと思うので、投げた1球の反応を見てその次の球をチョイスしやすい。その辺に関しては幅が広くなっているのかなと思います」。
9月29日では、追い込んでからカットボールを多投するなど、いつもよりも気持ちフォーク、チェンジアップを決め球にするケースが少なかったように見えた。「終わったので全然いいんですけど、3週連続(で西武戦)だったので、自分の中で3回とも同じ攻めというのはさすがに。これも難しいんですけど、1戦目、2戦目抑えているので、攻め方を変えないというのも大事なんですけど、それを張られたりとかも考えて、1点もやれない試合ではあった。ちょっと違うアクセントを入れながら大体いつもと同じ攻めで。自分の気持ちの持ちようが変わったので、そのカットボールを入れるタイミングで。そんな感じですかね」と明かした。
手をかえ品をかえ、西武打線を翻弄した。今季は25試合・163回1/3を投げ、12勝10敗、防御率3.58という成績だった。
「巨人戦と北九州の爆発試合をなくせられたら一番良かったですし、それが野球の面白さでもあると思うので、たらればを言っても仕方がないので、はい。今年はそういう年だった」。
今季まで一軍投手コーチだった小野氏は「苦しみながらもまだまだ最低限と言えば最低限なのかなと。彼の能力というか、力からしたらまだまだもっと上を目指してやれる数字を残せるんじゃないかなと思います。苦しんだ時期をしっかり乗り越えて、後半頑張ってくれたと思うので、評価できるところじゃないかなと思います」と振り返った。
NPBで4年連続規定投球回に到達しているのは小島を含めてわずかに5人しかおらず、現在5年連続で規定投球回に到達している投手はNPBで誰もいない(MLBの日本人選手は含まない)。大きな故障することなくローテーションを守り続けていることは非常に価値がある。苦手、得意球団は新シーズンがくればメンバーも変わりリセットされるのでそこまで気にする必要はないが、近年苦しみがちな6月をなんとか克服し、もう1段階ステップを上げたい。
取材・文=岩下雄太