DeNA・颯(写真:萩原孝弘)

◆ 波に乗れなかった移籍2年目シーズン

 3年間でわずか1試合登板から、育成契約に切り替えられ、遂には戦力外とどん底を味わったオリックス時代。しかしDeNAに移籍した昨年、中川颯(現登録名は颯)は一気のブレイクスルーを果たした。

 レギュラーシーズンで29試合に登板し、3勝無敗1セーブ、6ホールドポイントと先発、中継ぎ両ポジションでフル回転した。さらにクライマックスシリーズで3登板、日本シリーズでも3登板の計6試合で無失点とポストシーズンでも快投を披露し、26年ぶりの日本一にも多大な貢献をもたらした。

 今シーズンも開幕から当然のように一軍入りし、27試合で防御率1.93と数字は残した。だが昨年はピンチの場面での火消しが真骨頂だったが、今年は失点6ながら前のピッチャーが残したランナーを生還させることが散見され、その点数は12を数える。

 負のサイクルにハマってしまい「打たれたらどうしようと思うようになってしまいました。マウンドへ向かうのも怖くなっていって…」と「もともと強い方ではない」と自認するメンタルにも悪影響を与えてしまった。不安の残る中での投球。CS争い真っ只中の9月6日には、1点ビハインドの6回一死一・二塁で登板し、2アウトまでこぎつけながらも痛い2点タイムリーを浴びてしまったケースは象徴的だった。翌日に登録を抹消された颯は、チームはCSファイナルステージまで進みながらも出番はなし。思うような結果を残せぬまま、2025年シーズンは幕を閉じた。

◆ 異国の地での成長求め

 “何かを変えなければ”との思いから、オーストラリアン・ベースボールリーグへの参加を志願。フェニックスリーグにも参加しており、PSの準備もあったことから申請期間は過ぎていたが「関係者の方のお陰で行くことができました」と無事参戦が決まった。

 オーストラリアでは「今年感じた課題の克服を実戦を通じてやること」と「知らない土地での生活で成長したい」との2点。チームメイトの益子京右とともに約2ヶ月、部屋を借りて異国での挑戦となる。日本で過ごすオフを捨て、自炊がメインの生活に言葉の壁のある環境に身を置くことで、野球のパフォーマンスにもつながる発見にも期待する。

 来季に向けて「先発でも中継ぎでもどこでもいいので、チームの勝利へ貢献する」目標を掲げる。それは常に変わらぬセリフでもある。ただ「身体はすべて問題ないです」とコンディションは順調と明かす。それだけに「野球を楽しんでやれるようになりたいですね」とそっと漏らした部分にこそ、渡豪への最大のターゲットがあると感じさせた。

 移籍一年目の活躍は、決してフロックではない。それを証明するため“ハマのサブマリン”は真夏の異国から強く、たくましくなって帰って来る。

写真・文・取材:萩原孝弘

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ベースボールキング編集部

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