ロッテの東妻勇輔は開幕から二軍で腕を振っているが、ここまで11試合・11回2/3を投げ、イニングを上回る12奪三振、防御率0.77と、一軍昇格に向けてアピールを続けている。
東妻は近年、ツーシーム主体の打たせて取る投球をメインにしているが、今季はファームとはいえ、イニングを上回る奪三振をマークするなど奪三振が増えている。
「右に対してはスライダーが絶対的に自信のあるボール。それでどんどん空振りが取れているので、どんどん投げ込んでいる状態ではあります。左に対しても今年は何球かインコースにスライダーがうまいこと使えているので、それが三振増えている理由かなと思います」。
4月5日のDeNA二軍戦では、3-0の7回無死一塁から加藤響を3ボール2ストライクから128キロのスライダーで空振り三振、3-0の7回二死三塁から上甲凌大を2ストライクから3球目のスライダーで空振り三振に仕留めた。
「去年とかに比べたらスライダーが自分の投げたい軌道になってきたかなというのはあります」と自己分析しながらも、「今からだと思うので、正直」とこの先、スライダーで空振りが取れるかがポイントと見ている。そう明かす理由について東妻は、「いつもキャンプが終わって4月、5月はスライダーがいい感じで投げられているんですけど、ここから疲れてきたり、体が変わってきたりで、多分曲がり方が変わってくると思うので、そこがキープできるかがこの先の課題かなと思います」と説明した。
スライダーで空振りを奪えている反面、今季はカットボールをほとんど投げていない。それは、スライダーが良いことも関係しているのだろうかーー。
「ツーシームとカットボールを両立されるのが僕の中では難しくて、どっちにも合わせちゃうと中途半端なボールになってしまう。どっちか消して、スライダーだったら全く別の投げ方で投げるので、速球系のボールというのは1種目に絞った方が良いのかなという理由で、今回カットボールはあまり投げないようにしています」。
また、オープン戦の時期に「クイックにすると球が弱くなってしまうところがあった」と話していた部分に関しても、「基盤というか、こういうときにこうしようという算段が固まってきたので、それは実戦で何回か試して、バッターがいることなので逆になっちゃう時もあるんですけど、それはそれで勉強しながらできていると思います」と話した。
今はファームで過ごしているが、「結果を見てもそれなりにやりたいことはできている気はします。球速の数字自体も150という数字を超えてこれれば、他のボールの威力も上がると思うので、今はそこを目標にしていますね」と自信を見せる。
「自分は任させられたところで多分いけるピッチャーだと思うので、適応力というもので適応できればと。右バッターはしっかりスライダーで三振が取れて、ゴロアウトも数増やせるように強みを出せるようにと思います」。一軍昇格を目指して、自身の課題、武器を磨いていく。
取材・文=岩下雄太