ロッテの西川史礁は、9月30日の楽天戦後に規定打席に届き、パ・リーグの打率ランキング6位にランクインした。シーズンの規定打席到達まで残り6打席、ロッテの残り試合数は2試合で、故障がなければなんとか到達しそうだ。
西川は新人王の最有力候補だが、シーズン開幕してからはプロの壁にぶつかり、5月25日終了時点で打率が.145まで落ち込んだ。“ポイントを近くにして打つ”ことをテーマに取り組み、6月13日に再昇格して以降の82試合で、打率は.313(335打数105安打)、3本塁打、34打点と、安定した打撃成績を残す。
8月6日の取材で「ヒットを毎試合打ちたいもんですし、その日のテーマというのを毎日ノートに書いて、その日に達成できたか、なぜできなかったかのかを、常に毎日振り返りながら、修正しているのでそこはすごく結果につながってきているのかなと思います」と話していたが、日々の振り返りを行う中で、安打が打てている要因、打てなかった時の原因とかも自身で理解しているのだろうかーー。
「もちろん、それは分かっていますし、ダメなところは振り返って、良かったところはなんで良かったのかを振り返って常に考えながら毎日やっています」。
日々の振り返りは、学生時代から取り組んできたことなのだろうかーー。
「学生の頃はそういうことをやっていなくて、プロに入ってノートに書き始めましたね」。
ノートに振り返りを書くようになったきっかけについては「いいことをノートに書いておくと、悪くなった時に振り返るのでやっていますね」と説明した。
◆ 栗原コーチが見た西川
栗原健太打撃コーチは西川の打撃について「開幕してからちょっと少しボール球を振って自分の形で振れなかったですけど、詰まってもライトに打てるようになって、ヒットゾーンが広がった。元々変化球を拾って打つことはできた。一番は詰まってライトに打てるようになったのが大きいんじゃないですかね」と、その成長に目を細める。
西川は現在新人ながらリーグトップの27二塁打をだが、6月以降に24本の二塁打を放つ。6月に再昇格を果たしてからは広角に二塁打が打てている。栗原コーチも「長打というところも増えていると思います。それはしっかりスイングできているからだと思うので、あと打席でずっと試合に出ていますけど、少しずつ余裕が出てきて、この形だったらいけるというのがあるんだと思います」と分析した。
◆ 走塁に守備
西川の打撃力に注目されがちだが、走塁や守備での貢献も大きい。“1つ先を狙った走塁”は光るものがある。
8月20日の楽天戦、0-2の5回二死三塁の第2打席、古謝樹が投じた初球の136キロツーシームをセンター右に安打を放つと、スピードを緩めることなく二塁を陥れる適時二塁打。8月31日のソフトバンク戦、1-1の3回無死一塁で上田希由翔の左中間の安打で一塁走者・西川が三塁に進む好走塁を見せ、寺地隆成の打席中に暴投で生還した。
素晴らしかったのが、9月13日の楽天戦、6-2の4回二死一塁で岡大海の三塁ボテボテのあたりで、3ボール2ストライクでスタートを切っていた一塁走者・西川は、楽天のサード・フランコが一塁へ送球するのを見て、スピードを緩めることなく三塁を陥れる好走塁。
「そこもやっぱりチームの勝敗を左右するひとつだと思っていますし、走塁一つで勝ち負けが分かれる時もあります。先に先にずっと狙っているので、あの走塁(9月13日の楽天戦)は自分の中でも良かったかなと思います」と振り返った。
レフトの守備でも、8月24日の西武戦、1-0の8回一死一塁でネビンの左飛で3ボール2ストライクでスタートを切り、飛び出していた一塁走者・高松渡を一塁へダイレクト送球でアウトにするなど、ここまで外野手リーグトップの9補殺。
ルーキーながら攻走守に欠かせない存在になっている。「1試合1試合無駄にせずに自分の全力プレーを発揮して、結果がついてくればいいなとすごく思っています」。シーズンの規定打席に到達して、尚且つ打率、安打数をさらに上げ、新人王を受賞したい。
取材・文=岩下雄太