「序盤の全然良くない時からちょっと上り目が見えている。もっと後半良くなるように試行錯誤しながらやっていきたいと思います」。
ロッテの種市篤暉は前半戦をこのように振り返り、後半戦に向けて意気込みを語った。
種市は前半戦、14試合・86回1/3を投げ、3勝6敗、67奪三振、防御率3.65。開幕直後の4月は不安定な投球が目立ったが、5月28日のオリックス戦以降ストレートが力強くなり、6月3日の取材で「去年の感覚に近いものが出てきたので、自信を持って次の登板に臨めるんじゃないかなと思います」と話し、2日後の6月5日の巨人戦では8回を1失点に抑え、投球内容も安定してきた。
現在のストレートについては「ストレートが一番イマイチですね」とバッサリ。7月12日の西武戦では150キロ超えのストレートが20球あったが、7回を無失点に抑えた前回登板の7月19日のオリックス戦は、150キロを超えたストレートはわずかに3球だった。ストレートのスピードについて、「風が強い日はあまりスピードが出ない。僕のイメージはそうなので、そこまで気にせずに投げていました」と話した。
ストレートは納得いっていないが、「変化球がすごく良くなってきています」と手応え。「西武の時は打たれて、結果は良くなかったですけど、そこまで悲観することなく1週間データを見て配球を考えて前回良かったので、しっかりコミュニケーションをとって次に繋げたいと思います」。
前回登板のオリックス戦では、0-0の初回二死一塁で杉本裕太郎を2ストライクから空振り三振に仕留めたインコースのシンカー系のフォーク、3-0の6回二死走者なしで来田涼斗を3ボール2ストライクから空振り三振に仕留めたインコースのスライダー系フォークが非常に良かった。
種市本人も「どちらの三振もデータ的にすごく良かったですし、軌道も浮かずにそのまままっすぐ軌道で落ちていたので、あれを続けられるようにしたいと思います」と納得のいくフォークが投げられた。その一方で、「毎回打たれる時は、(7回)若月さんとか初回の廣岡さんのボールも浮いているなと思いながら、センターからの映像を見ていたので、それはやらないように気をつけたいと思います」と反省した。
スライダーは、初回先頭の廣岡大志に1ボールから投じた2球目の131キロのスライダーの軌道がいつもと違うように見えた。「そうですね、初回に関しては変化球を確かめながら投げる部分が多いので、軌道が変わったりしますけど、スライダーも左バッターに使うように意識できたのが良かったかなと思います」。
その中でも、0-0の5回二死走者なしで太田椋に2ボールから空振りを奪った3球目の逆曲がりの133キロスライダーが良かった。「そうですね、そもそもスライダーを曲げようと思って投げていないので、理想的にはああいう曲がり方が一番良いんですけど僕的には。縦スラみたいなイメージで投げられるように。(5回)廣岡選手の三振も三振を取りましたけど、もうちょっと縦に落とせれば良いかなと思います」。
スライダーでいうと、西武戦はスライダーの割合が少なかったが、オリックス戦では割合が多かった。
「あれぐらいの割合で良いかなと思います。いつもまっすぐが50%くらい投げるので、今回は40%切っていた。基本バッターはまっすぐを待っていると僕は思っているので、ああいうカウントの取り方がベストかなと。カーブで入ったり、カーブで取れたら大体手を出してくるイメージはないので、僕の球種的に。まっすぐ、フォークというふうになるので。1回軌道的に1回外れるようなボールを投げられるようにしたいなと思います」。
オリックス戦は3回まで61球を投げながらも、4回からの4イニングは15球以内に抑えるなど、7試合連続で100球以上投げているが、1試合あたりの球数も少なくなってきている。
「そうですね、僕的にはカウントの作り方が一番大事だと思っていますし、2ストライク追い込んだら、長打率が僕の場合、グンと下がるので、ノーストライク、1ストライクのまっすぐの通しどころというか、変化球でどうカウントを作るかが僕の中で大事になってくるかなと思っています」。
いよいよオールスター明け初登板を迎える。「正直前半戦は情けないピッチング、自分が納得のいくピッチングがほぼほぼできなかったので、その中で後半戦はやっぱりちゃんとローテーションに回らないといけないと思いますし、長いイニングを投げないといけない責任があるので、歳も歳ですし。勝ちの確率が上がるようなピッチングができるように頑張りたいと思います」。カードの初戦、週頭の火曜日、1イニングでも長く、1つでも三振を多く奪い、そして1つでも多く勝ち星を挙げることが求められる。オールスター明けは登板した全試合で勝つつもりで投げてほしい。
取材・文=岩下雄太