降板後、ベンチの最前列で声援を送るオリックスの宮城大弥(写真=北野正樹)

【Buffaloes Inside】

 2026年の「パーソル パシフィック・リーグ公式戦」が、3月27日に開幕した。オリックスの開幕投手を務めたのは、3年連続で宮城大弥投手。今季は宮城のほか、腰痛から回復した山下舜平大投手、実績のある九里亜蓮投手が有力候補に挙げられていたが、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)から帰国間もない宮城に託されたのは、想定外の理由と「うちのエースは宮城」(岸田護監督)という、絶対的な信頼感だった。

「開幕投手は宮城でいきます。なかなか、WBC帰りというところで難しい部分もあると思うんですが、行く気満々というか大丈夫というリアクションでした」。岸田護監督が開幕投手を明かしたのは、阪神とのオープン戦(京セラドーム)を終えた3月20日午後9時過ぎだった。

 キャンプ、オープン戦を通じ、オリックスの開幕投手はWBCに参戦中の宮城と山下、九里の3人に絞られた。本来なら宮城だが、WBCでの侍ジャパンの進出具合によってはシーズン開幕登板が難しくなる。ここで一度は、山下が最有力候補になったが、3月11日のロッテ戦(ZOZOマリン)での登板後、右肘の状態が万全ではなくなってきた。「WBCがまずあって、ペータ(山下)の復帰シーズンというのもありますし、九里ももちろん柱としてやっていますし、そういう(面での)難しさはありました」と吐露した岸田監督にとって、WBCで侍JAPANが準々決勝で敗退したことは、結果的に幸いだった。

 宮城は16日に帰国。18日に大阪・舞洲の球団施設で、宇田川優希投手の実戦登板を視察に来た岸田監督から開幕投手を告げられた。

「うちのエースとしてチームを勝たすという思いは伝わってきます。実力はもちろんなのですが、本当に自分のことを黙々とやってくれているのは入った時から感じています。どうバッターをアウトに取るかというところも、真剣に準備をしてくれています。そういう背中を見ていますので、年齢も経験値も増えてチームを勝たせるというところ(存在)になってきていますから、まさにエースの仕事をしていると思います」と、2軍投手コーチ時代から宮城を知る岸田監督。

 帰国後の調整は、3月21日の阪神戦(同)で3番手として2イニングに登板しただけだが、宮城は「順調です。元気です。その時にできることを一生懸命にするだけ。いけるところまでいきます」とたくましく胸を張った。

 両チーム監督がそろった開幕前日会見では、楽天の三木肇監督から「(宮城は)何回、投げる?」と軽口が飛ぶ場面もあった。「投球、技術面では心配していません。WBCという大舞台でスター選手とプレーした自信というところで、また違ったところを見せてくれると思います」と岸田監督は全幅の信頼で託した。

 試合は、宮城が1回に四球と2本の二塁打で2失点。2回は2死一、二塁でバックの拙守からピンチが広がり、そこから4連続長短打で6点を与え、自己ワーストの1回2/3、8失点で降板することに。

 試合後の宮城は「悪くなかった部分のボールもありますし、悪かった部分のボールもありました。向こうの選手全員、ゾーンの振りが良かったかと思いますし、それにちょっと負けてしまってボールが続いた場面とか、(配球を)変えたところをしっかりととらえられた部分はあるのかなと思います」と反省の弁を口にした。

 WBC後の調整の難しさが投球に影響したかについては「そこらへんは、完全に技術不足、自分の力不足だと思います」ときっぱり否定。「悪いところは全部出たと思いますし、連打されることは(年間登板の)20何試合かの中でも少ないと思うので、そこらへんは切り替えたい。体自体は全然、大丈夫ですし、しっかりと次に向けて準備をしたい」と前を見据えた。

 結果的に大量失点で開幕白星は逃し、開幕投手を九里亜蓮投手に託した方がよかったというファンの声もある。しかし、先発ローテーションから開幕戦での「第2先発」に回した寺西成騎投手が3回からの6イニングを2失点に抑えたことから、守りのミスがなければ首脳陣の描いた勝ちパターンは間違っていなかったことがわかる。

 厚澤和幸投手コーチは「(宮城の)ボールはよかったんじゃないですか。でも、これが野球でもあるんです。まだ始まったばかり。(結果を)反省するのはコーチ。宮城には次の登板に向けて準備をしてもらいます」と、指導者として結果を受け止めるとともに宮城への期待を込めた。岸田監督も「あそこまでコンタクトされるとは思わなかったですけど」と連打された場面を振り返りつつ「ここから切り替えて、次を目指してやってもらうしかないと思います」。

 WBCの日程という不確定要素に山下のコンディション不良が重なった今年の開幕投手選び。チームのピンチをエースに託した首脳陣と、それに応えようとした宮城。結果は伴わなかったが、143試合の長いシーズンを戦い抜くためそれぞれの思いがこもった試合だった。

取材・文=北野正樹

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この記事を書いたのは

北野正樹

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