巨人・岡本和真 (C)Kyodo News

◆ 白球つれづれ2025・第41回

 阿部巨人が敗れ去った。

 横浜DeNAベイスターズとのクライマックスシリーズファーストステージに連敗した巨人の25年シーズンはあっけなく幕を閉じた。それは同時に「嵐のオフ」の到来を意味している。13日付のスポーツ各紙には早くも新たな人事情報が飛び交っている。

 震源は大きく分けて二つだ。

 まずは投手陣のテコ入れ策として、中日からFAとなる柳裕也投手と今季限りでMLBを離れて日本球界復帰を目指す前田健太投手(前ヤンキース3A)の獲得、調査に乗り出すと言うもの。

 こちらがチーム再強化への第一歩なら、もう一つの震源はチームの根幹を揺るがす岡本和真選手のポスティングによるメジャー挑戦問題だ。

 岡本がメジャー志望を初めて口にしたのは昨年オフの契約更改の席だった。

「野球をしていたらそういう目標はみんな持っているし、僕もその一人」と語ったが、球団に対しても、メジャー挑戦の思いをぶつけたと見られている。

 2023年のWBCで大谷翔平や村上宗隆選手らと共に世界一の頂点を掴んだ直後から、岡本のメジャー志向は強いものへと変わっていった。

 世界の一流選手と戦うやりがいと、アグレッシブなパワー野球への魅力が、憧れを挑戦の気持ちへと駆り立てた。

 激動のシーズンが終わったばかりとあって、報道陣に囲まれた岡本は「今、何か言えることはない」と語り、球団側の交渉当事者となる吉村禎章編成本部長も「まだ球団として発表出来ることは、今のところない」と細かな言及は避けている。これからまさに本格交渉の「ゴング」が成ろうとしているわけだ。

 これまで、岡本の願望はヤクルト・村上宗隆選手のポスティング移籍の陰に隠れた格好で大きく報じられて来なかった。

 村上の場合は、昨年オフに球団からメジャー挑戦への容認を得られたことでMLB各球団は、早くから視察に来日。直近の米報道ではすでに、ヤンキースやメッツ、ドジャースら11球団が獲得調査に乗り出し、一部では獲得に2億ドル(約290億円)を用意と伝えられている。

 この村上と岡本は公私にわたって親交のある仲。オフには岡本が自宅に招待して食事をすることもあると言う。そんな中でメジャーへの思いや情報が共有されてきたのは想像に難くない。

 25歳でメジャー挑戦の切符を手にした村上に対して、岡本は今年プロ11年目の29歳。過去にメジャーで活躍した松井秀喜氏が巨人を離れたのが29歳なら、今季カブスで32本塁打、103打点と大活躍した鈴木誠也選手も広島から海を渡ったのは28歳の時。野手としていい時期に勝負するなら岡本に時間的な余裕はない。

 今シーズン中に国内FAの資格は取得したが、海外へのFA権は来年以降となる岡本にとって、今オフに米挑戦を実現するためには、球団にポスティングを認めてもらうしかない。これに対して球団側では今、岡本に出ていかれたら年間40本塁打の大砲と不動の四番を欠くことになる。常識的には、せめてあと1年だけでもチームにとどまって欲しいのが本音だろう。

 しかし、他球団を見ても西武の今井達也投手や阪神・才木浩人投手らのメジャー移籍が取り沙汰され、こうした流れはもう止めようもない。岡本のこれまでの実績とチームへの貢献を考慮してポスティングの容認もあり得るという情報もある。

 すでに代理人のスコット・ボラス氏と契約。シーズン中にはヤンキースやレイズなどの複数球団が視察に訪れている。

 もし、仮にメジャー挑戦が認められれば、三塁と一塁を守れる強打者の条件は村上と重なる。村上の争奪戦に敗れた球団が岡本にターゲットを向ける可能性も大だ。

 打線だけを見ても、一、二番が固定できない。外国人選手に頼れるほどの安定感はない。泉口友汰や岸田行倫選手らの成長は認めても、岡本が抜けた穴はとても埋められそうにない。

 チームの屋台骨を揺るがす岡本の去就問題。巨人ファンには何とも憂うつな秋となりそうである。

文=荒川和夫(あらかわ・かずお)

この記事を書いたのは

荒川和夫

1975年スポーツニッポン新聞社入社。野球担当として巨人、西武、ロッテ、横浜大洋(現DeNA)等を歴任。その後運動部長、編集局長、広告局長等を経て現在はスポーツライターとして活動中

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