ロッテの小野郁は今季、ビハインドゲーム、先発投手がイニング途中で降板した後の2番手、勝ちゲーム、同点とさまざまな場面でマウンドに上がり、ここまでチームトップの19試合に登板して、1勝2敗2ホールド、防御率3.12の成績を残す。
5月18日の日本ハム戦では、1-1の12回に登板し1回を無失点に抑え、その裏、西川史礁のサヨナラ打に繋げた。吉井理人監督は試合後、「よく言われますよね、三者凡退でリズムがというんですけど、その通りになってくれて良かったです」と褒めた。
5月31日の日本ハム戦では、今季初めて3-1の勝ち試合の7回に登板。「勝っている試合を任されているので、やりがいもありますし、これからもそういうところでいっぱい投げられればなと思います」。一死走者なしから奈良間大己にライト前に運ばれたが、五十幡亮汰を154キロのストレートで空振り三振、郡司裕也を二ゴロで無失点に抑え、ホールドを挙げた。
6月11日の広島戦では、2-2の10回一死一、二塁の場面で登板し、末包昇大を1ボール2ストライクから投じた156キロのストレートで遊ゴロ、菊池涼介を156キロのストレートで投直に仕留め、ピンチを脱した。
小野は開幕からここまでの投球に「ボチボチです」と話すが、ストレートは11日の広島戦でも156キロを計測するなど、右肘手術前よりも力強い球を投げている印象だ。本人も「よくはなってきていると思います」と話し、具体的に良くなっているところについて「常時球速も速くなっていますし、ファウルも取れているので、いいかなと思います」と説明した。
開幕直後の取材で、「自分の得意球でもあるので、投げられないとダメかなと思いながら、投げています」と話していた武器であるスライダーも良い。5月18日の日本ハム戦、1-1の12回先頭の水野達稀を1ボール2ストライクから空振り三振に仕留めた138キロのスライダー、続く石井一成を1ボール2ストライクから空振り三振に仕留めた136キロのスライダーは非常に良かった。
「スライダーは変わらず投げたいところに投げられれば、抑えられるのかなと思います」。
140キロに迫るチェンジアップも、5月4日のソフトバンク戦、3-3の6回先頭の牧原大成に1ストライクから空振りを奪った2球目の139キロチェンジアップは良い抜けだった。
チェンジアップに関しては、「別にそんなに自分でもあんまり投げようと思っていないですし、カウントを取れればいいかなと思っています」との考えを示した。
今季の小野は17回1/3を投げ、イニングを上回る19奪三振。奪三振率は9.87と、3年連続40登板(20年の奪三振率が7.38、21年が9.75、22年が7.30)したときよりも、今季は三振を奪えている。
22年の取材で「場面によっては三振が欲しいところもありますけど、そんなに三振を意識して投げていることは今はないです」との考えだったが、現在も「今も特にこだわっていないですけど、2ストライク追い込んでから空振りを取れる球を投げようと思ってやっています」と明かした。
チームは苦しい戦いが続いているが、勝利するためにはリリーフ陣の出来が重要になってくる。その中で、小野は大事なピース。「しっかり任されたところで抑えて、チームに貢献できるようにやっていきたいと思います」。チームの勝利に繋がる好リリーフに期待だ。
取材・文=岩下雄太