トミー・ジョン(TJ)手術から復帰したオリックスの吉田輝星投手が、1軍復帰直後、2試合で1球ホールドを記録するなど順調な復活を遂げている。
「あの場面でクローザーが出るということになれば、リリーフ陣にマチャドしかいないと思われてしまう。(相手チームに)ナメられないためにも、しっかりと抑えなくてはいけないと思いました」。吉田がちょっぴりと胸を張った。
振り返ったのは、5月5日のロッテ戦(京セラドーム)。9回に6‐0から3番手投手が1点を与え、1死一塁で登板機会が回ってきた。点差はあったが、失点を重ねては翌日の試合にも影響するため、勢いを抑えなくてはいけない場面。ここで吉田は、初球のカーブで投‐二‐一の併殺に仕留めゲームセット。
吉田は、574日ぶりの1軍マウンドとなった4月25日の日本ハム戦(同)でも、1球でピンチを断った。4‐1の7回2死満塁で、3番のフランミル・レイエス選手を142kmの内角へのシュートで一邪飛に打ち取った。
「シングル(単打)でも2点が入ってしまう場面。パワーがあるんで厳しいシュートをしっかりと投げないといけないと思いました。オリックスに来てから覚えた球種ですが、あまり投げミスがないので悪いイメージはなかったので、普通に投げただけです」と振り返った吉田。岸田護監督は「あの苦しい場面を1球でね。あれで相手の流れも一気に止めてくれました。初球にあの球をあそこに投げられるのは、技術が高く度胸があると思います」と絶賛した。日本ハムのコーチ時代から吉田を知る厚澤和幸投手コーチも「オリックスでまた一緒にやることになってから、何回も助けられていますから。初球からインコースを突けるというのも、彼の強みですから」と全幅の信頼で送り出したそうだ。
「1球救援」には、捕手のリードも見逃せない。日本ハム戦では、投手交代時のマウンドで若月健矢選手に「何、いきますか?」と尋ねたところ「シュートをいこうか」と返ってきた。自信のある球種。2024年6月29日のロッテ戦(ZOZOマリン)では、3‐3の9回2死一、三塁にシュートで三ゴロに仕留め、延長で杉本裕太郎選手の2ランが飛び出し、「1球勝利」を飾った。この時の捕手も若月だった。
5日のロッテ戦では、森友哉選手から初球にカーブのサインが来た。「マウンドで何も話をしていなくて、普通にサインが出たんです。僕もちょっと意表を突かれたんですが、ピッチャーが意表を突かれるくらいなので、投げきれたらバッターは嫌だろうなと思いました」と吉田は笑顔で振り返る。
TJ手術から約1年2か月。「まだ、違和感や固さはありますが、今までと同じ球速帯でも(ボールの)強さが違っているので、そこが治ってくれば自然に球速も上がってくると思います」。チームを勝利に導く中継ぎとしての矜持を胸に、腕を振る。
取材・文=北野正樹