先を見据えたマメジメントで投手を起用するオリックスの厚澤和幸コーチ(写真=北野正樹)

 宮城大弥、山下舜平大両投手を欠くオリックス投手陣が奮闘している。

 「抜擢した投手たちが期待以上に応えてくれているので、戦力が劣っているとは全く思っていないんです」。交流戦の最終戦で、投手陣の台所を預かる厚澤和幸コーチが、練習を終え引き揚げてくる選手たちを頼もしそうに見つめた。

 苦しい投手事情だ。シーズン開幕前にワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に宮城と曽谷龍平投手が選出された関係で、開幕投手の最有力候補とみられていた山下が右ひじを痛め、3月11日のロッテとのオープン戦(ZOZOマリン)以降、離脱。開幕投手を務めた宮城も自身3戦目となった4月9日のロッテ戦(京セラドーム)で左ひじを痛めて緊急降板してしまった。2人は5月中旬に米国でトミー・ジョン(TJ)手術を受け、チームは開幕13戦目以降、左右の主力投手を欠く投手陣で臨むことを余儀なくされた。

 「めちゃくちゃ、痛いです。めちゃくちゃ、痛いです。めちゃくちゃ、痛いですけど、こうなってしまった以上、思考を変えるしかありません。逆にこれをどうやってプラスに変えるかという発想で行動するしかありません」と厚澤コーチ。

ピンチをチャンスに変える。厚澤コーチは、大宮工業高、国士館大から1994年ドラフト2位で日本ハムに入団。現役引退後もスカウトに転じた短期間を除き、日本ハム、オリックス、侍JAPANの投手コーチとして現場で指導に携わってきた。豊富な経験から導き出した答えの一つだった。

「枚数(投手の人数)とか、いるに越したことはないのですが、結局、マウンドに上がれるのはどのチームも一人。50人の戦力、100人の戦力がいようと、一人なんです。その一人をベストな状態で上げてあげる。先発ルーキーの人もいるし、リリーフルーキーの人もいます。毎日、僕らも一緒に成長させてあげたいんです。やられることもあるのですが、戦力的に劣っていると僕は全く思っていないので、そこは信頼してマウンドに送り出しています」

 そのために必要になるのが、マネジメント。「今いる戦力をコーディネートした時、1週間先、1か月先、3か月先を見た時、誰が(状態を)落としてくるだろうか、どのピッチャーがいなくなってしまう可能性があるのか。逆にどのピッチャーが帰ってくるのとか、いろんなことを加味して考えています」と厚澤コーチ。

 典型的なコーディネート例が、寺西成騎投手の中継ぎ転向だろう。先発予定だった4月23日のロッテ戦(ZOZOマリン)が雨で中止になると、翌日の日本ハム戦(京セラドーム)で中継ぎ要員としてブルペンで待機させた。4月19日にペルドモ投手を先発転向含みで登録抹消し、山崎颯一郎投手、椋木蓮投手、アンドレス・マチャド投手が勝ちパターンの継投になっていた。「ロングではありません。勝ち試合の後ろで使います。颯一郎、椋木、マチャドを壊さないためにも、その役割ができるのは寺西だと思っています」。昨年3月にTJ手術を受けた吉田輝星投手が1軍復帰(4月25日)するタイミングを見据えた配置転換だった。1年間を通して“勝ちパターン”を確立するためには、150km超のストレートに鋭いフォークを武器にする寺西が、中継ぎには必要だったのだ。

「(先発でスタートした)本人には申し訳なかったのですが、今のチームにとって必要で、寺西も先発にこだわっていないと言ってくれました。寺西には後々、椋木、アンドレス・マチャドのところに行ける可能性が十分あると思っています。ただ、リリーフ1年生なんです。リリーフで50試合を投げる中で、疲れた時にどう投げるかは経験しないとわからない。結構、きついと思いますが休める時には休ませています。まだ、通過点なので頑張ってほしいですね」と期待を込める。

