オープン戦の不振を“打の断捨離”と客観視で課題に向き合う、オリックスの紅林弘太郎(写真=北野正樹)

【Buffaloes Inside】

「いろんなことをやりすぎて、頭がパンクして終わりみたいなところがありました。何がいいのかわからなくなっているので、切り捨てられたらいい方向に行くんじゃないかなと。シンプルに考えるのが大事だと思っています」。オープン戦の全日程を終了した3月22日、2本のバットを突き刺したバッグを背負って一番最後に地下駐車場に現れた紅林が、静かに口を開いた。

紅林は、駿河総合高から強肩強打の遊撃手として2019年ドラフト2位でオリックスに入団。守備範囲が広く送球も安定し、2年目に開幕スタメンをつかむと10本塁打を放って定位置をつかんだ。2023年にベストナイン、2025年にはゴールデングラブ賞に輝いたが、7年目のシーズンを前にしたオープン戦では、11試合に出場し28打数2安打、2打点、打率.071と大きく出遅れた。

 オープン戦最終戦では、「8番・遊撃」で先発出場したが、1打席目の無死一塁では投ゴロ併殺打、2打席目も三ゴロに倒れ、1点リードの7回2死三塁の場面では代打に野口智哉内野手を告げられた。

「(発奮材料?)そう感じないといけないと思います。僕が監督でもあそこは代打を出すところです。僕の打席内容を考えたらしょうがないと思います」。遊撃を争う野口が中前打を放ってベンチの起用に応えただけに、紅林は悔しさを押し殺して現実を受け入れるしかなかった。

 ただ、収穫もあった。打撃不振の中で、自分を客観視することができるようになったという。「今までは、(打てないと)クソってなって冷静に考えられなくなっていたんです。それが頑張る要素になっていたかもしれないんですが、長い目で見ればそれを何度も繰り返すことになってしまう。主観的に見てしまうと『これだけ打てないのは、なんでなんだ』となるんですが、そうなると感情が先走ってしまいます。今は、そこじゃないと考えられるようになりました」

 2年目から5年連続して規定打席に達したが、本塁打は2年目の10本が最多で、187センチ、94キロの恵まれた体を生かし切れていなかった。「何年も同じような成績。ちょっとずつは成長できているとは思うんですが、一つ抜けきれないのは(冷静になれない)感情とか考え方が僕を邪魔しているのかなと。もっと冷静になっていれば、次の打席の内容も変わっていたと思います。後から、もったいなかったということを減らしたい。何が正解かわからないのですが、もっと自分を変えたいと思っているので、そこをちゃんとやっていきたい」と自分と向き合う。

「(調子は)上がってきていると思います。変化球を引っかけたり、ちょっと抜かれて飛球になったりしていますが、だんだん形になってきています。大丈夫です」と、主に1軍を担当する嶋村一輝打撃コーチは復調の兆しを感じ取っている。「今は打てていないんで、そこは感情的にならず課題をもっと冷静に見つけたい。ちゃんと考えていけば、向き合い方が今までとは違うので、それはシーズンにも生きると思います」。不振から抜け出したとき、これまでとは違った姿の紅林がいるはずだ。

取材・文=北野正樹

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