ロッテ・池田来翔[撮影=岩下雄太]

 「一番一軍にいたシーズンであり、今までの3年間と比べては成長できたのかなと思っています」。

 ロッテの池田来翔はプロ4年目の今季、シーズン自己最多の83試合に出場して、打率.238、本塁打(5)、打点(20)はいずれもキャリアハイだった。

 今季に向けて1月の自主トレで、「ポジションも空いたところがあればすぐに入り込めるように、まずは打撃で結果を出したい」と意気込み、春季キャンプでは都城組で猛練習し、2月18日からの沖縄遠征から一軍キャンプに合流。2月・3月の練習試合・オープン戦で10試合に出場して、打率.125(16-2)とアピールできず。3月1日の韓国ロッテとの練習試合を最後に一軍の対外試合の出場はなく、「ファームでは一軍で活躍することだけをイメージしてやっていきました」とファームで過ごした。

 ファームで25試合に出場して、打率.289、2本塁打、10打点、出塁率.373の成績を残し、4月25日に一軍昇格。4月29日のオリックス戦では、0-1の7回一死一塁の第3打席、「必死に打ちました。タイムリーになって良かったです」と宮城大弥が1ボールから投じた2球目のフォークをレフト線に今季初安打となる適時二塁打を放った。

 翌30日はベンチスタートとなったが、0-5の9回一死走者なしの場面に代打で登場し、「しっかりボールに対して、入っていけたので、あれは良かったと思います」と田嶋大樹が投じた外角のストレートをライト前に安打。本人も納得の一打となった。

 池田の持ち味は初球から積極的に打ちにいくことだが、2ストライクと追い込まれてからもしっかりと対応。5月22日のオリックス戦では、1-0の6回二死一、二塁の第3打席、「カウントが3-2だったのでコンパクトに強く振ることだけを考えてました。打つことができて良かった」と田嶋大樹が3ボール2ストライクから投じた7球目の145キロストレートを第1号3ランを放つと、6-0の7回二死一塁の第4打席、山﨑颯一郎が2ボール2ストライクから投じた6球目のスプリットをレフトスタンドに第2号2ラン。いずれも2ストライクと追い込まれてから本塁打を放ったのはよかった。池田本人も「僕自身もそう思いました」と振り返る。

 「いつもファームでできたことが一軍でできないのが続いていたんですけど、今年はファームでやっていたことが一軍でもできているというのは2ストライクと追い込まれてから、粘ったりヒットを打ったりというのは、今までの年ではなかったような感じなので、そこが良い感じかなと思います」。

◆ ライナー性の打球

 今季の池田の打撃は、ライナー性の打球が非常に多かった。「意識していますね。バッティングの練習からあまり振り上げないように、ボールを潰すイメージで練習から意識しています」。

 ライナー性の打球を打とうとなった経緯について「僕自身、上がった打球が飛ばないので、ライナーを打った方が打球が飛ぶ感じがありますし、試合でもそういう打球がヒットになっている。それだったら、そうやって意識していこうと思っています」と明かし、外野の正面を突いたライナー性の打球のアウトも「内容は良いと思います」とのこと。

 ライナー性を打つにあたって、理想の打球について訊くと、「あれがそのままホームランになったり、外野の頭に抜けたり、レフト線に行ったりというのが僕の中ではイメージがあります」と説明した。

 6月12日の広島戦では、「あの角度じゃないと飛ばないので、あれ以上上がってしまうとヒットになる確率が少ないので、強いゴロくらいでもいいなと思っています。確率としては、ヒットになっているのはライナーが全部多いので、その分はいいかなと思います」と、0-0の初回二死走者なしの第1打席、アドゥワ誠が2ボール2ストライクから打った本塁打がレフトスタンドに突き刺すライナー性の当たりだった。

 交流戦では3番の打順でスタメン出場するが多く、「毎日、打ち続けるという気持ちと毎日同じドリル、修正が1打席1打席できているかなと思います」と、6月1日の日本ハム戦から6月13日のヤクルト戦にかけて10試合連続安打をマークした。