「与えられた選手がベストメンバー」というのが厚澤コーチの信条。「先発と、ブルペンの9人がその日のベストメンバーです。ベストのメンツは変わりますが、自信を持ってマウンドに上げています。何日も前から計画を練って、投げている姿勢も含めて起用しています。もちろん1軍ですから結果が全て伴いますが、チームとして、組織としてやらなければいけないことがたくさんある中で、選択をしています」と投手起用の舞台裏を明かす。

 今季、先発に転向した山岡泰輔投手が登板した5月24日の西武戦(ベルーナドーム)も、ファームで投げている姿勢などを考慮した上での起用だった。「150kmは出ませんが、彼は一生懸命に準備をしてきていました。今の姿を1軍でどのように見せてくれるかというタイミングが、僕はここだと思ったので先発をさせました。『なんでこのタイミングで』という人がいるかもしれませんが、そんな安易な考えで僕はマウンドに上げていません。やみくもに上げているのではないのです。あれをしないと、前に進めないんです」。山岡は1回に2失点、20球、2死を取ったところで降板したが、決断したのも厚澤コーチだった。「あの日、長いイニングは考えていませんでした。彼には『リリーフデーの1番手としていってくれ』と送り出しました。それで20球で下ろしたんです。あえて公言する必要はないのですが、あの日はリリーフデーだったんです」。山岡は何度も1軍昇格の機会はあったが、チーム事情で見送られてきたという事情もあった。それでもひたむきにファームで投げる姿に、チャンスが与えられたというわけだ。試合開始早々から山崎がブルペンで用意し、総力戦で山岡を盛り立てようという準備もなされていた。

 交流戦の最終戦は、「中4日」の九里亜蓮投手を入山海斗投手、寺西、椋木、マチャドとつなぎ、厚澤コーチが「何度も助けられてきた」と信頼を寄せる吉田輝星投手が締め、649日ぶりの白星を挙げ、交流戦の勝ち越しも決めた。登板機会はなかったが、権田琉成投手もボールを低めに集めて打たせて取る投球でブルペン陣を支える。「まだまだ、これからです」。足元と先を見据えた厚澤コーチの慧眼で、オリックスの投手陣はこれからも躍動する。

取材・文=北野正樹

【PR】オリックス・バファローズを観戦するなら「DAZN Baseball」

DAZN BASEBALL

岸田監督就任1年目の昨季は3位。投手陣では宮城、九里、山下、野手陣では西川、森、太田椋など、ソフトバンク、日本ハムに負けないだけのタレントが揃う。主力の故障離脱がなければ、リーグ優勝争いするだけの力を持っている。

「DAZN Baseball」は、月額2,300円(税込)でDAZNのプロ野球コンテンツをすべて楽しめるプラン(月々払いの年間プランのみ)。

プロ野球だけを楽しみたい方は、月額4,200円(税込)のDAZN Standard​よりも1,900円お得に視聴できる。

POINT

ペナントシリーズ、交流戦、CSまで余さず堪能できる!

② オフシーズンもドキュメンタリーやバズリプレイなどコンテンツが充実!

毎月2,300円でライブ配信・見逃し配信・ハイライトまで視聴可能!

【PR】パ・リーグの全てを「パ・リーグTV」で遊び尽くす!

パ・リーグTV パ・リーグ見放題パック

パ・リーグ主催の全試合をライブ配信する「パ・リーグTV」。通常価格は月額1,595円(税込)ですが、各球団のファンクラブ会員なら月額1,045円(税込)とさらにお得なプランで利用可能だ。3試合同時視聴やマルチアングル機能、13年分のアーカイブなど、公式サービスならではの視聴体験が充実している

POINT

① パ・リーグ主催の全試合をライブ配信!交流戦も視聴可能!

3試合同時視聴マルチアングルなど、独自の高機能が充実!

③ 2012年以降のアーカイブも見放題。過去の名シーンを回想できる!

この記事を書いたのは

北野正樹

北野正樹 の記事をもっと見る

もっと読む