異例の1週間ノースロー中に新球種を習得したオリックスの吉田輝星(写真=北野正樹)

 「体をリフレッシュすることができたし、縦落ち系のボールも試すことができました。1週間のノースローは賭けだったのですが、その賭けは成功したと思います」。2軍戦で調整中のオリックスの吉田輝星投手が、笑顔を浮かべた。

 昨年3月のトミー・ジョン(TJ)手術から1年で復帰した今季、4月25日に1軍に昇格すると6月末までに中継ぎとして20試合に登板し、1勝2敗8ホールド、防御率4.11。6月に入って8試合連続無失点でブルペンを支えたが、同30日の日本ハム戦(エスコンフィールド)で2失点をした2日後に登録を抹消された。

 手術した右ひじの状態が悪化したわけではなかったが、岸田護監督と相談して抹消後の1週間をリフレッシュに充てることにした。「攻め切っているかと考えたら、8割くらいしか攻め切れていませんでした。コースや球種の考え方とかも頭の中がごちゃごちゃになってきてましたし。1年間、野球をやってきませんでしたからコンディションの部分が影響しているのかと思ってマモさん(岸田監督)に相談したら、同じようなことを言われました」。チームの試合数が半分を超え、吉田の20試合(登板)という区切りでもあった。

 抹消までの2日間を含め、7月7日までボールを触らなかった。オフシーズンや手術後を除けば、1週間のノースローは初めての経験だった。「ずっと1軍にいたかった。厳しい場面で投げさせてもらっている中継ぎとしては、(離脱は)情けないこと」と不甲斐なさを嘆いたが、得たものは大きかった。

 1週間、ボールを握らなかったことで体をリカバリーすることと並行して、球速が戻りつつあるストレートを生かす新たな球種を頭の中で模索した。導き出したのは、「強めに縦に落ちるボール」だった。早速、ブルペンで試すと「ナックルカーブかよくわからないのですが、内外角に投げ分けられて、僕の投げ方に合っている球種なんだと思いました」というほど、決まったという。

 直球とチェンジアップ、シュートを武器にしてきた吉田。「直球とチェンジアップ、ナックルカーブの三つで三角形のストライクゾーンを作るんです。前半戦の僕の配球は相当、シュートに偏っていると思うので、それでもいいし違う配球を主体にしてもいいと思います」と新たな投球スタイルに思いをはせた。

 10日の2軍の阪神戦(杉本商事Bs)では、1イニングに登板し打者3人に3、4球を投じ、遊ゴロに仕留めるなど無安打に抑えた。投球後、ベンチに引き揚げる際には主審にボール、ストライクの精度を確認して満足げな表情を浮かべた吉田。「そろそろ、(球速)150kmが出てもいいと思います。(表示が遅いとされる)この球場で150kmが出れば1軍なら150km前半だと思います」という言葉通り、この日の最速は150kmだった。

 「タイミングを外す、いい感じのカーブだったと思います。どんどん投げていって、三振を取るようなキレを出したい。前半戦と比べると、がらっと配球が変わって急にパワーピッチングになるかもしれないですね」。チームは球宴前に9連戦を控える。“ニュー輝星”が目標とする「50試合登板」に向け、再び躍動する。

取材・文=北野正樹

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北野正樹

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