「後半特に良かったので、前半はもったいなかったというのもありますし、2年続けてスロースターターというか最初思うような結果が残せていない。そこも課題かなと思います」
ロッテの上田希由翔は今季66試合に出場して、打率.243、8本塁打、16打点の成績だったが、OPSは昨年の.610から.724に向上し、6月10日に再昇格して以降は打率.267、6本塁打、14打点と来季に期待の持てる内容でシーズンを終えた。
上田は昨年秋の取材で「西岡さんに指導していただいて、ポイントが前すぎて、それによってポイントが前だと見る時間も少なくなってしまいます。見極められるボールはあるけど、振ってしまったりというのがあるって言っていただいたので、都城ではポイントを近くしながら、その中でもパワーを出せるところを教えていただきながら、バッティングはやっていました」と話していたが、一冬を超えて、都城春季キャンプでは「パワーもついてきたなというところがありますし、打球にうまくつながっていないなという時もあるので、そこは色々(西岡)剛さん、栗原(健太)さんにも教えていただいているので、それをしっかり繋げていけたらいいなと思います」と好感触。
今季に向けて、“OPS”の向上を目標の一つに掲げ、「昨年も苦手なボールを振って、四球を取れるなというのがたくさんありました。単打を狙いにいって、もっと長打を打っていけば良かったなという時もあった。そういうところかなと思っています」とOPSを上げるために必要なことについて語った。
「まずはバッティングでしっかり長打を出していけるようにやっていきたいと思います」と練習試合、オープン戦に向けて意気込み、3月1日の韓国ロッテとの練習試合でライトスタンドに一発を放つなど、3月1日までの対外試合の成績は打率.421、1本塁打、5打点とアピールした。
レギュラーシーズン開幕に向けて競争が激化するオープン戦では打率.080とアピールできず。開幕一軍を掴んだが、試合に出場することなく、3月29日に一軍登録抹消となった。降格後に出場したファーム・リーグ4試合で「なかなかタイミングが取れていなかったので、色々タイミング方法を見つけながら、自分に合っていたものを探していた感じですかね」と、ノーステップで打ったり、足を上げて打ったりと、自分に合うタイミングを探しながらも、打率.636、2打点、3四球。
走っても4月5日のオイシックス戦で、「チームとしても去年の秋のキャンプからやっていたので、それを実戦で少しでも多くできていると思うので、一軍の試合でも出せていけたらなと思いますね」と1試合2盗塁をマークするなど、積極的に次の塁を狙った。
守っても本職のサードではなく、セカンドを守り、4月4日のオイシックス戦、5-2の8回二死走者なしで比嘉天佑が放ったセカンドへのゴロを逆シングルでキャッチし一塁へジャンピングスローでアウトにした。「そこまで考えずに1球1球、1つアウトを取れるようにということでやっています」
開幕直後ファームでセカンドを守っていた時には、「キャッチャーのサインが見えるというのもセカンドの良さだと思うので、そこは見ながら、自分なりに動いたりしています」と、ポジショニングがよく、抜けそうな当たりもアウトにした。
攻走守に成長した姿を見せ、4月10日一軍再昇格を果たす。今季初出場となった同日の西武戦、『3番・セカンド』でスタメン出場すると、第2打席に二塁打を放ち今季初安打をマーク。12日の西武戦では今季初のマルチ安打を達成した。出だしは良かったが、この安打を最後に安打がなく、4月23日に2度目の一軍登録抹消となった。
再び二軍で8試合に出場して、打率.313とバットでアピールして、5月8日に2度目の一軍昇格。同日のソフトバンク戦で早速2安打し、翌9日には「シンプルに考え、タイミングを合わせて打つことができました。いい結果になって良かったです」と今季初本塁打を含む2試合連続複数安打。
