「自分のやりたいことは全部できたかなと思います」。
初回の侍ジャパンの攻撃が終わり、先発の種市篤暉(ロッテ)が一塁ベンチからゆっくりと、堂々とマウンドに向かい、右手にロジンを2度、3度つけて投球練習を開始。場内にはZOZOマリンスタジアムでの登板の際に流れる自身の登場曲「High Hopes」が流れる。投球練習が終わり、もう1度ロジンを右手に2度、3度つけ、“種市ショー”が始まった。
先頭のディダーに154キロの外角ストレートが2球決まり簡単に追い込むと、最後はストライクゾーンからボールゾーンに落差の大きい137キロのフォークで空振り三振。続くグレゴリアスには2ストライクから自己最速タイの155キロストレートで三邪飛。3番・プロファーには、3ボール2ストライクから155キロのストレートでバットをへし折り、遊ゴロ。
危なげなく1イニング目を終えると、0-0の2回も先頭のヘルダーを1ボール2ストライクから154キロのストレートで二直、続くケンプも2ボール1ストライクから154キロのストレートで右飛。最後は左のクローズには初球、2球目と144キロのスプリットで空振りを奪い追い込み、3球目は落差の大きい140キロフォークで空振り三振。
世代別の代表、WBCサポートメンバーを除くと、侍ジャパンの一員として2度目のマウンドは、2回・23球を投げ、被安打0、2奪三振、0与四球、無失点、まさに“種市はいいぞ!”というピッチングだった。
「去年もそうですけど、シーズンにつながるような知識も入れられましたし、いろんな人の変化球、野球に対する姿勢もみんなからいいものを聞けたのでシーズン中に活かしていけたらいいなと思いますし、あとは千葉ロッテでも還元できるようにしたいと思います」。学びが多く、とても有意義な時間を過ごした。この経験をシーズンにどう活かしていくのかーー。今季の種市は、もうワンランク上がった投球を見せてくれるはずだ。そう期待したくなる京セラドーム大阪ドームでのピッチングだった。
取材・文=岩下雄太