「一軍に何度か上げさせてもらって、試合に出させてもらって、1年間の流れがわかりましたし、一軍で活躍するために必要なことだったり、今自分に足りないことを認識できたので、来シーズンはそこを課題を持ってやりたいと思います」。
ロッテの宮崎竜成はプロ1年目の今季をこのように振り返った。
宮崎は春季キャンプを石垣島組でスタートを切ると、プロ入り後初めてプロの投手と対戦となった2月8日のライブBPでは安打性のあたりを2本放った。プロとアマチュア投手の違いについて、「そこまで大きな違いはなかったですけど、久しぶりの実戦があったので、球の強さも感じましたし、スピードもまだついていけていない感じがあったので、そういうところはもっと課題として取り組んでいきたいと思います」と振り返った。
2月13日のライブBPでは種市篤暉からセンター前に、小野郁からは左中間を破る安打性の当たりを放つなど、一軍で実績のある投手たちから打ってアピール。石垣島春季キャンプ最終日となった2月16日の楽天モンキーズとの練習試合では、4-3の7回先頭のドゥ・ユーフェンが放ったセンター前に抜けそうな当たりを逆シングルでキャッチし一塁へジャンピングスローしてアウト。
2月22日の中日とのオープン戦では、0-1の7回一死一塁で細川成也が放った強烈の三塁へのゴロをダイビングキャッチし二塁へ送球しアウト。セカンド・小川龍成が一塁へ送球してダブルプレーを完成させた。宮崎は石垣島春季キャンプ中、守備について「今までセカンドしか守ってこなかったので、セカンドの方が守りやすいというのはありますけど、出場機会を多くするためにサードも練習しているので、サードも同じくらい守れるように頑張りたいと思います」と、三塁の経験はないとのことだが、未経験とは思えないほど高い守備力を見せていた。
「まずは打つこと。打ち続ければ開幕一軍にいけると思うので、打力をアピールしたいなと思います」とオープン戦で8試合に出場して、打率.250も開幕はファームで迎える。
宮崎はファームで開幕してからなかなか安打が出ず苦しんだが、4月6日のDeNA二軍戦から6試合連続安打、そのうち3試合でマルチ安打と状態を上げると、5月5日のヤクルト二軍戦から3試合連続複数安打を放ち、5月11日にプロ初昇格を果たす。
同日の西武戦でサードの守備から途中出場し、9回のプロ初打席で空振り三振。3試合に出場したが、8打数0安打で5月15日に一軍登録を抹消。
登録抹消後、ファームでは「一軍を経験して真っ直ぐが前に飛ばなかったので、速い真っ直ぐを弾き返せるように、どうすればいいのかというのを打撃コーチと相談しながらやっていました」と“ストレート”の対応にこだわってきた。
プロのストレートに対応するため、「去年までに比べるとストレートの質が上がったり、球速も上がっているので、それに対応できるように試行錯誤しながら、自分に合っているバッティングを探している段階です」と初球からノーステップ気味で打ったり、足を上げたフォームで打ったり、7月5日のヤクルト二軍戦からはバットを寝かせたフォームでノーステップ気味に打ったりと、様々なフォームで打った。
7月8日に一軍再昇格を果たし、同日の日本ハム戦では北山亘基の速いストレートを体感した。ストレートの対応について「上がってすぐ、トップクラスの北山投手と対戦したんですけど、空振りがあまりなくて、打ち損じはありましたけど、だんだん対応できているのかなと思います」と手応えを掴む。
9日の日本ハム戦で、1-11の7回無死走者なしの第3打席、山﨑福也が投じた初球のカットボールをセンター前に運びプロ初安打をマークすると、7月19日のオリックス戦、7-0の7回二死三塁の第4打席、東松快征が投じた初球の150キロストレートをセンター前に弾き返しプロ初打点を記録。8月5日のソフトバンク戦ではプロ初盗塁をマークした。
ファームで“速いまっすぐを弾きかえせるように”技術向上を図ってきた中で、「最初上がった時に比べれば、だいぶ対応できているかなと思うんですけど、まだまだ甘いカウントの時にファウル、空振りしてしまっているので、そこは1球で弾き返せるようにしっかり準備していきたいと思います」と、取り組んできたことを徐々に一軍でも発揮できるようになってきた。
打つだけでなく、選球眼という部分では、「初球からスイングを仕掛けられていたので、勝負した結果、四球になったので自分から仕掛けて良かったかなと思います」と、7月27日の日本ハム戦、4-4の11回二死一、二塁の第1打席、山本拓実に対して2球で追い込まれるもそこからボールを見極め、3ボール2ストライクから6球目の144キロカットボールを見送り四球を選んだ打席は、続く藤原恭大の押し出し四球に繋げ勝利に貢献しており、非常に内容があった。
守っても、8月3日の西武戦、2-1の9回一死二塁でデービスが放ったセカンドベース付近の打球をダイビングキャッチし一塁へ送球しアウトにし、同点のピンチを防ぐ好守備を披露した。
「守備はだいぶ落ち着いてやれていると思いますし、状況でいろんな判断する場面があるんですけど、そこはいろんな経験をさせてもらっているかなと思います」。
8月は16日のソフトバンク戦、20日の楽天戦で複数安打も月間打率.196。9月に入ってからも2試合連続無安打で9月4日に一軍登録を抹消。ファームに降格してから、16日の楽天二軍戦で5打点を挙げるなど、出場13試合で12打点をマークし、9月23日に3度目の一軍昇格。
『8番・セカンド』でスタメン出場した9月29日の西武戦で安打を放ち、今季の戦いを終えた。
「一番は打力のところで、バッティングは自信があったんですけど、プロの一軍の投手はアマチュアの時と比べて全然違いました」。プロ1年目は39試合に出場して、打率.194、3だ点だった。
プロ1年目のシーズンを終えて、速いストレートに対するアプローチはできたのだろうかーー。
「ファームのピッチャーでも150キロ超えてくるピッチャーはいるんですけど、一軍と二軍で同じ150でも違いがあったので、ただ速い球を打つのではなく、質の良い速いまっすぐを一発で捉える技術がないといけないなと感じました」。
実際に打席に立って、質の良いまっすぐを感じた投手に日本ハム・柳川をあげた。「初めて対戦したんですけど、当たったイメージのスイングだったんですけど、映像では違うところを振っていたので、あれは一番僕が経験した中ですごいなと感じました」と対戦を振り返った。
それを踏まえた上で、「一番良いまっすぐを経験できたので、まっすぐを打ち返すイメージを持ちながら練習したいと思います」とオフは、速いストレートを打ち返せるよう打撃練習を励んでいくつもりだ。
2年目の来季は「とにかく試合に出たいと思っているので、100試合以上」を目標に掲げ、「セカンドでレギュラーを取りたいと思っているんですけど、試合出場したいですし、出場機会が増えるのであれば、サード、ショートもやりながら、でも一番はセカンドで自信があるのでセカンドで勝負したいです」と強い思いを口にした。
取材・文=岩下雄太
※お詫びと訂正
・宮崎選手のプロ初打点は7月19日のオリックス戦、7-0の7回二死走者なしではなく、正しくは二死三塁でした。お詫びして訂正いたします。