コラム

広島・菊池涼介が“最強の2番打者”である理由

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攻守で広島を支えた菊池涼介(C)KYODO NEWS IMAGES

安打と犠打がトップ!


 昨年、広島25年ぶりのリーグVに大きく貢献した菊池涼介。3月に開催されるWBCにも初参戦するとあって、現在ハイペースで調整中だ。

 菊池といえば球界を代表する守備の名手。時に“変態的”とも称される高い守備力を誇るがゆえ、打撃で注目を集めることはさほど多くない。

 そんな男も、昨季は181安打を放って最多安打の栄誉を獲得。初めての個人タイトルを手にした。ただし、菊池の本当のすごさを表す数字はそこではない。安打数とともに記録した、リーグトップの「23犠打」という数字にこそ表れている。


「2番で最多安打」はむずかしい


 菊池が務める“2番打者”というと、犠打や進塁打など状況によって求められるプレーが変化するために、一般的には安打数はそれほど伸びることがない。最多安打のタイトルを獲得するのは、当然ながら打席数が多くなる上位打線の選手たちが多くなるのだが、2番打者がその栄冠に輝くことはかなりレアなケースだ。

 最多安打が個人タイトルに制定された1994年以降、そのタイトルホルダーは両リーグで計49人。彼らがその年に最も多くスタメン出場した打順を見ると、1番打者が22人で全体の約44.9%と半数近くを占める。次いで3番打者が12人、4番打者が7人と続き、2番打者は6人で12.2%だ。なお、その後は5番打者が2人、6番以降の打者は0人である。

 最多安打のタイトルを獲得した2番打者というと、記憶に新しいところでは2015年に首位打者との二冠を達成した川端慎吾(ヤクルト)が挙げられる。ただ、川端は菊池とはまったく異なるタイプ。その高い打率を生かすため“バントをしない2番”であり、同年の犠打数はわずか2本だった。

 ほかにも2004年の川崎宗則(当時ソフトバンク/15犠打)や、2008年の栗山巧(西武/22犠打)は比較的バントも多い2番打者だったが、それでも菊池の犠打数には及ばない。

 送るべきところはきっちりと送り、打つべきところでは打つ。菊池は状況によって変化する首脳陣の要求を、高いレベルで的確に遂行してみせたのだ。


「最強の2番打者」へ


 これだけでも2番打者として球史に残るレベルの選手と言って良いのだが、菊池をさらに怖い打者にしているものがある。高い得点圏打率だ。昨季の菊池の得点圏打率.343はリーグ6位。強力・広島打線のなか、鈴木誠也の.346に次ぐチーム2位の数字である。

 2番打者の場合、たとえば先頭の1番打者が長打などによりいきなり得点圏に進んだケースでは、うしろにクリーンアップが控えているために必然的に勝負の場面を迎える。そこで2番打者が打つことができれば、ビッグイニングを呼び込むことにつながる。菊池はその役割もきっちりと果たしていたということなのだ。

 2015年の川端は、打率.336で首位打者にも輝き、「最強の2番打者」ともてはやされた。だが、その年の川端の得点圏打率は.314と、昨季の菊池には及ばない。本塁打数で見ても、2015年の川端が記録した8本に対し、菊池は2ケタに乗せる13本のアーチを放っている。

 あまりに突出した守備力が目を引くためにそのバットが注目されることは多くないが、菊池こそ「最強の2番打者」と言えるのではないか。

 昨年11月に行われた侍ジャパン強化試合でも、出場した3試合すべてで2番打者を務めた菊池。「最強の2番打者」が、侍ジャパンを王座奪還へ導く。


文=清家茂樹(せいけ・しげき)
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