 交流戦明けは、それまでファーストのレギュラーを務めていたネフタリ・ソトの打撃が復調し、スタメンでの出場機会が減少したが、「スタメンで出た時に結果を出さないと次はないと思っていますし、どんどん結果を出していかないと自分の立ち位置は変わってくると思うので、スタメンで出た時は何かしら結果を残そうと思ってやっていますね」とスタメン出場した7月5日のオリックス戦では1安打1打点。

 7月8日の日本ハム戦では、0-2の2回二死走者なしの第1打席、「ここ最近、引っ張れていなかったので、思いっきり引っ張ろうと思って、まっすぐ打ちに行きました」と北山亘基が1ボールから投じた2球目のカットボールを打った瞬間、レフトスタンドに飛び込むライナー性の本塁打。池田が理想とするライナー性の本塁打だったが、「理想にしています。その後の打席は全然だったので、たまたまかなと思いますね」と振り返った。

 8月11日のオリックス戦、2-3の9回無死走者なしの第4打席、マチャドが2ストライクから投じた3球目の157キロストレートをレフトフェンス直撃のライナー性の二塁打は、今季池田が理想とする“ライナー性”の打球のように見えた。

 池田本人は「良かったですよ。あの打席は2球目に振り遅れた空振りをして、そこを修正できた打席だったので、それは良かったです」と解説した。

 試合前の打撃練習では、打撃投手に近づいて打席よりも前の方に立って打ったりしているが、“ライナー性”を打つための準備のひとつなのだろうかーー。

 「あれは僕がピッチャーに対して打ちにいけないことが多いので、前に立つことによって余計なことを考えずに打ちに行くことができるので意識づけとしてやっています」。

 その他にも、片足立ちでケンケンしながら打ったりする日があるなど、「毎日違いますね」と、その日によって自身の打撃テーマを決めて打撃練習をし、試合のための準備を行なっている。

 入念な準備を行う中で、ミスもあった。『3番・セカンド』でスタメン出場した8月17日のソフトバンク戦、0-0の6回無死一塁の第3打席、モイネロに対し初球から送りバントを試みるも、スリーバント失敗で送れず、その裏の守備から途中交代。ZOZOマリンスタジアムでの試合前練習では、バントマシンを相手に熱心にバント練習する姿があり、日頃から準備をしてきた中で起きたミス。

 池田は「ああいういいピッチャー・モイネロで均衡した場面で決めないと勝てる試合も勝てないと思います。毎日練習していますけど、1度ゲームで成功しないと意味がない。成功できるようにやっていきます」と前を向いた。

 9月11日のソフトバンク戦では、8-1の5回無死走者なしの第3打席、上茶谷大河に対し2球で追い込まれるもボール球を見極め、ボールを選び、3ボール2ストライクから7球目の外角143キロのカットボールを見送り四球を選べば、9月21日の日本ハム戦、0-5の4回二死一、二塁の第2打席、福島蓮が3ボール0ストライクから投じた4球目の147キロストレートを打ちにいきファウルとし、3ボール2ストライクから7球目のカットボールをライトライン際に適時打。9月は17試合に出場して、月間打率.286と復調し、最終的にはシーズンの打率.238でフィニッシュした。

 「毎年調子の波が大きくて、下がってしまった時は本当に上がりきれない状態が続いてしまったので、今年に関しては例年に比べて波が小さくなった結果が、一軍にいられたのかなと思います」と今季を総括。

 今季は249打席立ったが、来季規定打席となる443打席立つために「OPSを上げること」と、OPSを挙げた。今季のOPSは.634。「二塁打を打つことを意識してやっているんですけど、打席に立つためには試合に出ないといけないですし、四球だったり死球だったり、出塁率を上げていかないと、試合に使ってもらえない」と口にした。

 「守備もそうですし、バッティングだけじゃ(443打席到達)できないと思うので、守備とか走塁とかも貢献できるようにやっていきたいです」。今季の経験を活かすためにも、来年1年が大事になってくる。

取材・文=岩下雄太

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