「家のテレビで、普通に観ていました。僕はけが中で、自分のチームの試合を観るのは避けていたんですけど。観ても投げたくなるんで。でも、正月から一緒に(トレーニングを)やってきたので、どのくらい投げるのかだけは気になって観ました。2失点くらいはしましたが、フォアボールはなかったのでしっかりと打者と勝負できたと思います。あとは、長いイニングを投げれば、勝つことはできると思います」。オリックスの宮城大弥投手が痛めた左ひじの手術のために渡米する直前の5月15日、支配下になって1軍でデビューした同郷の後輩、宮國凌空投手にエールを送った。
2019年ドラフト1位で7年目の宮城と23年育成ドラフト3位で3年目の宮國は、年齢は離れてはいるものの同じ沖縄県出身。また、同じ少年野球の「宜野湾ポニーズ」出身ということもあり、普段から仲が良い。年下の選手で、宮城にタメ口で話しかけることができるのは宮國だけで、宮城自身も「年下にいじられるのは好き」と、場の雰囲気を和らげてくれる軽口を楽しんでいる。
二人は、私生活でもiPadを使ったシューティングゲームで対戦したりすることも多いが、ともに野球に関しては一線を引いている。宮城は、先発調整で訪れた舞洲で宮國にキャッチボールの相手を務めてもらうが、宮國が1年目のオフに頼んできた沖縄での自主トレを、「自分が動ける状態に持っていくための期間。自分でやりたいことをやって終わるのが自主トレだから」と断った。宮國には伝えていなかったが、「僕はまだ、人に教えるレベルではない」というのが本当の理由。中途半端な状態で迎えても宮國の成長につながらないという思いからの“拒絶”だった。
宮國が2年目にローテーションを守って支配下に向けた準備を整えたことも踏まえ、今年の元日からの自主トレに招待。宮國は5月5日に支配下をつかみ、5月8日の日本ハム戦(京セラドーム)で、初登板を初先発で迎えることができた。
「野球選手」として同じ土俵に上った二人だが、互いに野球の話をすることはほとんどない。宮城からアドバイスはしないし、宮國から求めることもない。「聞かれれば答えますが。僕は大体、そういうスタイルなので。人それぞれ、感じ方や考え方があると思うので、必ずしもそれが当てはまるわけではありませんし。彼なりに考えてやっていると思うので、それを邪魔したくないんです」と宮城が言えば、宮國も「僕のレベルが上がれば聞いてみたい」。互いに尊重するいい距離感を保っている。
宮國によれば、渡米して手術を受けた宮城からは、麻酔も十分に覚め切っていない状態で「今、終わったよ」と電話が入ったという。リハビリのためまだしばらく帰国はしないようだが、「早く会いたいですね。他愛もない話で盛り上がりたい。スーパースターなんで、また(エースとして)戻ってくると思います。もっと強くなって」とエールを送った宮國。リハビリ期間中に宮城のキャッチボールの相手をする日を心待ちしている。
取材・文=北野正樹