社会人チーム相手の連戦をこなし、CSへ向けて調整を進めてきた三浦ベイスターズ。8日には離脱していたキャプテン・牧秀悟も実戦復帰と明るいニュースもあるが、タイラー・オースティンとダヤン・ビシエドの両外国人は姿を見せず仕舞い。離脱中の宮﨑敏郎も横須賀で調整中とフルメンバーでの戦いができない公算が強い。
しかも負けたら終わりの短期決戦。相手も好投手を惜しげもなく投入してくることで、僅差のゲームが予想されるなか、ポイントとなるのはいかに効率よく得点をもぎ取る野球ができるかになってくる。
そこでキーマンとなりそうなのが3年目の林琢真。今シーズンは肉離れで離脱した時期もありながら、自己最多の95試合出場と頭角を現した。また7月31日に牧が離脱した8月以降は、アマ時代の本業であるセカンドに収まると、9月は打率.267、出塁率.309、得点11とチームの快進撃のピースとなり、2位フィニッシュに大いなる貢献を果たした。
目前に迫ったCSファーストステージでもファーストには牧が入る可能性が高く、林にはレギュラーシーズン通り、セカンドでのスタメンの役目が与えられそうだが「与えられたポジションで、自分のできることをやるだけですね」とサラリ。「去年はスタメンでは出られませんでしたし、2年前はすぐ負けてしまった。今年はスタメンで出て、勝ちに貢献できるようにしたいですね」と目を輝かせる。
その境地に至ったのも、今年の活躍と2年前のルーキーイヤーでのCSでの経験がモノをいう。敵地広島で1番ショートでスタメン出場した際は「最初めっちゃ緊張しました」と振り返るように、特別な雰囲気に飲まれた。「そのときもいつも通りに、いつも通りにと言い聞かせてやっていましたので、今年もそんな感じでいれば、勝手にそうなっていくかなって」と対処法をアタマにインプット。「それでもやっぱり気合も入るでしょうし、アドレナリンも出ると思います。そのなかで変に気負わずにやろうと自分の中で心がけてやっていこうかなと思いますね」と程よい緊張感をキープしつつ、自然体で大一番に臨む。
そのうえで「細かいプレーが大事になると思います」と短期決戦での自身の役割を熟知する。「追い込まれてからでも進塁打を打つ、相手のミスを突いて1つ進塁する。そういった部分に目を逸らすこと無く、大切にやっていければと思います」と相手に嫌がられるプレーを突き詰め、自軍に流れを引き寄せることに尽力していく考えを明かした。
本拠地・横浜スタジアムで行われるファーストステージ。360度のファンの応援に「もちろん力になります。そのファンの皆様の声援を力に変えていきますよ」と誓った林琢真。一回り大きくなった身体のみならず、大きくなった思考力も武器にして、ポストシーズンを走り抜ける。
取材・文・写真:萩原孝弘