5月12日の日本ハム戦では、「あまり考えずにまっすぐのタイミングで行ってスライダーをああやって打てたってことは自分の状態も良いと思うのでこのまま継続してやっていけたらと思います。(ZOZOマリンでは)そういえば初ですね。やっとマリンで打てて良かったです」と、1-2の7回無死走者なしの第3打席、伊藤大海が1ストライクから投じた2球目のスライダーをライトスタンドに一時同点となる第2号ソロを放った。
5月13日の日本ハム戦から5試合連続安打がなく、5月28日に3度目の一軍登録を抹消となった。降格後、ファームでは圧倒的だった。5月29日の広島二軍戦、5-0の6回無死一塁で岡村了樹の初球、工藤泰己の投球モーションを完全に盗み二塁盗塁を決めれば、11-2の8回二死一、三塁の第5打席、松本竜也が投じた初球の115キロカーブをライトに3ラン。
6月6日のヤクルト二軍戦、2-0の初回二死二塁の第1打席、青柳晃洋が2ボール1ストライクから投じた4球目の高めの138キロストレートをライトポール際に打った瞬間にそれとわかる特大の2ラン。5試合に出場して、打率.364、2本塁打、7打点と打ちまくり、6月10日に一軍に帰ってきた。
スタメン出場した10日の中日戦、12日のDeNA戦ではノーヒットだったが、13日のDeNA戦、0-15の4回二死一、二塁の第2打席、篠木健太郎が1ストライクから投じたストレートを右中間に弾き返す適時打。「良かったとは思いますし、これが継続できるようにしっかりやっていきたいと思います」と、チャンスで“1本”が出た。
同日のDeNA戦、1-2の5回無死走者なしの第2打席、「ずっとまっすぐに振り負けていて、サブローさんにもまっすぐ行けよと言われたのを思いながら打席に立って、いい結果が出たので良かったです」と、尾形崇斗が1ボール2ストライクから投じた4球目の152キロストレートをライトポール際に同点の第3号ソロ。
同日から出場した試合は3試合連続で安打を放ち、7月に入ってからは11日のオリックス戦守備から途中出場し本塁打。これがシーズン自己最多の4本目の本塁打となった。昨季の184打席よりも少ない打席数で、キャリアハイ。「そんなに意識せずというか、ホームランも出ていていいなと思いますけど、まだそんな満足いくような本数ではないですし、意識できるバッターでもない。そこは長打を意識していく中で、ホームランが出始めているのはいい傾向かなと思います」
翌12日のオリックス戦に『7番・ファースト』でスタメン出場すると2打点、14日の西武戦で2安打と、7月は月間打率.273、2本塁打、6打点、OPS.788。
8月は4日の西武戦から13日のソフトバンク戦にかけて6試合連続安打。結果だけ見れば取り組んできたことを出せているようにも見えたが、「そんな満足いくようなことは、まだできていないかなというのがありますね」と首をひねった。
その理由について、「連戦で出させてもらった時に、結果が出る出ないの波がちょっとあるので、そこは安定させていきたいと思っています」と話したように8月1日と2日の日本ハム戦は無安打だった。「ちょっと長打が減ってきたなというのも、試合を出続ける中でヒットを欲しがってたり、打席を通して感じるところも自分の中であるので、そこはスタンス変えずにやっていかなきゃなと思います」と冷静だった。
昨年10月26日の取材で、「自分はサードでポジションを獲りたいと思っているので、サードを獲れるようにというので思ってやっています」と、昨年10月にZOZOマリンスタジアムで行われた秋季練習からサードのレギュラーポジションを目指すことを掲げていたが、今季は捕手登録の寺地隆成が開幕からサードのレギュラーで出場していたこともあり、セカンド、ファーストでのスタメン出場が多かった。
7月、8月は「ずっとサードでスタメン、レギュラーを意識してやってきたので、このチャンスを活かしたいと思います」と、本職のサードでの出場が増加。その一方で、「今(8月9日取材)はサードが多いですけど、どこを守っても大丈夫なような準備は今後もしていきたいと思います」とZOZOマリンスタジアムで行われる試合前練習では、サードだけでなく、セカンドの守備練習を行っていた。
