オリオールズ・菅野智之(写真=GettyImages)

 今季も複数の日本人選手がプロ野球からメジャーリーグに活躍の場を移した。今のところ最も適応能力を示しているのが、巨人から海外FAでオリオールズへ移籍した菅野智之だろう。

 オフにオリオールズと1年契約を結んだ菅野は、オープン戦で4試合連続無失点を記録するなど結果を残し、開幕ローテーションの座を確保した。これまでレギュラーシーズンで4試合に登板し、2勝1敗、防御率3.43と上々の滑り出しを見せている。

 前回のガーディアンズ戦(日本時間18日、以下同)は、移籍後初となる中4日での登板。3回に2者連続被弾を浴びたが、打線の援護にも恵まれ、7回2失点の好投で今季2勝目をマークした。

 そんな35歳のオールドルーキーにとって課題の一つとされていたのが、ピッチクロックへの対応である。巨人時代の23年に指摘されたのが“投球テンポの悪さ”だった。当時の原辰徳監督が、菅野の長すぎる投球間隔に「攻撃にも悪影響がある」と注文を付けたこともあったほどだ。

 確かに当時の菅野は配球に気を使うあまり、特に走者を置いた場面では時間をかけすぎていた面があった。しかし、その後はメジャー移籍も頭の片隅にあったのか、テンポアップに成功。それが昨季の見事な復活劇にもつながった。

 そんななか迎えたメジャーでのルーキーシーズン。菅野はさらなるテンポアップに余念がないようだ。

 23年にメジャーで導入されたピッチクロックでは、投手はボールを受け取ってから、走者がいない場合は15秒、走者がいる場合は18秒以内に投球動作に入らなければならない。もし違反すると自動的にボールが宣告される。

 MLB公式データサイト『Baseball Savant』によると、菅野の走者なし時の投球間隔は14.9秒。ピッチクロックは投手がボールを受け取ってから時計が進み始めるが、同サイトではあくまでも投球間の秒数を計測しているため、6秒ほどの誤差があるという。つまり、15秒で違反のところ、菅野はおおむね9秒前後で次の投球動作に入っていることになる。

 今季は日本人投手8人がメジャーで投げているが、菅野の14.9秒が最速。菊池雄星と山本由伸が15.3秒で並び、千賀滉大(15.7秒)、佐々木朗希(16.1秒)、前田健太(16.7秒)、今永昇太(16.9秒)、松井裕樹(20.1秒)と続いている。

 また、日本人投手8人のうち5人が今季、一度はピッチクロック違反があるが、菅野は菊池、前田とともにいまだゼロを貫いている。メジャー経験の長い2人に交じって、高い適応力を見せているといえるだろう。

 まだ現地の食生活には慣れていない様子の菅野だが、少なくともマウンド上では早くもメジャーリーグの雰囲気を醸し出しつつある。次回は中5日でのナショナルズ戦(24日)に登板予定。前回以上のパフォーマンスに期待できそうだ。

文=八木遊(やぎ・ゆう)

この記事を書いたのは

八木遊

1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。

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