ついに明日開幕する『2025 JERA クライマックスシリーズ セ』のファーストステージ。昨年は阪神相手に敵地甲子園で連勝し、一気に頂点まで駆け上がった三浦ベイスターズにとって、その再来を狙う第一歩となる。
前日の会見に臨んだ三浦大輔監督は「今年のクライマックスは2位からスタートすることになりましたけれども、タイガースさん、ジャイアンツさんにはシーズン中大きく負け越しております」と切り出したように、対阪神8勝14敗3分け、対巨人9勝15敗1分けと苦しい戦いを強いられたことへの逆襲の思いが、強く込められているように感じられた。
ファーストステージ突破へ向け「まずは初戦で勢いをつけて入っていけるように」と策を練る。その中でも「まず先に点を取る。先制点を取るというのが非常に大きくなってくると思います」とまずは優位な展開に持ち込むことを最優先事項に挙げた。実際今シーズンも先制したゲームは51勝16敗4分と圧倒的な数字を残しているだけに、理にかなっている。
そしてその大事な初戦を任せるのはアンソニー・ケイに決定。理由は「シーズン中しっかりとローテーションを守って成績も残してくれました。またジャイアンツとの相性もあり、ケイを選択しました」と説明した。エース東克樹のコンディションが不安なことはあるが、9勝6敗ながら打線の援護に恵まれないケースが散見され、上手く噛み合えば最多勝も狙えた左腕を抜擢することに不思議はない。また155イニングを投げ、球団記録の防御率1.74をマークした安定感はチームでもNo.1と言い切れる。対巨人に関しても5登板で2勝1敗、防御率2.12。なにより5回中4回QSを達成していることからも、短期決戦初戦で中継ぎを注ぎ込むリスクを軽減するためにも、ゲームメイクに長けたケイの起用は頷ける。
相手投手は苦手の山﨑伊織となったことで、なかなか得点はできないと予想される。今季もスタートから3試合で1点しか奪えず3連敗を喫しているが、8月1日に5回途中でKOすると、9月26日には3回で4点を奪うことに成功している。前半戦と後半戦では打線の勢いが違っただけに、攻略に期待がかかる。
「今年も先のこと考えずに、まずは明日の試合に全員が全てを出し切れるようにやっていきます」。退任を決めている指揮官は、最後まで一心を貫き、有終の美に向かって邁進する。
取材・文・写真:萩原孝弘