◆ 最新データのプロスピで2025年のペナントレースをシミュレート
プロ野球ゲーマーには、いい時代になった。
例えば、90年代後半の初代プレイステーション『実況パワフルプロ野球』シリーズでいえば7月に開幕版が発売、そしてシーズン終了後の12月に最終成績データを反映させた決定版がリリースされるのが定番の流れだった。もちろんユーザーは、その度に5000円前後でソフトを買う。手元の24年前の『パワプロ2001決定版』のソフト裏には、「完全データ搭載!!さらなる調整を加えたパワプロ2001の決定版」というキャッチコピーが確認できる。それが今は無料で定期的に最新選手データのアップデートがあるわけだ。10代のゲーマーには何を当たり前のことを…と突っ込まれそうだが、何でもないようなことが幸せな、開幕版を買えば決定版もタダでついてくる的な令和野球ゲームのリアルである。
PS5の『プロ野球スピリッツ2024-2025』(コナミ)でも、4月下旬に2025年の最新データが更新された。公式サイトによると、新監督や新人選手、新外国人選手を収録し、FAやトレードなども反映。選手のエディット関連が強化され、髪型やアイブラック、ユニフォームデザインパターン、プロ野球選手モデルの装備品、選手固有フォームなどが追加された。
というわけで、今回は最新データのプロスピで2025年のペナントレースをオート進行させてシミュレートしてみよう。もちろん巨人ならば、ライデル・マルティネスや甲斐拓也の補強組も在籍済み。さらに現在のNPB最強投手と言っても過言ではない今井達也(西武)のジャイロスライダーも緻密に再現。こんなの打てないっすよ……と驚愕する凄まじい変化量を体感できる。

さて、結論から書くと、最新データでシミュレートしたペナントは、セ・リーグは阪神、パ・リーグは日本ハムが優勝。個人成績は、村上宗隆(ヤクルト)や岡本和真(巨人)が故障離脱していない世界線だが、セ・リーグの本塁打王は、この2人と佐藤輝明(阪神)が最終盤まで激しく競り合い、36本塁打の佐藤が村上に3本差、岡本に4本差をつけて初のキングに。投手ではバウアー(DeNA)が180回3分の2を投げて15勝3敗、防御率1.79で最多勝を獲得してみせた。連覇を目指した阿部巨人は先発陣が崩れて首位に大きく離され3位がやっと。マルティネスが39セーブ、防御率0.95と存在感を見せたが、エース戸郷翔征が9勝12敗、防御率3.98と連続二ケタ勝利が途切れた。なお、注目の田中将大は3勝8敗、防御率6.38でなんとか日米通算200勝を達成。正直、実際にこの数字で先発起用はファンから批判殺到なんじゃ…と思わなくもないマー君のかなり厳しい現状までリアルに再現している。
◆ ペナントモードで電撃トレードを再現してみた結果…
パ・リーグはレイエス(日本ハム)が34本塁打と104打点の二冠でMVPに輝いた。注目はソフトバンクの上沢直之が16勝、防御率2.40、勝率.762で意地の三冠獲得……とここまで書いていたら、巨人の秋広優人・大江竜聖とソフトバンクのリチャードの電撃トレードニュースが飛び込んできた。というわけで、今度はペナントモードでこのトレードを再現して、移籍3選手の個人成績を見てみよう。

巨人を使用してソフトバンクへトレードを申し込むと、「成立すると思いますが、チーム編成が難しくなるのではないでしょうか」なんてフロントに𠮟られつつ移籍成立。新天地のリチャードは三塁スタメンで固定して、巨人時代は「サザンオールスターズを熱唱しながらバットを振れ」という原監督の謎の指導法で鍛えられた秋広も、ソフトバンクでは左翼や指名打者で起用されているようだった。
ゲーム内では4月下旬にトレードが成立したので、試合数は現実よりやや多いが、リチャードは126試合・打率.235・18本塁打・53打点・OPS.723。秋広は98試合・打率.280・7本塁打・45打点・OPS.745。大江は14登板・0勝2敗3HP・防御率.5.79という成績だった。もし、現実にこの数字が残れば双方にとってトレードはWin-Winだろう。

そして、オールドファンに本気でオススメしたいのは、1985年の落合博満、1990年の清原和博、2002年の松井秀喜といった全盛期のOB・レジェンド選手が使用できることだ。オレ流落合の素手で打席に入る仕草、神主打法のフォロースルーといった徹底的な再現性は感動的で全野球ファンが泣ける。
四番岡本の故障離脱で気分が落ち込んでいるG党は、現実の長嶋巨人では幻に終った「松井・落合・清原」の最強クリーンアップをプロスピで実現させてみるのはいかがだろうか。
文=中溝康隆(なかみぞ・やすたか)