先発防御率は4.02…積年の課題であるローテ整備
ヤクルトは1月22日、2月1日から開始する春季キャンプのメンバー振り分けを発表した。新人ではドラフト3位の荘司宏太投手(24=セガサミー)や5位の矢野泰二郎捕手(22=四国IL愛媛)ら3選手が一軍(沖縄・浦添)メンバー入り。昨年12月に右肘のクリーニング手術を受けた村上宗隆内野手(24)は二軍(宮崎・西都)スタートとなった。2021、翌22年にリーグ連覇を果たすも、直近2年は連続Bクラスと苦しむヤクルト。V奪還を見据えるキャンプの見どころを探る。
●村上、塩見、ドラ1・中村優が二軍スタート
昨年の春季キャンプでは、抑え候補だった田口麗斗や復活を目指していた奥川恭伸がコンディション不良で離脱。キャンプ最終日に総括コメントを求められた髙津臣吾監督は「これだけケガ人が出たら戦えない。50点」と表情を曇らせた。シーズンに入っても小川泰弘の出遅れや塩見泰隆の大ケガなどがあり、指揮官の予言通り序盤から苦戦。4月5日から借金生活を歩み続けセ・リーグ5位でシーズンを終えた。
今年もすでにドラフト1位右腕の中村優斗(愛知工業大)が、コンディション不良で自主トレは別メニュー調整であることが伝えられている。ただ、勝負はシーズンに入ってから。キャンプ中の一軍昇格を見据える村上、同じく復活を目指し二軍スタートとなっている塩見も含め、開幕へ向けコンディションを整えられるか注目が集まる。
●昨年の先発防御率は12球団ワーストの4.02…
先発ローテ整備は積年の課題となっており、昨季は球界全体が“投高打低”の傾向にあった中で、先発防御率は12球団ワーストの4.02。3.95だった2023年より悪化した。規定投球回到達者はひとりもおらず、直近5シーズンを見ても規定回に到達したのは小川泰弘(22年と23年の2度)のみ。一向に改善の兆しは見られない。
そんな中から、昨季チーム2位の129回1/3を消化し、5勝10敗ながら防御率3.34だったミゲル・ヤフーレが1年で退団(楽天へ移籍)。新たな先発候補として新外国人右腕のピーター・ランバートを獲得した。昨季チームトップの9勝を挙げた吉村貢司郎、10年目を迎える高橋奎二、完全復活を目指す奥川、2年目の松本健吾、昨季イースタン・リーグで投手3冠(最多勝&最優秀防御率&最高勝率)に輝いた阪口皓亮ら、既存戦力の底上げは必須。ドラ1の中村優、育成3位ながら一軍キャンプメンバーに抜擢された下川隼佑(オイシックス)など、新戦力にかかる期待も大きい。
●出てこい!ミスタースワローズの後継者
日米通算2723安打を誇る青木宣親が昨年限りで引退し、ミスター・トリプルスリーの山田哲人は今年7月で33歳。令和初の三冠王・村上は今季終了後のメジャー移籍を視野に入れており、打線を圧倒的な成績で牽引する新たな“ミスター・スワローズ”の出現が待ち望まれる。また、ホセ・オスナとドミンゴ・サンタナの“優良助っ人コンビ”も揃って今年で33歳。塩見は6月で32歳と主力の高齢化は不安材料だ。
昨季は長岡秀樹が最多安打とベストナインのタイトルを獲得し飛躍のシーズンを送ったが、彼に続く新たなスター候補の出現に期待したいところ。今キャンプの一軍メンバーには「若手よ、出てこい!」とのメッセージが込められているかのように、西村瑠伊斗、伊藤琉偉、澤井廉、橋本星哉など、期待の若手が多く含まれている。
ヤクルトキャンプのメンバー振り分けは以下の通り(今後、変更の可能性あり)。
【一軍:沖縄・浦添】
<投手=21名>
石山泰稚、清水昇、奥川恭伸、吉村貢司郎、星知弥、松本健吾、小川泰弘、ピーター・ランバート、矢崎拓也、宮川哲、金久保優斗、マイク・バウマン、鈴木康平、下川隼佑、石川雅規、山野太一、荘司宏太、田口麗斗、石原勇輝、高橋奎二、長谷川宙輝
<捕手=5名>
古賀優大、中村悠平、松本直樹、矢野泰二郎、橋本星哉
<内野手=8名>
赤羽由紘、山田哲人、ホセ・オスナ、伊藤琉偉、長岡秀樹、茂木栄五郎、西村瑠伊斗、武岡龍世
<外野手=8名>
並木秀尊、ドミンゴ・サンタナ、濱田太貴、増田珠、西川遥輝、丸山和郁、澤井廉、岩田幸宏
【二軍:宮崎・西都】
<投手=18名>
中村優斗、木澤尚文、高梨裕稔、大西広樹、小澤怜史、原樹理、竹山日向、阪口皓亮、丸山翔大、廣澤優、西舘昂汰、沼田翔平、西濱勇星、翔聖、山本大貴、山下輝、坂本拓己、佐藤琢磨
<捕手=4名>
鈴木叶、中川拓真、松本龍之介、内山壮真
<内野手=9名>
北村拓己、北村恵吾、高野颯太、川端慎吾、宮本丈、田中陽翔、村上宗隆、澤野聖悠、根岸辰昇
<外野手=3名>
塩見泰隆、太田賢吾、モイセエフ・ニキータ