ドジャースは日本人コンビの活躍でレイズに勝利。同カード3連戦を2勝1敗の勝ち越しで終えた。
1勝1敗で迎えた大事な3連戦最終戦。打っては、大谷翔平が2四球を含む4出塁。一発は出なかったが、二塁打と単打を1本ずつ放つと、昨年9月以来となる1試合2盗塁を記録し、足でもチームに貢献した。
投げては、山本由伸が後半戦3試合となる先発登板。6回途中まで散発5安打、無失点の好投を見せると、後を受けた4人の救援投手もスコアボードに「0」を刻み、チームとして今季5試合目の零封勝利を収めた。
これで山本はメジャー2年目にして初の2桁10勝に到達。レギュラーシーズン残り2か月で8~9試合の先発が予想されており、15勝も決して夢ではないだろう。
そんな山本の10勝目をアシストしたのは、今季2セーブ目を挙げたベン・カスペリアスだ。9回を託されたブレーク・トライネンが2つのアウトを奪ったものの1安打2四球を与え、2死満塁のピンチを招いたところで、ロバーツ監督は同じ右腕のカスペリアスを投入。カスペリアスは1番ヤンディ・ディアスを僅か4球でショートゴロに打ち取り、火消しに成功した。
この日のトライネンは制球がやや不安定だったとはいえ、通算82セーブを誇る37歳のベテラン。カスペリアスは実質1年目の投手で、つい先日まで防御率は5点台だった投手だ。不安定といわれるドジャースの救援陣の中でも9回を託せるかといわれると疑問符がつく投手である。
しかし、ロバーツ監督はデータ的な裏付けを持ち合わせていたのかもしれない。実は今季、カスペリアスが走者を背負った場面で登板した試合は高い確率で火消しに成功している。
レイズ戦の3人の走者を含めて、カスペリアスは今季、前の投手が残した走者を17人背負っている。そのうち生還を許したのはなんとゼロ。17人の走者を全て塁に残しているのだ。
この成績は防御率には表れない。登板時に背負っていた走者は生還してもしなくても、本人の防御率は変わらない。カスペリアスは、数字に表れにくい部分で、チームに大きく貢献していることになる。ちなみに今季10人以上の走者を背負って1人も生還させていないのは、カスペリアスのほかに、アストロズのブライアン・キング(0/14)と、フィリーズのマックス・ラザー(0/13)の2人しかいない。
ドジャースが地区4連覇をかけて迎える終盤は、「困った時のカスペリアス」がチームの合言葉となるかもしれない。
文=八木遊(やぎ・ゆう)