【Buffaloes Inside】
オープン戦から打撃不振に陥っていたオリックスの紅林弘太郎内野手が、開幕3戦目の楽天戦(京セラドーム)で、今季1号を含む3安打を放ちチームの開幕カード勝ち越しに貢献した。スタメン落ちも覚悟した紅林を覚醒させたのは、岸田護監督の愛ある叱咤激励だった。
「今日、僕は(試合に)出ないと思っていたんですが、出してもらったので本当にその期待に応えようという気持ちだけでした」。試合後の紅林が安堵の表情を浮かべた。オープン戦は打率.071で終わり、開幕1、2戦目で5打数無安打。2戦目の6回1死二塁には代打を送られ、7回の守備から遊撃に入った野口智哉内野手が適時二塁打を放っただけに、紅林もスタメンで野口が起用されるのではと予想していた。
そんな紅林に岸田監督が声をかけたのは、キャッチボールの最中だった。「ホームラン、打ってもいいんやで」。珍しくない監督の言葉だったが、紅林は「あっ、今日スタメンか」と感じたという。「打てなくても出してもらえるってありがたいことですし、期待していただいたんで打ち方がどうこうっていうより、その気持ちが出たのだと思います」。軽口に込められた監督の期待を感じたからこそ、シンプルに打席に立てたのだろう。
オープン戦中盤では、守りのミスも重なり途中交代させられた。翌日の試合前、岸田監督から呼び止められベンチで話し込む姿があった。「全然、打ててなかったんですが『お前に求めているのは、結果だけではない。(打てなかった時の)立ち居振る舞いとか、後輩たちもお前の背中を見ているんだよ』と言われて。結果が出なくて、自分のことばかりでチームに目を向けられなかった。センターラインを守る選手として、打つだけじゃなくてほかにやることもあると思い出させてもらいました」と、紅林は自分を見詰め直せたことに感謝する。
「キャンプからオープン戦にかけての2月、3月はなかなか結果が出ず、自分がやってきたことが正しくないんじゃないかと思ってしまうところがありました。自分を信じてやり続けて、結果が出たことは自信になりました」。選手の気持ちに寄り添い、結果を出させる岸田監督のマネジメントと、期待に応えた紅林。信頼で結ばれたチームが垣間見えた出来事だった。
取材・文=北野正樹