大阪桐蔭高野球部出身で、希少がんと闘う福森大翔さんが1年ぶりに京セラドームのマウンドに帰ってきた。不動産業「SENSE TRUST(センス・トラスト)」(大阪市、今中康仁社長)がスポンサーとなった6月12日の阪神戦に元気な姿で登場し、ノーバウンド投球を披露した。
「本当にこのような場を作っていただいた今中社長をはじめ、球団関係者のみなさまに心からお礼を申し上げたいのと、当たり前ではないということをずっと思って生活してきたので、とても感謝の気持ちでいっぱいです」。2年連続の始球式を終えた福森さんが、開口一番、関係者への感謝の気持ちを言葉にした。
福森さんは、2013年に同校が春夏連続して甲子園に出場した時の主力選手。2013年夏の甲子園2回戦の日川戦(山梨)で3-3の延長10回1死一、三塁でサヨナラ打を放つなど、勝負強い外野手として活躍した。1学年上に藤浪晋太郎投手(DeNA)、同級生にオリックスの森友哉選手がいる。大学卒業後、大手ハウスメーカーに勤務していた約5年前に10万人に1人と言われる希少がんを発症し、抗がん剤治療などで完全治癒を目指している。

始球式は、福森さんの病気を知った今中社長が、同社の協賛試合となった昨年6月15日の巨人戦での始球式での登板を提案。高校時代にがんで父親を亡くした今中社長には、健康の大切さとがんへの理解を広めてほしいという思いもあった。森がキャッチボールの相手を務めて迎えた当日、福森さんは森のミットにめがけて力投。この試合で森は勝ち越し打を放って勝利に貢献し、ヒーローインタビューで「僕たちもシーズン最後まで負けない気持ちで頑張ります。大翔も負けないように頑張ってください」と声を詰まらせてエールを送った。
二度目の今回は、同社が7月から運用する「不動産クラウドファンディング」を記念した「センス・オーナーズデー」のイベントの一環として行われ、上半身のコンディション不良で戦列を離れている森が受けることはなかったものの、グランドの隅で投球を見守った。
「当日、来るとは聞いていなかったので驚きました。お互いに頑張れればいいですね」と福森さん。3月に四度目の手術を受け抗がん剤治療は現在、休止中。保険外の治療を支援するクラウドファンディングは終了したが、友人らが立ち上げた「福森さんを救う会」での支援は継続中だ。
6月末には、妻聖欄さんとの間に第一子の男児が誕生する。「彼が元気になるのが一番。今日、投げて終わりではなく、福森君に『もういいです』と言ってもらえるまで、10年でも、20年でも投げてもらおうと思っています」と今中社長。継続した支援を約束した。
※「福森さんを救う会」 (https://smde-studio.com/fukumorisan-sukukai/)
取材・文=北野正樹