ロッテのドラフト1位・西川史礁は、マリーンズ打線に欠かせない存在となり、シーズンを終えた時にどんな成績を残しているのか楽しみすらある。
西川は2月16日からの対外試合で打率.403(62打数25安打)と打ちまくったが、開幕してからプロの壁にぶつかり、5月25日終了時点で打率.145と苦しんだ。“ポイントを近くにして打つ”ことをテーマに取り組み、6月13日に再昇格以降は打率.359(156打数56安打)、1本塁打、19打点と打ちまくっている。
左中間、右中間に長打が出てきており、7月は22試合で月間6二塁打、8月もすでに8試合で6二塁打をマーク。「広角に打てているというのは自分の状態が良い証拠なので、そこはよく受け止めています」。
前半戦最終戦となった7月21日の取材で西川は「ホームランというのがまだ出ていないんですけど、率も残せる中でホームランも打てるというのが自分の理想像。そこはちょっと思い描いていたところと違うところはあるんですけど、うまくいかないのはプロの世界だと思います。あんまりホームランにこだわりすぎず、とにかく必死にやっていけば結果がついてくると思うので、しっかりやっていきたい」と話していた中で、プロ入り後初めて4番の打順で出場した7月30日の楽天戦、0-3の4回一死走者なしの第2打席、岸孝之が3ボール2ストライクから投じた12球目の131キロをレフトラグーン席に飛び込むプロ初本塁打を放った。
「1本出たのでホッとしたところはあるんですけど、ヒットの延長線がホームランになってくれればいいので、そこは大きくなりすぎず、どんどんやっています」。
プロ初本塁打を放ち、一時1割台に沈んだ打率も.289(232打数67安打)まで上げてきた。インサイドの対応を含めて、ひとつ“プロの壁”を越えたようにも見える。
西川本人は「う〜ん」と少し考えた後、「打つべきボールを今打つことができていると思うので、多少は失敗する時もありますけど、失敗した時に次の打席にどう振り返るかというのが、一番大切だと思います。そこは試合中もしっかり考えるようにしています」と自己分析した。
試合に臨むにあたって、「ヒットを毎試合打ちたいものですし、その日のテーマを毎日ノートに書いて、その日に達成できたか、なぜできなかったのかを、常に毎日振り返りながら、修正しているのでそこはすごく結果につながってきているのかなと思います」と準備、反省を欠かさない。
「一番はバッティングで、バットでチームを引っ張ると思いながらやっているので、とにかく自分の強いスイングを心がけることを毎試合考えてやっていきたいと思います」。8月はここまで月間打率.424(33打数14安打)、2打点、気はかなり早いが8月の月間MVPを獲得するくらい残りの試合で打って欲しい。最下位に沈むチーム状況の中で、マリーンズファンにとって、西川史礁の活躍は間違いなく希望の光となっている。
取材・文=岩下雄太