ロッテの美馬学が、18時から行われる古巣・楽天戦(ZOZOマリン)でプロ野球生活最後の先発マウンドに上がる。
美馬は10年ドラフト2位で楽天に入団し、プロ2年目の12年に自身初の規定投球回に到達すると、13年には球団初のリーグ優勝、日本一達成に大きく貢献し、自身も日本シリーズMVPに輝いた。16年からは先発ローテーションの一角として投げ、16年からの4年間で3度規定投球回を達成し、19年オフにロッテにFA移籍。
「(若手の)お手本でいられるようなピッチャーでいたいですね」。ロッテ加入直後からこのように話すことが多かった美馬は、移籍1年目の20年、規定投球回(123)と二桁勝利(10)をクリア。美馬が入団する前年の19年、規定投球回到達、二桁勝利した投手が誰もおらず、チームの柱として腕を振った。
22年は当時ルーキーだった松川虎生捕手とバッテリーを組み、チームトップの10勝をマーク。特にオールスター明けは7試合・44イニングを投げ、5勝0敗、防御率0.82とエース級の働きを見せた。
若手選手の手本を示し続けた美馬との思い出を、マリーンズの選手たちに聞いてみた。
▼ 唐川侑己(18年目 / 投手)
「コロナの時に2人ずつしか練習できなかったんですけど、その時の練習パートナーでしたね。美馬さんの1年目の時で、いろいろ投げ方、意識を教わりました。その年結構良くて、振り返ると、その時間は貴重だったなと思いますね」
▼ 二木康太(12年目 / 投手)
「自分自身オールスターに2回(17年・19年)出て、美馬さんも2回ともタイミングが一緒でした。初めてのオールスターはロッテからピッチャーが一人で、周りはジャパンとかオールスターに何回も出ていたりして、みんな知り合いという中で、一人で辛い思いをしていた時に、美馬さんに話しかけていただきました。すごく嬉しかったですね。思い出はいっぱいありますね。1回遠征中にイヤホンをなくして、イヤホンなくしたわ〜と言っていたら、次の日美馬さんがイヤホンを買って、“二木、誕生日近いからプレゼントしてあげる”とプレゼントしてもらいましたね。美馬さんの話を聞いたら、みんな言うと思うんですけど、優しいという言葉が一番似合う人なのかなと思います」
▼ 小島和哉(7年目 / 投手)
「僕は結構ネガティブなので、ポジティブな声をかけてもらって、僕が初めてプロ初完投した9月11日。その1週前に2戦連続で打たれて、次の登板はないなと思っていたくらいなんですけど、登板をもらえました。美馬さんと話していて、“ファームでチャンスをもらえない子もいるし、チャンスをもらえているんだから今は。打たれたらとにかく練習すればいいじゃん”と。“悲観的なメンタルでマウンドに上がるよりも、みんなの代表して投げているんだから、オジが打たれても誰も文句ないし、野球生活が終わるまではチャレンジして失敗しての毎日”、そういう話をしてもらったのは今でもすごい覚えています。なのでちょっと調子が悪かったり、打たれたりした時も本当にその時のことを思い出してというか、その時の気持ちを忘れないようにするために登場曲も題名だけでも911というのを使っているのもあります。たくさん色々教えてもらったので、美馬さんとかが8回を投げて、僕とかが5回、6回とかでギリギリ勝ちをつけさせてもらっていたので、今度は自分が逆の立場になって、(9月)8日の試合で河村とか勝ったら僕もすごく嬉しい。少しでもチームのためにその魂を受け継いでやって行けたらなと思います」
▼ 河村説人(5年目 / 投手)
「優しくて頼りになる先輩が引退されるというのは寂しいです。すごく良い影響を与えてくれた先輩だったので、寂しいのとお疲れ様でしたと。今年はとにかくいろんなところが痛そうだったので、本当にお疲れ様という言葉をかけたいですね」
▼ 廣畑敦也(4年目 / 投手)
「後ろから見てストレートとか変化球だったりとか、スライダーとか教えてもらったり、まっすぐの質とか、美馬さんも小柄な選手で僕も大きくない選手。そういったところでどういう気持ちだったりとかお話をさせていただいたので、そこは自分の中でも勉強になった部分がありますね」
▼ 秋山正雲(4年目 / 投手)
「美馬さんの練習量、姿勢は若い人よりもランニングの走るペースが速かったり、背中を見て学んできたかなと思います」
▼ 田中楓基(4年目 / 投手)
「1年目の時に結構いろんなことを教えてもらいました。野球選手としてというところだったり、技術のことももちろんですけど、野球選手としての心の持ち方をすごく教えてもらいました」
▼ 松川虎生(4年目 / 捕手)
「1年目からバッテリーを組ませてもらって、自分のサインにあんまり首を振らず、投げてくれました。しっかり話し合いながらコミュニケーションを取ることが多い中で、すごく配球についても勉強することが多かったです。その中で、“虎生が思ったように、やりたいように”というところで、すごくバッテリーとして、いろんな経験がありましたけど、自分の野球人生の中ですごく大きかったかなと思います」
▼ 高野脩汰(3年目 / 投手)
「去年フォームがおかしくてちょっと悩んでいる時に、美馬さんとキャッチボールをさせてもらって、“細かくここがこうなってるよ!”、“ここを直したらボールが強くなるよ!”みたいな感じのことはファームで言ってもらいましたね。その時の改善になりましたし、そこから抑えて一軍に上がることができました。コーチを交えての話でもありますし、ちょとした一コマなので、美馬さんが覚えているかわからないですけど、僕の中では美馬さんといえばその思い出ですね」
▼ 澤田圭佑(ロッテ在籍3年目 / 投手)
「僕がロッテに入った時、リハビリだったので、美馬さんもアマチュア時代にトミー・ジョン手術やっている投手で、その苦しさをわかっている方。リハビリ段階で経験者として、ピッチャーとしての先輩でもあるし、リハビリ経験のある先輩なので、他愛もない野球の話がとても経験になりました。自分のプラスになるような話をしてくれる先輩なので、頼り甲斐のある先輩です」
▼ 木村優人(2年目 / 投手)
「美馬さんも自分も茨城県出身で、野球の話もさせていただきましたし、同じ茨城県出身でもあるので、地元トークというのが多くて、自分たちにしか茨城県のことはわからないので、その話で盛り上がったのが一番楽しかったというか、思い出に残っているところかなと思います」
▼ 寺地隆成(2年目 / 捕手)
「1回しかバッテリーを組んだことがないんですけど、美馬さんと組ませていただいた時にインコースの大切さ、インコースの配球、インコースを使っていくことを試合中のピッチングを通して教えていただきましたね」
▼ 富山紘之進(2年目 / 捕手)
「球とかは受けたことないんですけど、喋ってくれるイメージがあったので、良い人でしたし、とても優しい人でした」
▼ 廣池康志郎(1年目 / 投手)
「今年1年間しか一緒にプレーしていないんですけど、変化球の握りだったり、あとは野球以外の人間性の面でも教わったというか、指導してもらえました。先輩とご飯に行った次の日に“ありがとうございました!”とか礼儀の部分をかなり言われましたね」
取材・文=岩下雄太