怪我人や誤算が続いているDeNA。試行錯誤の戦いの中、勝率5割前後で踏ん張っている要因のひとつが、新戦力の台頭となっている。
中でも岩田将貴の力投がブルペンを、チームを助けている。
交流戦スタートとなったオリックス戦、岩田は初戦で1回を2奪三振無失点に抑えると、2戦目も2回を投げ3奪三振無失点と連日の好投を披露。ビハインドの展開の中、いわゆる勝ちパターンの投手を温存させる役割を担い、ミッションを全うした。この2日間だけではなく、一軍昇格後5試合、トータルで7イニングを無失点に抑える完璧な働きを見せている。
相川監督も岩田の投球に高い評価を寄せている。「右もですけれども特に左に対してはすごく良い投球が目立っています。主軸の左バッター目掛けていける投手だなと感じています」と、強気なピッチングを称賛した。
岩田本人も自身のスタイルを冷静に分析している。「僕みたいにスピードのないピッチャーはなかなか抑えられない。スライダーの投げどころは間違えないようにしています」と語り、伝家の宝刀であるスライダーが生命線であることを再確認した。
この大車輪の活躍を、小杉陽太チーフ投手コーチも高く評価している。「ファームにいた頃から状態が良かったのですが、一軍に上がってきてからはさらに出力が上がりました」と昇格後のパフォーマンスの高さに目を細める。
相川監督同様に左打者に対する圧倒的なスタッツを認め「左右を問わずにしっかり抑えられている点」にもフォーカスする。
これこそが現状左のワンポイントに留まらない、大きなプラスアルファの存在感を示している理由となっている。
昨年は右打者に対して苦しむケースが目立ったが、今年は明確な改善が見られる。「3塁側のラインをしっかり出せるようになり、ストレートやスライダーをそこへコントロールできているのが一番大きい。さらに左打者のインサイドへ食い込むツーシームが、相手のハーフスイングや空振りを誘うなどスライダーと対になる球として強く生きています」。
球種はストレート、スライダー、ツーシームと3種類のみ。ただしサイドスローの独特なアングルから出し入れする投球術が完全に機能しており、右の好打者が嫌がるようなスイングを見せている点は、昨年には見られなかったポイントと頷く。
連夜の好投にも「毎日死にものぐるいでやっています。他のピッチャーもみんな状態がいいので、負けないように任されたところで投げていきます」と、さらなる活躍への意気込みを語る岩田。
打線は飛車角落ち、先発陣も若き力で支えている現状では、ブルペン陣の奮起は必須。特に左腕不足に泣いてきたベイスターズのブルペンにおいて“左キラープラスアルファ”の台頭は、試行錯誤を続けるチームの行く末を明るく照らす、希望の光となる。
取材・文=萩原孝弘