前田健太(写真=GettyImages)

◆ 白球つれづれ2025・第35回

「マエケン」や、時には「画伯」の愛称で人気を集めていたメジャーリーガーの前田健太投手が今季限りで日本に帰国することを明らかにした。

 8月31日にテレビ東京系列で放送された『スポーツ リアライブ~SPORTS Real&Live』のコーナーで「年齢的にも若くないし、(アメリカでプレーするのは)今年で終わりって言うのは決めている」と10年間に及ぶメジャー生活に終止符を打つことを語ったものだ。

 広島のエースがMLB挑戦を決めたのは2016年。名門・ドジャースで初年度から16勝(11敗)の活躍を見せると翌年以降も13勝、8勝、10勝と先発ローテーションを守り、その右腕は高い評価を受けた。

 20年にはツインズに移籍。コロナ禍で試合数縮小の中、オフのサイヤング賞得票では2位を記録するなど全米にその名は知れ渡った。

 しかし、翌21年に右肘のトミー・ジョン手術を受けてからの回復が遅れ、苦難の道が始まった。

 昨年からはタイガースに移籍したが、成績は上がらず今季は救援で7試合を投げて0勝0敗、防御率7.88。戦力外通告を受けた夏以降はカブス、ヤンキースの3Aとマイナー契約を結ぶも活躍出来ないまま今季限りの帰国を決断することになった。

 広島時代から「天下一品」と称されたスライダーを武器に白星を積み重ね、MLBの68勝を併せると日米通算165勝123敗。一時は200勝も視野に捉えていたが、近年の不振で現実味は遠のいた。

 テレビ局の取材を受けたのは8月中旬の頃と思われる。今季限りの日本帰国となれば、当然、来季の日本球界復帰が予想される。前田自身も「オファーをもらえないとプレーできない」と日本でのプレーを前提に語っている。

 球界はペナントレースの大詰めと並行して、来季のチーム作りの検討が始まっている。すでにヤクルト・高津臣吾監督の今季限りの退団報道がスポーツ各紙を賑わすように秋に向けて動きは加速する。そう考えると、今回の“マエケン騒動”は来季を睨んだ就職活動と受け取れなくはない。

 では、一足早く来季の前田の入団先を予想してみよう。

 本命は古巣の広島になる。

 1日現在、リーグ4位のチームは3位のDeNAと1ゲーム差、2位の巨人とも2.5ゲーム差でAクラス入りからクライマックスシリーズへの挑戦も望める。一方で5位の中日とも0.5差。どちらに転ぶか予断は許さない。

 しかし、昨年、今年と開幕直後は快進撃を見せるが二年連続で失速。熱烈ファンで知られる本拠地のマツダスタジアムでも不入りが伝えられる。もし、最終的に下位に沈むようなら、新井貴浩監督の退団まで発展する可能性がある。

 森下暢仁、床田寛樹、大瀬良大地、森翔平らで組む先発陣はもう一人、二人勝ち星の計算できる投手が欲しい。人気面を考えても全国区の前田なら魅力はある。

 2年前ツインズからFAした際には、日本のパ・リーグの球団が調査に動いたと言う情報も出回った。当時のチーム事情から見ると有原航平や、昨年は上沢直之と言った元メジャーリーガー獲得に動いたソフトバンクが関心を寄せていたと思われる。しかし、今オフとなると強力投手陣が確立されたソフトバンクや若手投手が成長著しい日本ハムより、再建に必死のロッテやオリックスの方が獲得に乗り出す公算は大きそうだ。

 今や、メジャー挑戦は当たり前で、国内への「Uターン組」も珍しくない。

 彼らに求められるのは、かつての実績に近い数字が残せるのか? それとも明らかに力量が衰えて帰って来るのか? 前述の有原や上沢らは前者だし、巨人で日米通算200勝に、あと1勝と迫る田中将大投手などは後者に当たるのかも知れない。

 その田中と前田は1988年生まれの同期生。高校時代から活躍して、肩、肘の手術から再起を期す境遇も似ている。このクラスの大物を迎え入れる場合には、それなりの大金も必要となるので、判断は難しい。

「へた可愛い」イラストでグラウンド外でも人気を博す前田画伯。

 さて、自らの来季の姿を描くとしたらどんなイラストになるのだろうか?

文=荒川和夫(あらかわ・かずお)

この記事を書いたのは

荒川和夫

1975年スポーツニッポン新聞社入社。野球担当として巨人、西武、ロッテ、横浜大洋(現DeNA)等を歴任。その後運動部長、編集局長、広告局長等を経て現在はスポーツライターとして活動中

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