第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)はベネズエラが初優勝。1次ラウンド2位からの逆襲を完遂した。
そのベネズエラに準々決勝で敗れたのが侍ジャパンだった。3年前に続く連覇を狙い、4連勝で1次ラウンドを1位通過したものの、打撃戦となった準々決勝でその夢は儚く散った。
試合後、井端弘和監督は「結果が全て」という言葉とともに、今大会限りで退任する意向を表明。話題はすでに侍ジャパンの次期監督を巡る人事に移行している。
候補として名前が挙がっているのは、日米通算507本塁打を放った松井秀喜氏や、レジェンド・イチロー氏などの名前も挙がるが、NPBで指揮を執った経験のある人物が現実的だろう。
というのも、WBCで侍ジャパンを優勝に導いた3人には“監督として日本一を経験している”という共通点があったからだ。井端監督を含めて、優勝を逃した3人にはその経験がなかった。ある意味で、今回のV逸は必然だったともいえるだろう。
そこで侍ジャパンの“指揮を執る資格”を持つ人物を挙げると、有力候補に秋山幸二氏と工藤公康氏の2人の名前が浮上する。
ともに常勝チームのソフトバンクを率いて日本一を経験。秋山氏は6シーズンで2度、工藤氏に至っては7シーズンで5度もチームを頂点に導いている。
ただ、秋山氏の就任は非現実的かもしれない。2013年に開催された第3回WBCで、現役監督として、侍ジャパンの監督を打診されたものの、最後まで固辞した過去がある。何より現場を離れてからすでに10年以上の年月が過ぎている。
そうなるとやはり、選手時代から“優勝請負人”と呼ばれてきた工藤氏が最適任となるだろう。ソフトバンクの指揮官として短期決戦で見せた勝負勘の鋭さは侍ジャパンの監督に打ってつけ。これまで元投手が侍ジャパンを率いたことはないが、現時点では工藤氏が最右翼だろう。
しかし、13年前の秋山氏をはじめ、これまで多くの名指揮官が監督就任の打診を断ってきたのも事実。侍ジャパンの監督はまさに“勝てば官軍負ければ賊軍”を地で行くような職業である。仮にオファーがあっても、工藤氏が拒絶して何ら不思議はないだろう。
そこで、敢えて推した人物がいる。それがDeNAで指揮を執ったこともあるアレックス・ラミレス氏だ。
ラミレス氏は2001年に来日。ヤクルト、巨人、DeNAと渡り歩き、2013年には外国人枠入団選手として初の通算2000安打を達成した名プレーヤーだ。
2016年からは監督としてDeNAを率い、リーグ優勝こそなかったが、それまで10年連続でBクラスに沈んでいたチームを5年間で3度もAクラスに導いた。
そして、2017年には3位から下克上を果たし、日本シリーズに進出。この年以外でも短期決戦で巧みな采配を振るっていた。
また、ラミレス氏を推す別の理由が、次の大会でも対戦が予想される北中南米各国の野球にも精通していること。侍ジャパンが過去3度優勝を逃した際の相手はアメリカ、プエルトリコ、そして今回のベネズエラだった。ベネズエラ出身で、メジャーでのプレー経験もあるラミレス氏をかじ取り役にライバル国の懐に入り込むのも悪手とはならないはずだ。
何より、しがらみの少ないラミレス氏なら選手の選考から起用まで“忖度しない”辣腕を振るってくれるはずだ。外国人でありながら侍魂も兼ね備えているラミレス氏を候補の一人に加えるのも一手ではないだろうか。
文=八木遊(やぎ・ゆう)