8月も月間打率.262、2本塁打、3打点、OPS.763を残したが、9月に入ると出場機会が減少。それでも、シーズン最終盤スタメン出場のチャンスをもらった9月29日の楽天戦で2安打、10月1日の日本ハム戦で2安打、4日の楽天戦と5日の西武戦で2安打と、結果を残したことに価値がある。
上田本人も「本当に後半、試合数も見えてきて集中してやっていかないといけないなと思っていた。そこは本当に結果のことを考えずに自分のやるべきことをやって試合に臨んでいたので、それがいい方向になったのかなと思います」と力を込めた。
9月29日の楽天戦、2-1の2回無死一塁の第1打席、伊藤樹が1ボール1ストライクから投じた3球目の外角のストレートを左中間を破る二塁打が良かった。「あの時はまっすぐに振り負けないようにというのと、自分のスイング、タイミングを合わせて自分のスイングをしようと思って打席に入っていました」
10月3日のソフトバンク戦では、0-1の8回無死走者なしの第3打席、松本晴が2ストライクから投じた4球目の133キロチェンジアップをライトへ第8号ソロを放つなど、課題だった左投手からも本塁打を放った。
「左ピッチャーの時にスタートで出られていなかったので、そこはなんとか次に繋げるためにも集中して試合に入っていました」と振り返った。
シーズン最終盤バットでアピールしたが、得点圏打率は1年目が.357、2年目が.333とチャンスに強かったものの、今季は.184。相手の攻め方が変わってきたというのもあったのだろうかーー。
「結果見てみたら意外とわかりやすい配球だったりというの多かったので、チャンスの時に打たなきゃなと思いすぎてというのは気持ち的なところは大きかったなと思いますし、自分的にはバッティング後半良くなったと思うんですけど、印象に残るような場面でなかなか打てなかった。ただ打つだけじゃなくて、印象的な場面だったり、自分が使ってもらえるような場面でもどんどん振っていければなと思います」
昨季の秋から“苦手な球種の対応”、“確実性を上げながら長打を求めていく”ことを課題に取り組んできたが、この秋もこれまで取り組んできたことを継続して取り組み、さらにブラッシュアップしていく形になるのだろうかーー。
「似たような課題は昨年に引き続き出ているのでそこは潰していきたいと思いますし、本当にシーズンまだ1年間戦えていない。戦力となれるようなバッティングをレベルアップしてやっていけたらなと思います」
11月8日〜12月21日にかけてオーストラリアのウインターリーグに参加する。ウインターリーグでは、課題を潰していく形になるのだろうかーー。
「出塁率が低かったり、追い込まれてからの対応が弱かった。追い込まれてから自分はどういう対応をしたら良いのかなというのを見つけたいですし、ホームランもどういう場面で狙っていけるのか、貴重な機会だと思うのでそういったことを考えながらやれたらなと思います」
守備ではシーズン最終盤、サードやファーストではなく、セカンドでも出場した。「守備は実際どこ守るか言われていないので、来年に向けても色んなポジションを守れた方がいいと思いますし、実戦を積めるので、セカンドでもサードでもファーストでもしっかりできたらなと思います」
そのセカンドの守備については「まだ捕れるべきアウトをしっかり捕ることしか考えられていない。その次の段階、速さを求めたり、強さを求めたり、カバーリング、サインプレー、まだまだ本当にあるので、そういうところを次はレベルアップとして考えてやっていけたらなと思います」と話した。
6月10日の再昇格以降は「良かったなと思いますね。まっすぐに対しても引っ張れていましたし、後半特に四球を取れていたので、そこは良かったかなと思います」と手応えを掴みシーズンを終えた。来季は春先から結果を残し、レギュラーポジションを掴みたい。
取材・文=岩下雄太